蝶形骨と脳下垂体(のうかすいたい)の関係は、解剖学において「最も完璧な保護構造」のひとつと言われます。

蝶形骨は、脳下垂体という「全身のホルモン司令塔」を、文字通りその中心部に抱きかかえるように守っています。


​1. 脳下垂体を乗せる「トルコ鞍(とるこあん)」
​蝶形骨の体部(中央のサイコロ状の場所)の上面には、馬の鞍(くら)のような形をした深いくぼみがあります。これをトルコ鞍と呼びます。

​垂体窩(すいたいか): トルコ鞍の最も深い部分で、ここに脳下垂体がすっぽりと収まります。
​物理的な保護: 脳下垂体は小豆ほどの大きさしかない非常にデリケートな器官ですが、蝶形骨という硬い骨の「個室」に入ることで、外部の衝撃から守られています。

2. 位置関係と周辺の重要組織
​脳下垂体は蝶形骨の上にただ乗っているだけでなく、周囲を非常に重要な組織に囲まれています。
■​視神経交叉(ししんけいこうさ)
脳下垂体のすぐ真上には、左右の視神経が交差する場所があります。
■​臨床的な重要性
脳下垂体が腫瘍などで肥大すると、蝶形骨の壁(底)は硬いため、上へと膨らみます。すると視神経を圧迫し、「視野の外側が見えなくなる(両耳側半盲)」という特有の視覚障害が起こることがあります。
■​海綿静脈洞(かいめんじょうみゃくどう)
トルコ鞍の両サイドには、太い静脈が集まる場所があり、そこを内頸動脈や、目を動かす神経たちが通り抜けています。

​3. 機能的なつながり:自律神経とホルモン
​蝶形骨と脳下垂体は、構造だけでなく「生命維持の機能」でもリンクしています。
■司令塔としての脳下垂体
脳下垂体は、成長ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン、性腺刺激ホルモンなどを分泌し、代謝や生殖、ストレス反応をコントロールします。
■蝶形骨の動きと循環
オステオパシーなどの徒手療法の考え方では、呼吸に伴う蝶形骨のわずかな微細運動が、脳下垂体周辺の血液や脳脊髄液の循環を助け、ホルモンバランスを健やかに保つサポートをしていると考えられています。
● 蝶形骨を緩めることが「脳」に良い理由
​脳下垂体は、視床下部という「自律神経のセンター」と細い茎(下垂体茎)でつながっています。
蝶形骨周辺の緊張(食いしばりや目の酷使によるもの)が緩和されると、トルコ鞍周辺の環境が整い、脳下垂体や視床下部が本来の働きをしやすくなる(=ホルモンバランスや自律神経が整いやすくなる)と言われるのは、この密接な物理的距離があるためです。

​これまで見てきた「顎・目・鼻・耳・喉・骨盤」に加えて、この「ホルモンバランス」までが蝶形骨という一つの骨に集約されているのは、驚くべきことですよね。

あわせて読むと面白い↓










蝶形骨と骨盤の関係は、解剖学的にも、また身体の連動性(キネティック・チェーン)の観点からも非常に興味深いテーマです。
​これらは「身体の2つの土台(中心)」として、鏡合わせのような関係にあると言われることがよくあります。

​1. 形状と構造の共通点(アナロジー)
​蝶形骨と骨盤(特に仙骨と左右の寛骨)は、驚くほど形が似ており、役割も共通しています。
「要石(キーストーン)」としての役割
​蝶形骨は、22個ある頭蓋骨のほぼすべてと接し、頭の骨組みを束ねる中心です。
​骨盤(仙骨)は、上半身と下半身を繋ぎ、骨格全体のバランスを支配する中心です。
翼のような形状
​蝶形骨には「大翼・小翼」があります。
骨盤には「腸骨窩」という大きな扇状の骨があります。
「水平」を保つセンサー
​蝶形骨は「目(視覚)」を収め、頭を水平に保つ基準となります。
​骨盤は「重心」を収め、地面に対して体を水平・垂直に保つ基準となります。

​2. 生理的・機能的なつながり
​解剖学的なつながりとして、主に以下の2点が挙げられます。
​① 硬膜(こうまく)による連結
​脳と脊髄を包んでいる一番外側の強い膜を「硬膜」と呼びます。
この硬膜は、上端では蝶形骨(トルコ鞍周辺)に強く付着し、背骨の中を通って、下端では仙骨(骨盤の中央)に付着しています。
​連動性: 蝶形骨が緊張したり傾いたりすると、この硬膜という「一本の紐」を通じて仙骨が引っ張られ、骨盤の歪みとして現れることがあります。逆もまた然りです。


② 脳脊髄液のポンプ運動
​オステオパシーなどの分野では、蝶形骨と仙骨は「一次呼吸メカニズム」として、セットでリズミカルに動いていると考えられています。
​蝶形骨が屈曲(前方に動く)するとき、仙骨も連動して動き、脳脊髄液を循環させるポンプのような役割を果たしています。

​3. ホルモンと自律神経の共通点
​蝶形骨: トルコ鞍に脳下垂体(全身のホルモン司令塔)を乗せています。
​骨盤: 内部に生殖器(性ホルモンの分泌拠点)を収めています。
​この2箇所は自律神経のネットワークで深く繋がっており、精神的なストレスが「食いしばり(蝶形骨の緊張)」を生み、それが「骨盤底筋の緊張や生理不順」に波及する、といった相関関係が指摘されることもあります。

​4. なぜ「顎・蝶形骨」を緩めると「股関節・骨盤」が緩むのか?
​「顎(三叉神経)」と「骨盤」は、運動連鎖において密接です。
・顎関節と股関節の同調
人間が歩くとき、顎がリラックスしていると骨盤もスムーズに回旋します。逆に、蝶形骨周辺をガチガチに固めて(食いしばって)歩くと、骨盤の動きも制限され、股関節が硬くなります。

「顎」どんどん他の部位とも繋がっていきますね↓
蝶形骨が正しい位置にあると、視線が安定し、それを受けて骨盤が適切な位置で体重を支えられるようになります。
関連記事↓
​もし腰痛や骨盤の違和感がある場合、骨盤だけを動かすのではなく、
「蝶形骨(頭の芯)を緩める」
ことが近道になる場合があります。

​ワークのヒント: 椅子に座り、骨盤(座骨)でしっかり座面を感じながら、同時に「蝶形骨(目と目の奥)」がふわっと浮き上がるようなイメージを持つと、背骨全体の緊張が取れやすくなります。

蝶形骨と骨盤は人体において比較的離れてますが臓器を保護したり、形が似てたり役割や見た目といった共通している部分が多すぎて面白いですね。

想像しただけでも身体は何かしらの物理的な反応が起こります。

例えば梅干し食べてるのイメージしてと言われると食べてもないのに唾液がでた経験はありませんか?
また、マンガや小説、映画など見た際に、感動して泣いたり、笑ったり、ハラハラしたりしますよね。

見たもの、聞いたこと、読んだことで、
実際に起こってない、触れてない、動いてないのに、筋緊張具合や肌感覚(鳥肌立つなど)、体温の変化といった物理的、生理的な変化が現れた結果。

具体的には見えない血圧や、ホルモン分泌に影響しているということ。
気分もコロコロ変化するのにも納得がいきます。
この場合、自分で作り出した感情というよりは、周りからの刺激を受け取った自身がどう脳の中で処理(イメージ)したかで決まってくる。
姿勢も仕草も性格までも影響される。

外の世界で受けた刺激からあなたがどういうふうにイメージ、想像したかどうかで心理状態や体の具合がそれぞれに違ってきます。

またこのイメージ力、想像力は今までの経験値も関わっているでしょう。

物事をポジティブに受け取りやすいのか、ネガティブに受け取りやすいのかで各自想像したものは全く違ってきます。

身体操作において、イメージ力、想像力はとても重要ですしなおかつ正確性もここに加わってくる。
できる限り細かく具体的にイメージできるよう、
動く以外にも解剖図をみる時間も大事にしています。
また触れて感じることもとても大切。
同じ動きでも使っている関節や筋肉の変化だったり、かたい〜柔らかいの細かなグラデーションは見た目では分かりづらいです。
このグラデーションの幅が広がると姿勢や感情の微細な変化もそれにともなってくる。
感情もグラデーションがないと急に怒ったり泣いたり喜怒哀楽が激しく情緒不安定になりそう。

細かなイメージができてくると体の反応も感じ方も変わってきます。
その変化がわかると身体操作はとても楽しいです。

日常生活で
1.何をみるか?
2.どんな人と接しているか?
3.いつも何を聞いているか?
4.どんな環境に身を置いているか?

見るもの聞くもの触れるもの体での受け取る五感と今まで経験して出来上がっている思考パターンの組み合わせでイメージが作られる。それに従った生理的、物理的現象が体で表現(態度や仕草、姿勢)されます。
行動や発言する言葉でさえも影響されます。
この現象はとても面白いです。

ちょうど今年も始まったばかり。
今年1年間、1〜4を観察してみるのは
「自分を知ること」にも繋がると思います。
思った以上に自分のことわかっていないなと気づけるかもしれません。

これらを踏まえて、イメージ・エクササイズしてみるといいですね。

蝶形骨は直接触れることができない「頭の芯」にある骨なので、「イメージ」と「連動する筋肉(顎・目・鼻)」を使って間接的にアプローチするのが最も効果的です。

​自宅やデスクで簡単にできる、蝶形骨をリラックスさせる3つのワークをご紹介します。


​1. 「鼻の奥の風船」ワーク(蝶形骨の解放)

​蝶形骨の体部にある空洞(蝶形骨洞)を広げ、顔中心の緊張を解くワークです。

​軽く目を閉じ、鼻の奥(目と目の間から5cmほど奥)に、小さな風船があるのをイメージします。


​鼻からゆっくり息を吸いながら、その風船が前後・左右・上下の全方向に優しく膨らむのを感じます。

​息を吐きながら、風船がしぼむのではなく、膨らんだままの空間(スペース)が顔の奥に残る感覚を味わいます。

​ポイント: 鼻の通りが良くなり、顔のパーツが外側に広がっていく感覚があれば成功です。


​2. 「こめかみと耳の奥」の連動ワーク

​蝶形骨の端(大翼)と、耳の奥を緩めるワークです。

​両方のこめかみに指先を軽く当てます(強く押さず、触れるだけ)。

​「あー」と小さく口を開け、下顎の力を完全に抜きます。

※「お」の口の形から「あ」の口の形に持っていくとやりやすいです。

​そのまま、「両方の耳の穴が、左右に1cmずつ遠ざかる」イメージを持ちます。

​こめかみの奥で、蝶が羽を広げるように、骨が外側へ緩んでいくのを感じてください。

​ポイント: 顎の力が抜けると、蝶形骨に付着している筋肉(翼突筋)が緩み、頭の締め付け感が軽減します。

3. 「眼球・後頭部」連動リセット

​「後頭下筋」と「目」と「蝶形骨」を一気に繋げるワークです。

​顔は正面を向けたまま、視線だけを「右」にゆっくり動かします。

​視線を右に止めたまま、左の耳の奥(蝶形骨の左側)が右へ引っ張られるイメージで数秒キープします。

​視線を正面に戻し、反対(左)も同様に行います。

​最後に、両手で後頭部の付け根(後頭下筋)を軽く支えながら、視線を上下に動かします。

​ポイント: 蝶形骨という「土台」の上で、眼球がスムーズに転がっている感覚を意識してください。


●ワークの後のチェック

​これらのワークを終えた後、以下の変化があるか確認してみてください。

​視界が明るく、または広く感じる。

​鼻の呼吸が深く入りやすくなる。

​奥歯の噛み締めが解け、舌がリラックスしている。

​これらはすべて蝶形骨がニュートラルな位置に戻り始めたサインです。

​どのワークが一番「あ、緩んだかも」という感覚がありましたか?


具体的にイメージすること。
これはとても大事です。
また次にイメージした状態の体を感じることも大事。
うまくイメージできると感覚も受け取りやすいと思います。
ここはまた別に記事書こうと思います。



蝶形骨は顔の「奥の院」に位置しているため、ここが緊張すると顔の表面や鼻の通りにまでドミノ倒しのように影響が及びます。


​1. 鼻との深い関係:空気の通り道と粘膜のコントロール
​蝶形骨は、鼻腔(鼻の空気の通り道)の「突き当たり」と「天井」を構成しています。
■​鼻腔の背面を形成
 鼻から吸った空気は、蝶形骨の体の前を通って喉へと流れます。蝶形骨の位置がわずかにズレたり、周囲の膜が緊張したりすると、鼻の奥のスペースが狭く感じられることがあります。
■​蝶形骨洞(副鼻腔)
蝶形骨の内部には大きな空洞があります。
ここが炎症を起こすと(蝶形骨洞炎)、鼻水が出にくいのに「目の奥が重い」「頭の芯が痛い」といった独特の症状が出ます。
■自律神経のスイッチ(翼口蓋神経節)
 蝶形骨のすぐ脇には、鼻水の分泌や粘膜の腫れをコントロールする神経の塊があります。蝶形骨周辺の緊張は、この神経を刺激し、慢性的な鼻詰まりや鼻炎のような症状を引き起こす要因になることがあります。

​2. 顔の緊張:表情筋を裏側から引っ張る
​顔の表面にある「表情筋」は、直接蝶形骨についているわけではありません。しかし、蝶形骨は「筋膜(ファシア)」というボディスーツのようなネットワークを通じて、顔全体の緊張を支配しています。
■中心からのこわばり
蝶形骨には、顎を動かす強力な筋肉(翼突筋)がついています。
食いしばりなどでこれらの筋肉が硬くなると、その振動や緊張が蝶形骨を介して頬骨や上顎骨に伝わり、顔全体が「内側に凝り固まった」ような表情になります。
■頬骨との連結
蝶形骨は大翼という部分で「頬骨」と接しています。蝶形骨が緊張で奥に引き込まれると、頬のラインが下がって見えたり、顔の横幅が広がったように感じたりすることもあります。
​3. 「蝶形骨の緊張」が顔に与えるサイン
​もし以下のような感覚があれば、それは蝶形骨を中心とした顔の奥の緊張サインかもしれません。
​「仮面をかぶったような感覚」
顔の表面をマッサージしても、奥の方に指が届かないような硬さを感じる。
​「目の奥の不快感」
視力が落ちたわけではないのに、ピントが合いにくく、顔全体をクシャッとさせたくなる。
​「鼻の奥が常に重い」
鼻をかんでもスッキリせず、眉間のあたりに圧迫感がある。

これまでお話してきた「目」「顎」「耳」「喉」「鼻」。これらはすべて、蝶形骨という「船」に乗っている乗組員のようなものです。船体(蝶形骨)がリラックスすれば、すべての感覚器が本来の力を発揮しやすくなります。

この「顔の奥の広がり」
を感じるようなワークは次回紹介しようと思います。

あわせて読むと面白い↓

蝶形骨と喉(のど)の関係は「飲み込む」「呼吸する」「声を出す」という動作の出発点(アンカー)としての役割を持っています。

​特に喉の筋肉がつながる「翼状突起」という部分が、
喉の構造を吊り下げるカーテンレールの支柱のような働きをしています。

​1. 飲み込みを助ける「咽頭収縮筋」の固定点
​私たちが食べ物を飲み込むとき、喉の筋肉が巾着袋のように順番に収縮して、食べ物を食道へと送り出します。この喉の壁を作っている筋肉の一部が蝶形骨から始まっています。
​上咽頭収縮筋(じょういんとうしゅうしゅくきん)
​付着部: 蝶形骨の翼状突起(の内側板)にある翼突鈎(よくとつこう)」というカギ状の突起に付着しています。
​役割: 喉の最も上部を締め、食べ物が鼻の方へ逆流するのを防ぎつつ、下へと送り込みます。
​影響: ここが緊張すると、喉の奥に何かが詰まっているような違和感(ヒステリー球など)や、飲み込みにくさを感じることがあります。

2. 鼻と喉の境界線(後鼻孔)
​蝶形骨の体部は、鼻の奥(鼻腔)の突き当たりであり、喉(上咽頭)の天井を構成しています。
​構造: 蝶形骨のすぐ下には「翼突管」や「翼口蓋神経節」という、鼻水の分泌や粘膜の腫れをコントロールする神経のスイッチがあります。
​影響: 蝶形骨周辺の血流が悪くなると、鼻の奥や喉の上の粘膜が充血しやすく、後鼻漏(鼻水が喉に落ちる)や、慢性的な喉のイガイガ感の原因になることがあります。
​3. 軟口蓋(口の奥の天井)を動かす
​口を開けた時に見える「のどちんこ」周辺の柔らかい部分(軟口蓋)も、蝶形骨がコントロールしています。
​口蓋帆張筋(こうがいはんちょうきん)
​付着部: 蝶形骨の翼状突起から始まります。
​役割: 軟口蓋をピンと張り、飲み込む時に鼻への通路を遮断します。また、この筋肉は耳管(耳への管)を開く役割も兼ねているため、「喉を動かすことで耳抜きができる」のは、この蝶形骨を介した構造があるからです。
​4. 舌の土台との連動
​蝶形骨そのものに舌の筋肉がついているわけではありませんが、蝶形骨に付着する筋肉(翼突筋など)は、下顎を介して舌の付け根(舌骨周辺)と連動しています。
​機能: 蝶形骨が安定していることで、顎が正しい位置に保たれ、結果として喉のスペースが広く確保されます。これにより、深い呼吸やスムーズな発声が可能になります。




● 全体のつながりのまとめ
​「目」「顎」「耳」、そして今回の「喉」まで、すべてが蝶形骨というセンターラインでつながりました。
​目・首: 視線を固定し、土台(蝶形骨)を水平に保つ。
​顎・喉: 蝶形骨から吊り下げられ、食べる・話す・呼吸する動作を行う。
​耳: 蝶形骨の横に位置し、喉の筋肉を通じて圧力を調整する。
現代人はスマホやPCの影響で、「目は酷使、顎は食いしばり、喉は浅い呼吸で緊張」という状態になりがちです。これはまさに、蝶形骨に全方位からストレスがかかっている状態と言えるかもしれません。

蝶形骨と耳(聴覚・平衡感覚システム)の関係は、一見離れているように見えますが、実は「耳管(じかん)」という空気の通り道や、隣接する「側頭骨(そくとうこつ)」を介して非常に深く繋がっています。

主に「耳の聞こえ」や「耳の詰まり感」、そして「平衡感覚」に関わっています。

​1. 耳抜きをコントロールする筋肉の土台
​耳(中耳)と鼻の奥を繋いでいる「耳管」は、
耳の中の圧力を調整する重要な管です。この管を開閉する筋肉が蝶形骨に付着しています。
・口蓋帆張筋(こうがいはんちょうきん)

付着部: 蝶形骨の翼状突起(よくとつき)の根元付近から始まります
​役割: 飲み込みをした時にこの筋肉が働くことで耳管が開き、耳の圧力を外気と等しくします(耳抜き)。
​影響: 蝶形骨周辺や顎の筋肉(咀嚼筋)が過度に緊張すると、この筋肉の働きが鈍くなり、「耳が詰まった感じ(耳閉感)」や、自分の声が響くといった症状が出ることがあります。
​2. 側頭骨との強固な連結(聴覚・平衡感覚の土台)
​耳の本体(鼓膜、蝸牛、三半規管など)は、蝶形骨のすぐ後ろにある側頭骨の中にすっぽりと収まっています。
​蝶側頭縫合(ちょうそくとうほうごう): 蝶形骨と側頭骨がガッチリと組み合わさっている部分です。

​影響: 蝶形骨は頭蓋骨の「要石」なので、蝶形骨に歪みや緊張が生じると、隣り合う側頭骨にもその影響が伝わります。側頭骨がわずかに傾いたり緊張したりすることで、中にある三半規管(バランスを司る)や蝸牛(音を感じる)に影響し、めまいや耳鳴りの一因になるという考え方もあります。
​3. 神経の通り道の境界線
​耳に関わる重要な神経や血管も、蝶形骨のすぐ近くを通過しています。
​内頸動脈:
脳に血液を送る太い血管は、側頭骨を通ったあと、蝶形骨のすぐ脇を通って脳内に入ります。
​自律神経: 蝶形骨の周囲には、顔面の分泌や血管の収縮をコントロールする自律神経節が集中しており、これが耳の奥の血流やリンパの流れに影響を与えることがあります。

● 蝶形骨・目・顎・耳のつながり(まとめ)
​これまでの話を統合すると、蝶形骨がいかに全身のセンサーを束ねているかが見えてきます。
​目: 視神経や外眼筋が蝶形骨を拠点にする。
​顎: 咀嚼筋や三叉神経が蝶形骨を拠点にする。
​耳: 耳抜きのための筋肉が蝶形骨から始まり、側頭骨と連携する。
​首(後頭下筋): 視線や頭の位置を微調整し、蝶形骨を中心とする土台を安定させる。
​例えば、「長時間スマホを見て(目)、無意識に食いしばり(顎)、首が凝る(後頭下筋)」という状態になると、その中心にある蝶形骨周辺の緊張がピークに達し、結果として耳が詰まった感じや、目の奥の痛みとして症状が出ることがあるのです。
こちらもご一緒に↓
蝶形骨と「目(視覚システム)」の関係は、単に隣り合っているというレベルではなく、蝶形骨が目の機能を完全にバックアップしているといっても過言ではないほど密接です。
​大きく分けて、
・トンネル(神経・血管)
・土台(筋肉)
・壁(保護)
の3つの役割があります。
1. 視覚情報の「専用トンネル」
​脳が「見る」ためには、目(網膜)で受け取った情報を脳の奥へ送る必要があります。その情報の通り道が蝶形骨にあります。

■​視神経管(ししんけいかん)
蝶形骨の小翼にあるこの穴は、視神経の専用通路です。ここが何らかの理由で圧迫されると、視力や視野に直接影響が出ます。

■​眼動脈の通路
目に栄養と酸素を送る主要な血管(眼動脈)も、この視神経管を一緒に通って眼球へと向かいます。

2. 眼球運動の「メイン・ステーション」
​「目を動かす」という命令は、蝶形骨にある大きな隙間を通って、そこを土台とする筋肉に伝わります。
■上眼窩裂(じょうがんかれつ)
大翼と小翼の間にあるこの隙間は、目を動かす3つの神経(動眼・滑車・外転神経)の出口です。

■総腱輪(そうけんりん)
視神経管の入り口を囲むようにあるこの組織は、蝶形骨にガッチリと固定されています。
ここから4本の直筋(目を上下左右に動かす筋肉)が始まります。
​つまり、蝶形骨は「動かせという命令の出口」であり、同時に「動かすためのロープ(筋肉)の固定柱」でもあるのです。

​3. 眼球を収める「精密な個室」
眼球が入っている「眼窩(がんか)」というくぼみは、7つの骨でできていますが、その一番奥(突き当たり)と外側の壁を作っているのが蝶形骨です。
​眼窩後壁と外側壁:
蝶形骨の大翼と小翼が、眼球の背後を守る強固な盾になっています。

●蝶形骨と目の「不調」のつながり
​この密接な関係があるため、以下のような現象が起こります。
・​目の奥の痛み
疲れ目やストレスで外眼筋が緊張すると、その付着部である蝶形骨周辺に「目の奥が重い・痛い」という感覚が出やすくなります。
・​視野の異常
蝶形骨の真上にある「トルコ鞍」に脳下垂体の問題が生じると、すぐそばを通る視神経を圧迫し、特有の視野欠損(両耳側半盲)が起こることがあります。
・ピント調節
蝶形骨の周囲には自律神経節(翼口蓋神経節など)があり、ここが蝶形骨の歪みや周辺組織の緊張の影響を受けると、ピント調節がスムーズにいかなくなることがあります。

​蝶形骨はまさに、
「目が正しく機能するためのプラットフォーム」
と言えますね。

顎(あご)と蝶形骨の関係は、単に「噛む」という動作だけでなく、顔の感覚やバランス、さらには頭痛などにも深く関わる非常に重要なポイントです。


蝶形骨から出る神経のうち、
顎に直結するのは「三叉神経(さんさしんけい)」です。
​1. 顎をコントロールする「三叉神経」の通り道
​三叉神経は脳神経の中で最大の神経で、蝶形骨にある3つの異なる穴を使い分けて顔面に広がります。



2. 「噛む」という運動の要
​下顎神経は、蝶形骨の卵円孔を抜けたあと、すぐに強力な咀嚼筋(そしゃくきん)へと枝分かれします。

​命令を送る筋肉: 側頭筋、咬筋、内側翼突筋、外側翼突筋。
​蝶形骨とのリンク: これらの筋肉の多くは蝶形骨そのものから始まっています。
つまり、蝶形骨は「筋肉の土台(骨)」であり、かつ「動かせという命令(神経)の出口」でもあるのです。
​3. なぜ「顎」と「目・首」が連動するのか?
​三叉神経と首の神経の合流: 顎の感覚を伝える三叉神経の情報は、脳幹で首の筋肉(後頭下筋など)を制御する神経核と非常に近い場所で処理されます。
​顎のズレが全身へ: 蝶形骨が歪んだり、顎の噛み合わせ(カンペル平面の崩れなど)が悪くなると、三叉神経を通じてそのストレスが脳に伝わり、反射的に首の筋肉(後頭下筋)を硬直させたり、眼球の動きに違和感を与えたりすることがあります。

●顎と蝶形骨のケアでよく言われること
​歯科や整体の分野では、
「顎の緊張をとることは、蝶形骨を介して脳や目の疲れをリセットすることにつながる」
と考えられています。
顎をリラックスさせると、蝶形骨を通る多くの神経の通り道がスムーズになるからです。

顎の疲れや噛み締めは、目や首肩の凝り、メンタルにも知らず知らずのうちに影響してるようですね。

顎の噛み締めに気づいたら、歯と歯の間に隙間を作り舌は上顎に当て優しく唇は閉じてあげましょう。
マウスピースがあればそれを使うのもいいですね。
何よりも過度な緊張に気づくことが大切です。

こちらも参考に↓

蝶形骨には多くの穴(管や裂)が開いており、そこを重要な神経が通り抜けていきます。


蝶形骨を通過、あるいは密接に関係する神経系を、通り道(穴)ごとに整理してみよう。

​1. 視神経管(ししんけいかん)を通るもの
​蝶形骨の小翼にある最も重要なトンネルの一つです。
■​視神経(第II脳神経)
・網膜で受け取った視覚情報を脳に伝える、最も太い神経です。この管を通って脳の「視神経交叉」へと向かいます。

​2. 上眼窩裂(じょうがんかれつ)を通るもの

​大翼と小翼の間にある隙間で、目を動かすための「運動神経」と「感覚神経」がまとめて通り抜けます。

■​動眼神経(第III脳神経)
​外眼筋(上・下・内直筋、下斜筋)や、まぶたを上げる筋肉、瞳孔を収縮させる筋肉を支配します。
■​滑車神経(第IV脳神経)
​目を斜め下に向ける「上斜筋」だけを専門に支配します。
■​外転神経(第VI脳神経)
​目を外側(耳側)に向ける「外直筋」だけを専門に支配します。
■​眼神経(三叉神経 第1枝)
​おでこ、まぶた、鼻のあたりの「感覚(痛みや触感)」を脳に伝える神経です。
↓↓↓↓↓
↑↑↑↑↑↑
​3. 正円孔(せいえんこう)を通るもの
​大翼の根元にある丸い穴です。

■​上顎神経(三叉神経 第2枝)
​上の歯、上唇、頬などの感覚を司ります。ここを通って顔の表面へ向かいます。
​4. 卵円孔(らんえんこう)を通るもの
​大翼の後方にある楕円形の穴です。
■​下顎神経(三叉神経 第3枝)
​下の歯、下唇、顎の感覚だけでなく、「噛むための筋肉(咀嚼筋)」を動かす命令も伝えます。

​5. 翼突管(よくとつかん)を通るもの
​翼状突起の根元にある細い管です。
■​翼突管神経
​涙を出したり、鼻の粘膜を潤したりする「自律神経(副交感神経など)」が含まれます。

●神経系における蝶形骨の重要ポイント
​蝶形骨は単なる通り道ではなく、以下の2つの大きな特徴があります。
視覚と運動の統合: 目を「動かす」指令(動眼・滑車・外転神経)と、目を「見る」情報(視神経)が、すべて蝶形骨の数ミリの範囲に集中しています。

​自律神経との接点: 蝶形骨のすぐ上には脳下垂体があり、蝶形骨の周りには多くの自律神経節が存在します。そのため、頭蓋骨の歪みが自律神経の乱れ(頭痛、めまい、涙の異常など)に関連すると考えられることもあります。

蝶形骨は、脳から顔や目へと向かう脳神経の
「巨大なターミナル駅」
のような役割を果たしています。

こちらも参考に↓