身も心もすっきり
我が家の法面と隣接する段ボール工場の駐車場の草が茫々と伸びており、以前から妻が「あんな草むらに蝮が潜んでいるのではないか」とずっと気にしていた。一昨日(三日)の土曜日、隣の工場が休みだったので草刈りをしたいと思っていたところ、この日は今夏一番の暑さだったためにそれを諦めた。
生来、生き物を殺傷することは好きではないが、蝮だけは例外だ。昨四日の早朝、その脇の用排水路に蝮(まむし)がいたので心を鬼にして退治した。隣の児童公園にも蝮がいたこともあり、当地に住み始めた四半世紀の間に十匹ほど退治しているのだ。
前日の天気予報では四日の午後に一時雨マークが示されていたが、当日になると雨マークが無くなって全て曇りマークになっていた。この日も気温と湿度が高く、不快指数はかなりなものだったが、前日よりは少し凌ぎ易かったので「今日は絶対に草刈りをする」と決めていた。
午後二時半ほどになると、遠くから雷鳴が聞こえていたが、外に出てみると結構風が吹いていて涼しく感じられたので作業服に着替え、長靴を履いた。安物の草刈り機の刃を取り替えて燃料を補給し、何度も始動を試みてようやくエンジンがかかったが、この時既に汗だくだった。
妻は
「雷が怖いわ」
と気にしていたので、
「うん。雷が近くで鳴り出したら止めるわ」
と応じて、麦藁帽を被って草刈りを始めた。
最近、工場の主人が草枯らし剤を撒いたのか、雑草は少し枯れかかっていたが、これだけではかなり伸びた草、特につる草などにはそれほど効果がない。我が家の法面の数倍もある駐車場の雑草地から刈り始めると、麦わら帽子は風で吹き飛ばされてしまったために麦わら帽子は諦めた。
我が家の法面へと移ったころにしばらく小雨がぱらついていたが、暑さに喘いでいた身にとってこれは心地よかった。家の背面から前面へと周り、我が家の前の市道を隔てた用水との間の路肩の草を刈った。
以前にも少し触れたことがあったが、昨年までは私と同い年の田圃の持ち主が米作を止めて田圃の管理を他の人に任せている。それまでは田圃の畔の草刈りのついでに用水を挟んだ路肩まできれいに刈ってくれていたが、今では路肩の草がかなり伸びているのだ。
一時間弱の作業だったが、鈍った身にはこれだけで息が上がっており、心肺機能が随分と衰えたものだ。妻が用意した冷たいお茶をお代わりして一気に飲み干し、しばらく休憩してから浴室でシャワーを浴びた。これで気になっていた草刈りを終え、身も心もさっぱりすることができた。
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