12歳以上の猫の90%が関節炎を患っているといわれています。その多くは、加齢に伴う変形性関節症です。しかし、変形性関節症を患っていても、実際足を引きずったり、かばったりするような動きをする猫は、15%程度しかおらず、さらに飼い主が自分の猫が足をかばっている様子に気づくことは、2.6-30%しかいないとされています。そのため、猫の加齢による関節炎は見逃されがちといえます。残念ながら、変形してしまった関節を治すという治療には多くの制限があり、治療の目標は、痛みの軽減と進行の抑制になります。ということは、早期に関節炎を見つけて、介入することが大切です。ひどい痛みを取り除く治療より、軽度の痛みを抑えてあげるほうが、薬も負担を少なく投与することができますし、体重コントロールと、適切な強度の運動によるリハビリテーションの指導も早期から始めるほうが効果的です。飼い主の方は、若いことはしていたけど、最近はしなくなった行動(猫じゃらしで遊ばなくなった、走らなくなったなど)にはよく気づきます。「年だからかな」と考えていると思いますが、そのうえに加齢性変形性関節炎を伴っていることも多いですので、行動に変化があったときは、動物病院で関節のレントゲン検査をうけてみることをお勧めします。