投手にはオーバースロー、スリークォーター、サイドスロー、アンダースローと大きく分けて4つのアームアングルから投げる投手が居ます。

何故そのフォームにしたのか?という問いには「投げ易さ」「打ちにくさ」など様々な理由が存在します。

そこで、それぞれのアームアングルで結果を残している投手(MLB)からデータなどとの関係性を調べてみました。(アンダースローはMLBで殆ど存在しない為、除外)

①オーバースロー
1番有名であり、1番母数が多いように思うが、案外スリークォーターの方が多いのではないかと思っているこのアームアングル。

特にオーバースローの投手のファストボールの質の高さを表すに適しているバーティカル・ムーブメントという指標からバーランダーの凄さを伝えようと思います。

「バーティカル・ムーブメントとは?」

簡単に言えば「如何にボールが落ちずにミットまで届いているか?」というのを表す指標であり、即ち「ボールのノビ」の正体。

このバーティカル・ムーブメントの数値が高ければ高いほど、「ノビがある」ボールになります。

2011年に投手三冠を達成し、サイ・ヤング賞に輝いたジャスティン・バーランダー(HOU)は、この数値が"11.2"でこれはMLBの先発投手でトップの数値です。

つまりバーランダーは「データ上MLBの先発投手で最もノビのあるファストボールを投げる投手」ということになります。

今季18年振りにア・リーグで防御率1点台&サイ・ヤング賞を獲得したブレイク・スネル(TB)の4シームの数値も"10.2"と先発投手でMLB4位の数値です。

オーバースローは上から投げ下ろしてくるフォーム、つまり打者の思考からだと「上→下」に来ると予測するが、彼らのボールは「ほぼ落ちてこない」ため、ボールの下っ面を叩いて打ち上げてしまう、或いはボールの下を空振りしてしまうという「打者の予測と実際のボールの軌道がズレる」現象が起きているのかなと思っています。

ただバーティカル・ムーブメントの数値が良いだけでなく、変化球の質や組み合わせのバランス、ファストボールの速度も相まって「打ちにくさ」に繋がるのでは?と解釈しています。

②スリークォーター、サイドスロー
MLBでは、よくこのアームアングルから投げてくる投手をよく見るように思います。今季防御率1.70と圧倒的なパフォーマンスを見せたジェイコブ・デグロム(NYM)や3度のサイ・ヤング賞獲得者のマックス・シャーザー(WSH)などもこのアングルです。

実はこの2つのアングルはオーバースローの投手と比べると、明らかにバーティカル・ムーブメントの数値が劣るんですね。

これに関しては映像で見る限り、シャーザーやデグロム、ヘイダーやセールなどのファストボールは浮き上がっているように見えるのでリリースポイントの位置の違いが関係しているのかな、と思っています。

スリークォーター、サイドスローに関しての自分の考えとしては、オーバースローと比べて肘が下がる分「地面に平行な軌道」になり、下から掬い上げるようにして打つMLBの打者は「点」でしか捉えることが出来ずに空振りを多く奪えるのでは?というものです。

実際にシャーザーは今季300奪三振を達成したし、ジェイコブ・デグロム(NYM)は防御率1.70と驚異的な数字を残しました。

今季世界一の胴上げ投手となったクリス・セール(BOS)は規定投球回に達していたら、あのランディ・ジョンソン氏の持つ先発投手の奪三振率13.41を塗り替える13.50という恐ろしい奪三振能力を持ち合わせているし、今季目覚ましい活躍を見せたジョシュ・ヘイダー(MIL)は奪三振率15.82という驚異的な数値を叩き出しています。

1つ分かった事はオーバースローだとバーティカル・ムーブメントの数値で分かるが、サイド系のアングルだと分からないということです。

垂れないファストボールだけが良いのか?と言えばそれは違うでしょうし、今季防御率0.78&38セーブをマークしたOAKのクローザーであるブレイク・トライネンのように100マイル近い速さで沈むようなボールを投げる投手もまた結果を出しているのも事実です。

ただ、打者の予測より落ちない、速いファストボールが投手の大きな武器になることは間違いない、と思います。

(最後にオマケ)

MLBファンならよく知るケンリー・ジャンセン(LAD)の「ライジング・カッター」のバーティカル・ムーブメントは

2016     9.2(MLB1位)
2017     9.5(MLB1位)
2018     8.5(MLB3位)

とやはりトップクラスに「落ちないカッター」でした。(因みにユスメイロ・ペティートさんのカッターもジャンセンの次くらいに数値が高かった)