タイトルだけ見ると結構壮大ですけど、そこまで踏み込んだ内容ではないです。

中目黒さんは週刊誌とかは買う事はあっても、所謂書籍というかガッツリした一冊の本を買う事はほとんどない。競馬絡みにしても馬券のコツの本とか色々あるけど、その類はほとんど買わないし読まない。デムルメ焼肉だけはちょっとだけ立ち読みしましたが。その中で中目黒さんが唯一買っているとある血統絡みの本があるのだが、その本の中で『クッション値が低い時はドゥラメンテ』みたいな文があり、せっかくだからその辺の検証も含めて今回はクッション値が低い時×血統というテーマで話してみたいと思う。

まずJRAの馬場情報欄にあるクッション値の欄を見てみると、標準と書かれているのが8～10の間。ここでは8.1～9.9を標準と定め、8から下を柔らかめ、10以上を硬めと定義して進めていこうと思う。そして今回クッション値のデータとして採用するのは2023年6月11日～2020年9月12日までの期間のレース開催日とする。また常にクッション値が7と8をうろうろしている函館と札幌は今回集計の対象外としている。

この期間内にクッション値が柔らかめになったのは35回。手動計測なのでもしかしたら漏れがあったり正確ではないかもしれないけど、まあ大体30回前後という認識で。あと計測時は柔らかめだったけどその後晴れて馬場が回復したとか、そういった事情は考慮しておりません。あくまで発表された数値だけを参考に。まずは冒頭で取り上げたドゥラメンテ産駒の成績は8.11.3.49で勝率11.3%、連対率26.8%、複勝率31.0%。単回収率は約70%で複回収率が約99%。8勝は期間内ではトップタイで、同じく8勝のディープインパクト、ハーツクライ、エピファネイアの中では最も出走頭数が少なく、4頭の中では単回収率以外は勝率連対率複勝率複回収率でトップに立つ。まあ普通に優秀ですね。流石、人に買わせる本だけあって正確。35回という回数にちなんで産駒の出走回数35回以上という条件で絞ってみると、ドゥラメンテを勝率で上回るのが2頭。まずはリオンディーズで勝率14.2%。そしてもう1頭がスクリーンヒーローで12.8%。リオンディーズは出走頭数42に対して勝利数が6、スクリーンヒーローが出走頭数47に対して同じく6。複勝率で見るとスクリーンヒーローは3割を切るのでその点が物足りなく感じるものの、回収率はベタ買い大幅プラスで魅力十分。リオンディーズは複勝率でもドゥラメンテを上回り33.3%、単複回収率でも単90%、複108%で上回る。リオンディーズもドゥラメンテも共通点はキンカメ産駒であることで、キンカメ自体も複勝率では4位と頑張っている。では他のキンカメ産駒も奮闘しているのかというと実はそうでもなくて、ドゥラメンテの叔父にあたるルーラーシップは期間内6勝ではあるが複勝率は20.2%とやや低めで回収率もそこまで振るわないし、90頭以上出走している種牡馬の中では最も勝利数は少ない。ロードカナロアは35回以上出走している種牡馬の中では勝率ワースト4位。141回の出走に対して7勝。複勝率13.5%はワースト2位。他の項目でもトップ10に入る事は出来ていない。まあルーラーシップに関してはドゥラメンテに食われて繁殖の質がってところもあるだろうし、今の3歳以降はまた繁殖の質が上がっているのでここから成績を乗せてくる可能性は十分ある。ただロードカナロアに関してはサーゲイロードを出した牝系というのが大きく影響していると推測され、気を付けないとパワー不足で緩んだ馬場は合わないというタイプがすぐに出る。そして今年の2歳は大幅に種付け料が上昇した年で産駒が減少。ここから数字を伸ばせるかは血統的にも種付けの背景的にも強気になれないところがある。ちなみに複勝率のトップはモーリスの36.9%。回収率自体は大したことがないんだけども、モーリスはスクリーンヒーローの産駒ですからね。モーリスの方がよりしなやか的配合をされることが多いので勝利数とかはそんなに伸びないだろうなと思っているけども、ある程度見えるものがありますね。そして出走回数の制限をせずに牝馬限定で見てみると勝利数トップはゴールドシップになる。ここでも触れたけども、ゴールドシップはフィリーサイアーで、ここでもそれを遺憾なく発揮している。そして2位がキズナでこれもまたフィリーサイアー。どちらも40頭そこそこの出走回数ながらも高い数字を残している。特にキズナは現2歳は当たり年だと思っているのでここから更に成績を伸ばせるのではないか。牡馬に絞ってみると注目するべきはオルフェーヴルか。複勝率が34.1%となかなか優秀で複回収率も100%を超える。オルフェーヴル自体は特別コルトサイアーという事はなくてラッキーライラックとか牝馬の活躍馬もしっかり出せているが、やはりパワーを帯びているのは牡馬の方なのかもしれない。またオルフェ×キンカメはspecialのニアリークロスとなるのでストライド型に出ることが多く、キンカメはどちらかと言えばコルト寄りなのでその辺も影響している可能性も。比較的新しめの種牡馬で言うとキタサンブラックは牡馬に限ると3.1.0.6、シルバーステートが2.3.3.13。この辺はおおよそイメージ通りなんじゃないかなと。牡馬牝馬に限定しない新しめの種牡馬で面白いのはリアルスティールの2.2.0.5、イスラボニータの4.2.2.19、ファインニードルの1.1.0.3くらいですかね。サトノクラウンはまだ2着2回しか実績がないが、あの字面で特に牡馬がこの条件駄目だとは思えないんですがね。ちょっとまだ楽しみにしたい。ドレフォンは連対0で回収率も低く、現状では軽視が妥当。

続いては母父部門。

単純に勝利数だけで見るとディープインパクトが17勝でダブルスコアに近い数字で勝利数では抜けている。ただ出走回数155とこれもまたぶっちぎり。数字の暴力に見えなくもない。ただ母父ディープは種牡馬との組み合わせが多岐に渡るので一概にダメとも言い切れず、この辺は父や牝系を見て馬券を検討するのが賢明かもしれない。こちらも35回以上出走という条件で絞ってみると勝率トップはクロフネになる。具体的な成績は9.4.3.49、勝率13.8%連対率20.0%複勝率24.6%、単回収率139%複回収率83%。複勝率自体は並だが全体的には高水準で、勝利数9はディープに次ぐ2位。勝率2位はディープだが3位はフレンチデピュティで複勝率ではクロフネを上回っている。単複の回収率も優秀だ。クロフネとフレンチデピュティに共通しているのはデピュティミニスターの血を持っているという事。デピュティミニスターが緩んだ芝馬場で好走というとまず思い浮かべるのはピンクカメオ、そしてエイシンデピュティ。クロフネはフィリーすぎて重馬場向きじゃない馬も割といたが、このようにデピュティミニスターは強力なパワーというのを産駒に伝えやすい。今年で言えば5/7の新潟大賞典が行われた新潟芝はクッション値が柔らかい範囲になっていたが、新潟大賞典を勝ったのは母父フレンチデピュティのカラテ。今でもそのパワーは健在だ。母父に回るような馬だともう3代父になる事もあるので正確に計測するとここで取った数字と前後するかもしれないが、デピュティミニスターはクッション値が柔らかい時に買っておきたいと覚えておこう。35回以上の連対率トップはアドマイヤムーン。出走回数はギリギリの35回で勝利数は僅かに1だが、2着が7回と大幅増。この2着7回はマンハッタンカフェ、キングカメハメハに並ぶ3位タイの数字。道悪のアドマイヤムーンなんて言われたりするけども、それはしっかりと母父になっても機能していると言えよう。アドマイヤムーンのパワーの源はケイティーズファーストとトムロルフ、そしてAloeのクロスだろう。代表産駒のノースブリッジは父がモーリスという事もあってパワー豊富。アドマイヤムーン自身はもう高齢なのでこれから数字を伸ばしてくるなら母父の方かもしれない。産駒や後継種牡馬が活躍していたキンカメだが、母父に回ると5.7.9.91、勝率は4.5%、複勝率も20%を切るなど明らかに苦戦している。なぜこうなってしまっているのか、個人的な意見としては母父キンカメが緩んだ馬場を特別苦にするという事はあまりないと思う。ただ母父キンカメ産駒を賞金順に並べてみると、上位10頭のうちの7頭が既に引退済みでデアリングタクトが勝った極悪馬場の桜花賞はクッション値計測前だった。10位以内の現役馬の1頭はダートを主戦場にするウシュバテソーロだし、母父キンカメの傑作馬がクッション値の計測前や計測開始直後に引退してしまったり、ダートでの活躍馬も多く出すが故にここでは思ったほど成績を伸ばせていないんじゃないか、という側面があるのだと思う。後継種牡馬の肌の馬もこれから出てきて成績を伸ばせると思うし、あまり鵜呑みにはしたくないかなという思いが個人的には強い。ドイツ血統でリボーの血を引くマンハッタンカフェが複勝率5位、マインドユアビスケッツとの間に重賞ウィナーを出したダイワメジャーが複勝率最下位なのも面白い傾向。ちなみに泣く子も黙るMotivatorは3.1.0.1。まあ主にタイトルホルダーとメロディーレーンなんですけども流石の数字。キングヘイローは1.1.2.14。イクイノックスさん、ごめんなさいね。個人的に激推しのヴィクトワールピサはこの条件だと0.0.2.6とあまり数字を伸ばせていない。まあマキャヴェリアンが入るし機動力型だと思うので納得できるところはある。

こんな感じで大体イメージできたでしょうか。高クッション値verはどうしようかね。やる気が出たらやりましょうか。

▲集計期間の成績(出走回数1以上)。この手の成績は大体ディープインパクトが数に物を言わせて勝ち数だけは上に来ます。

低クッション値と血統