はあーとランド予見

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台風などの天変地異、新型ウイルスによる混沌の時代…
…に負けずに生きていくには…

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宮沢賢治の書簡
 
私のかういふ惨めな失敗はただもう今日の時代一般の巨きな病、「慢」といふものの一支流に過って身を加へたことに原因します。
僅かばかりの才能とか、器量とか、身分とか財産とかいふものが何かじぶんのからだについたものででもあるかと思ひ、じぶんの仕事を卑しみ、同輩を嘲り、いまにどこからかじぶんを所謂社会の高みへ引き上げに来るものがあるやうに思ひ、空想をのみ生活して却って完全な現在の生活を味ふこともせず、幾年かが空しく過ぎて漸くじぶんの築いていた蜃気楼の消えるのを見ては、ただもう人を怒り世間を憤り従って師友を失ひ憂悶病を得るといったような順序です。
(1933.9.11 柳原昌悦宛 封書)
 
賢治が、死の10日前に元教え子に宛てて書いたものだそうですが、生きているうちに評価など受けなかった天才の悲哀の文章が綴られています。
でも、どんな苦境にあっても自分の理想を貫いた生き方は、作品や詩だけでなく賢治の生き方も後世の人々から支持されています。
コロナウイルスで世界が危機的な今の時代に参考になる生き方かもしれません。