ホイットニー美術館での新展覧会のお知らせ
Exhibition Preview:
エイミー・シェラルドAmy Sherald @asherald :
AMERICAN SUBLIME, @whitneymuseum
Whitney Museum
ライター黒部エリ @ellie_k_nyc さんに誘われて、先日プレスプレビューに行ってまいりました。

アメリカの現代美術が知りたくて1999年末から2000年の年明け1週間初めてニューヨークに降り立った私ですが、日本にいた時海外の情報は美術手帖を読むか、専門家の人が日本語で書いたものを読んで勉強していたのですが、本当の今の今起きていることは英語でしか書かれていないので、英語も得意でなかった私(今でも)は、一次情報をインプットしてアウプットするまでの時間がかなりかかります。
自分の血液型がO型の人は自分中心でなくて、環境中心で回っているのではないかと自己分析しています。なので、アメリカに来てもアメリカとは何たるやが本当に分からないと何も語れない(軸がない)と未だに思っています。60歳になったら自分の言語で今見ているものが語れるようになるのではないかと、健康に気をつけて歳を重ねた日々を待っています。
アメリカにいながら、例えばジャスパー・ジョーンズ、アンディ・ウォーホル、ジェフ・クーンズといったビッグネーム(美術史に名を残した人)の次に名を刻めるアーティストは誰なんだろうと常々思いながらアートを日頃みていますが、Amy Sherald はアートの歴史に名を遺せる作家になるのではないかと、ニューヨークに住んでアートを観続けて17年目の私は思ったわけです。
エリさんと一緒に行くということは、専門家としての作品解説を期待されているわけで。作品を前に会場で淀みなく、壇上な会話が出来なくてはと、会場で会話するためのイメージトレーニングをしました。今までのアメリカ美術の歴史上の肖像を描いたアーティストと比較するのはどうだろうと想いを巡らしました。アリス・ニール、チャールズ・ホワイト、アレックス・カッツ等が浮かびました。皆友人や、周りの人を描いています。
アレックス・カッツは2022-23年にグッゲンハイム美術館での回顧展がありましたが、若い頃一緒につるんでいた詩人やゲイカップル(当時ゲイであるということを社会にカミングアウト出来る時代ではなかったので、ラウシェンバーグとジャスパー・ジョーンズをアレックス・カッツは、「友人」として二人を一緒のキャンバスに描こうとしますが、ジャスパー・ジョーンズに断られて、ラウシェンバーグだけが絵の画面に描かれていたりします。)等、文化や風俗を垣間見れる肖像画群でした。そのように肖像画には当時の歴史背景・社会風景が如実に描かれているのです。
エイミー・シェラルドの肖像画は、ナショナルポートレイトギャラリーに所蔵されたミシェル・オバマ元大統領夫人のポートレイトから始まり、作家自身も含めてアメリカの黒人の人達に焦点が当たっています。

Black Lives MatterやLBGTQ 運動が記憶に新しい21世紀のアメリカは、警官に誤殺された26歳のアメリカ黒人女性や、終戦後に彼女のところに戻ってきてキスをするアメリカ兵士の有名な写真ポートレイトを模した、ゲイカップルのキスするポートレイトの絵があったりします。

そして作家がかなりおしゃれな人なので、絵に描かれた人々の服装がおしゃれ!エリさんとも会場で会話しましたが、普段こういう人達はこういう格好で生活していないよね、普段もっとヨレヨレのスボンを履いていたりするよね、と絵を指差しながら楽しんでいました。
そうです。人生で一度か二度しかないような、プロのカメラマンに頼んで一張羅来て人生の記念の為に撮るような写真の格好なのです。彼らはまるでファッションモデルのよう。そして全員アメリカ黒人。

アメリカ黒人地位向上運動の一環にも見えて来ます。😊
背景は平面なビビットカラーで、アレックス・カッツを想起し、全体的に平面的な二次元絵画(絵画なので平面二次元なんですが、敢えて平面二次元と強調したい)の絵なんですが、何故かBroad Foundation 所蔵の滑り台が描かれている肖像画の、滑り台のメタリックな部分が何故かとてもリアルに描かれていて、肖像画の平面感に比較して、滑り台のメタリックのリアル感は何故?とそこが特に記憶に残る部分でした。

私はキャプションの、どこが所蔵しているかを見ながら作品を鑑賞するのが好きなんですが、ホイットニー美術館が購入した絵画や、LA のBroad Foundation 所蔵の滑り台の絵は、他の肖像画より随分大きい美術館所蔵用サイズになっている。その他の作品は個人が購入、または描かれたモデルが個人的に購入してもいいような個人宅サイズになっている。

プラド美術館で観たベラスケスは宮廷画家で絵画が王宮に飾るサイズだった。その後イギリスの貴族が肖像画を依頼する時代になり、絵のモデルや施主が今や一般庶民になっている。
アリス・ニールやチャールズ・ホワイト、アレックス・カッツがモデルにした人々と比べると、二粒も三粒も美味しい展覧会になると思います。
ホイットニー美術館にて 4月9日から一般公開
Text by Satomi Nakai
文・中井里美