ファッションと訪ねる美術館・展覧会


ファッションと訪ねる美術館・展覧会




繊研新聞1月11日のカルチャー覧(6面)に掲載された記事です。



「オラファー・エリアソンーあなたが出会うとき」展

「レベッカ・ホルン 静かな叛乱 鴉と鯨の対話」展


科学的な装置による揺らぎの空間に身体を委ね、精神と身体に新たな感覚を与えるーそんな作品に出合える展覧会が二か所で開催されている。


金沢21世紀美術館での、色と光を駆使し人の知覚に訴えるオラファー・エリアソンの個展では、HMIランプとプリズムガラスが中央にあるステンレス製の大きな丸いプールを設置。

ランプの光は、暗闇の中で円形に広がり、周囲の白壁に水平線を映し出す。この≪水の彩るあなたの水平線≫という作品は、時折電動で波が起き、私たちを囲む水平線の映像は七色に光りながらうねる。


ドイツの現代美術作家レベッカ・ホルンの個展は東京都現代美術館で開催。

≪鯨の腑の光≫は、中央の四角いプールに黒い水が満たされ、そこにプロジェクターで投影されたホルンの詩が反射して壁に映り込む。

天井から下がる金色の杖は電動で上下に動き、水面に波紋を生むと同時に壁面の文字も揺らぐ。


アートは「仕組まれた非日常との出会い」とも考えられる。アーティストが仕掛けた環境で、ゆったりと作品の一部となって鑑賞する人たちを見た時、この空間は、自然環境と同様にまたそれ以上に、人に知覚を与えるのを感じた。


「オラファー・エリアソンーあなたが出会うとき」展

http://www.kanazawa21.jp/data_list.php?g=19&d=460


「レベッカ・ホルンーあなたが出会うとき」展 

http://www.mot-art-museum.jp/exhibition/107/


(中村宏美 アート・ミディエイター、中村デザインスタジオ代表)