「後継者」という生き方/牟田太陽
事業継承を控えている人、自分が後を継がないといけないと思っている人は、ぜひ読んでほしい本。考え方の違いはあるかもしれないですけど、後を継ぐための覚悟を固めることが出来ると思います。
そして、「後継者?関係ないや」と思った人も、読んで損はありません。そういう内容になってます。
<目次>
第1章 「花」のある経営者を志す
第2章 事業承継のための心構え
第3章 苦労が後継者の心を強くする
第4章 後継者が知るべき経営者の手腕
第5章 社長になったらまずやるべきこと
第6章 いつまでも強く必要とされる存在であれ
最近、多くの企業で「事業継承」が問題になっています。一方で、親の跡を継ぐことを良しとしない風潮があります。
「自分らしく生きる」「好きなことをする」
ということを称揚する雰囲気が感じられます(そういう類のビジネス書が多く存在ます)。
僕はそうした風潮に懐疑的です。いろいろな理由があるのですが、大きくはこういうことです。
人間でも、会社でも、商品でも、サービスでも同じことだ。誰かに強く必要とされていれば、生きて輝いてくる。(p246)
人間、他人のお役にたってナンボです。また、後継者と言われる人たちの場合、そこまで育ってきたのは誰のおかげなのか。もちろん、親の力は大きですが、それ以上に、その親を支えてくれた社員たち、広く言えばステークホルダーのみなさんです。
もし、そうした人たちから後継者になることを求められているのなら、その責務を果たすことを第一に考えたほうがいいと思うのです。
必要とされている、求められる役割があるときに、「やりたいこと」「好きなこと」というのは、それを振り切ってまでやるべきことなのか、考えたほうがいいと思うのです。多くは、単なる逃避に過ぎない、というのが僕の経験から感じていることです。
一方で、逆のパターンの人もいます。
「俺は跡取りだよ」
といって、デカい態度をとる人が。
後継者を「神輿」にたとえることは多い。当然のことながら。「神輿」というのは担ぎ手がいなければ、宙を舞うことはできない。「神輿」をしっかりと支え、担いでくれる社員たちがいるからこそ、宙に舞っていられるのだ。(p57)
所詮、後継者は創業者ではありません。少なくとも自分がトップに立って、トップとしてしっかりとした実績を残すまでは、どんなに立派になって結果を残したとしても、あくまで「ジュニア」にすぎません。
多くの人に支えられえて、その立場にいくことを自覚しないと、親がいなくなれば周りから人がいなくなります。「神輿」には神輿の心構えというものがあります。これを忘れないようにしなくてはいけません。
そして何より、周囲の人とできる限り話をすること
なにか親子の問題があったときに話を聞いていると、原因は、ほぼ100%コミュニケーション不足といっていい。(p171)
今まで親子のコミュニケーション不足について述べてきたが、社員も同じだ。社内のトラブルの90%も、やはりコミュニケーション不足から起こっているからだ。(p175)
親と話すは照れくさいというのは、後継者になると決めたら払しょくしないといけないし、社員とも「坊、お嬢」として扱われないように、自分から話しかけていかないとだめだ思います。
後継者になるというのは、やっぱりけっこう面倒なことが多くあります。だからやっぱり嫌だ、と思う人がいるのは仕方がありません。あとは本人の決断次第だと思います。
ただ、やるチャンスがあって、周囲に期待されているなら、やったほうがいいと思います。会社を経営するという経験を超える刺激的なことなど、そうはないと思います。
ということで、跡取りになるかもしれない、という人はぜひ読んでみてください。
PS
後継者に向けて書かれているこの本は、一部には後継者にしか意味がない部分もありますが、ほとんどが、社会人・会社人として踏まえておかないといけないことが書かれています。
後輩を持つくらいの立場になれば、誰でも学ぶことがある本だと思います。
「オラ、関係ない」
と決めつけず、手に取ってみてください。