地震予知は不可能

 

 先日の八月八日(木)の夕刻にマグニチュード(M)7.1の日向灘地震が発生した。これが南海トラフ地震と関連しているのではないかと関係機関が専門家会議を開いたり、首相が中央アジア諸国首脳と会談をするための外遊を取りやめたりするなど、日本中が震撼した。

 

 南海トラフは静岡県沖から九州沖にわたってフィリピン海プレートがユーラシアプレートに潜り込んでいる溝状の海底地形であり、ここでプレートが弾けると先の東日本大震災と同等の地震エネルギが発生して震度8以上の大地震や大津波に繋がると予想されている。

 

南海トラフの西端にあたる宮崎県の沖で発生するM7程度の日向灘地震は、十数年から数十年ごとの割合で発生しているが、巨大な南海トラフ地震は百年から百数十年ごとに発生しているようだ。

 

最も近いところでは、1944年に発生した東南海地震(M8.2)とその二年後の南海地震(M8.4)は何れも紀伊半島沖で発生しているが、これは第二次世界大戦の敗色が濃くなった頃と終戦一年後にあたり、これらが我が国の社会に与えた影響は想像に余りある。

 

 M7クラスの日向灘地震は十数年から二十数年ごとに発生しているようで、私が高校三年生だった頃にも一度あった。そのとき、戦前から残っていた木造のおんぼろ校舎で授業を受けており、先生は揺れが始まった時には笑っていたが、その後真顔に変わったという記憶が鮮明に残っている。

 

今回の日向灘地震では日南市で震度6弱だったようで、宮崎市など周辺地域では5強や5弱という所も少なくなかったようだ。宮崎市に住む妻の長姉宅ではテレビが台から落下したが、怪我などはなかったようだ。

 

都城市山間部に住む義妹宅も被害はなかったが、日豊本線の列車が止まったため、その乗客たちへの炊き出しや公民館での宿泊などの対策に奔走したようだった。

 

 今日の朝刊には地震予知について、専門家による詳細な記事が掲載されていた。一時は政府肝いりで気象庁などでは専門家による地震予知が検討されていたが、今では余地はできないという結論されているようだ。ただ、地形の変化などの観察が続けられており、発生の可能性についてある程度の予測がなされる程度のようだ。

 

よく「地震雲の発生」や「動物の異常行動」などによる予測が行われたり、地震の発生後に「地震の予知がされていた」といった類の話が週刊誌などで紹介されたことがあったが、これらも科学的根拠は乏しく、専門機関では過去のデータに基づく統計的な予測しかできないというのが現状のようだ。

 

 この記事を読んで、かつて民放テレビの番組に出演していた米国出身の東大教授が「地震の予知はできません」と断言していた姿が脳裏に浮かぶ。地震はいつどこで発生するか分からないため、万一起きた時の備えはできるだけしておく必要があるだろうが、大騒ぎしてみても始まらない。

 

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