野田政権の閣僚がやろうとしているのは私的参拝・野田政権が自粛しているのは公式参拝 | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

野田政権の閣僚がやろうとしているのは私的参拝・野田政権が自粛しているのは公式参拝

秘書です。
野田政権の靖国参拝の姿勢について。
まず、今日のニュースから。


羽田・松原氏、15日に靖国参拝へ…民主閣僚初
(2012年8月10日12時55分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120810-OYT1T00735.htm

 松原拉致問題相と羽田国土交通相は10日午前の閣議後の記者会見で、8月15日の終戦記念日に合わせて靖国神社を私的参拝する意向をそれぞれ表明した。

 閣僚による終戦記念日の靖国参拝は、2009年9月に民主党政権が誕生して以来初めてとなる。

 松原氏は「20年以上にわたり、毎年8月15日に参拝しており、今年も適宜判断していく」と述べた。羽田氏は「8月15日に参拝を続けて30年以上になる。私的に参拝させていただければと考えている」と語った。

 野田首相は昨年9月の就任の記者会見で「これまでの内閣の路線を継承し、首相、閣僚の公式参拝はしない」との考えを明らかにしている。藤村官房長官は10日の記者会見で、「首相や閣僚の公式参拝を自粛していくラインで、内閣の中でも合意している」と述べた。


→2人の閣僚がやろうとしているのは私的参拝、内閣が自粛しているのは公式参拝。よって、2人の閣僚が8月15日に私的参拝をするのは、内閣の方針とは矛盾しないことになりますが・・・


平成23年9月2日
野田内閣総理大臣記者会見
http://www.kantei.go.jp/jp/noda/statement/2011/0902kaiken.html

(記者)
 共同通信の松浦です。よろしくお願いします。総理は在任中に靖国神社を参拝するお考えはありますでしょうか。またそのするしないの、その理由もお聞かせ下さい。それと、総理は2005年に、A級戦犯は戦争犯罪人ではないという趣旨の質問主意書を提出されておりますけれども、これは東京裁判を否定する趣旨なのでしょうか。それとそのA級戦犯については道義的責任等何らかの責任は何もないというふうにお考えなんでしょうか。お願いします。

(野田総理)
 前段、靖国に参拝するかどうかですけど、これはこれまでの内閣の路線を継承して、総理、閣僚公式参拝はしないということをしていきたいというふうに思います。いろんなお考えはあると思いますけれども、いわゆる国際政治等々、総合判断をすることによってそうしたことが必要だろうというふうに思います。
 2005年の私の質問主意書についての背景、考え方についてのお尋ねでございました。一人の政治家としての、いわゆる法的解釈に基づいて、A級戦犯といわれた人たちの法的な立場の確認をするという意味での質問主意書を私は作りました。政府の立場でございますので、出てきた答弁書を踏まえて対応するというのが基本的な私の姿勢であります。従って、東京裁判云々ということではなくて、まさに法的な解釈に基づく法的な立場の確認をしたという質問主意書だとご理解いただきたいと思います。


衆 - 本会議 - 平成23年09月14日

○内閣総理大臣(野田佳彦君)・・・
 靖国神社への参拝についての御質問をいただきました。
 国に殉じた方々に感謝や敬意を表することは、当然のことと考えております。他方で、日本政府を代表する内閣総理大臣の立場として、靖国神社については、総合的に考慮すると、総理や閣僚が公式参拝することは差し控えなければならないと考えます
 日本の危機克服に対する私の決意は、昨日の所信で述べたとおりであり、目の前の危機を乗り越え、国民の生活を守り、希望と誇りある日本を再生するために、国会の御協力をいただきながら、政府として全力を尽くします。
 A級戦犯の分祀論に関しての御質問をいただきました。
 一般論として言えば、不当な内政干渉に対しては、断固とした態度をとるべきだと考えます。ただし、宗教法人である靖国神社においてどのような祭神を祭るかについては、憲法が保障する信教の自由に関する事柄であり、政府として見解を述べる立場にはないということをぜひ御理解いただきたいと思います。


衆 - 予算委員会 - 平成23年09月26日

○稲田朋美委員 さて、総理。総理はかつて質問主意書を出しておられます。
 パネルを示します。
  「A級戦犯」と呼ばれた人たちは戦争犯罪人ではない
  内閣総理大臣の靖国参拝が国際的に非難される根拠がない
  「平和に対する罪」「人道に対する罪」に該当する「A級戦犯」とは、極東国際軍事裁判当局が事後的に考えた戦争犯罪の分類であり、法の不遡及や罪刑法定主義が保証されず、法学的な根拠を持たないものであると解釈できる
これはすべて、総理の質問主意書の中の、総理のお言葉を抜き書きしたものです。私は、このすべてに賛同いたします。
 もう一枚パネルを示します。同じく質問主意書の中の一節。
  すべての「A級戦犯」の名誉が国内的にも国際的にも回復されているとすれば、東條英機以下十四名の「A級戦犯」を靖国神社が合祀していることにいかなる問題があるのか。また、靖国神社に内閣総理大臣が参拝することにいかなる問題があるか。
これは当時、一野党議員であった総理が内閣総理大臣小泉純一郎氏に対して出した質問です。
 今、私が同じ質問を総理にいたします。お答えください。

○野田内閣総理大臣 これは平成十七年に出した私の質問主意書でございます。これを出したのは、たしか十月だったと思うんですけれども、小泉総理が靖国に社頭参拝をされたときです。多分その同じ日にこの主意書を出したと思います。
 背景にあるのは、その前の夏の予算委員会で、当時の小泉総理が……(発言する者あり)党首討論だったですか。失礼しました。ちょっと記憶違いでございますけれども、A級戦犯は戦争犯罪人であると認識をしているという御答弁をされていました。それは、私は従来の政府の答弁と少し違っているのではないかと思いました。したがって、法的な立場を確認するために、その十月の社頭参拝の折に私はこの質問主意書を提出させていただいた。一人の政治家としての自分なりの解釈から出したということでございます。
 今は政府の立場であります。政府の立場としては、そこから出てきた答弁書を踏まえて対応するということだというふうに理解をしています。

○稲田委員 総理、お答えになっていませんね。
 総理は官僚ではなくて政治家ですよ。しかも、日本の政治家のトップにおられるわけです。あなたは、今御自身が答弁なさったように、A級戦犯は戦争犯罪人であると言った小泉総理を批判し、保守の堕落とまで言われたんですよ。今、総理になられて、政権交代して、野田政権のトップにおられて、いわゆるA級戦犯、東京裁判について、総理の立場を国民に対して語るべきだと思います。語ってください。

○野田内閣総理大臣 私の立場は、別に小泉総理を批判するという立場で出したものではありません。むしろ、なぜ与党からこういう質問が出てこなかったのかと思っていました。むしろ、国際社会に御自身の立場を説明する上の助け船を出したつもりでやったつもりでございます。という背景は、御理解がちょっと違うというふうに思いますが。
 今、私の内閣は、最優先の課題は復旧と復興と原発事故の収束です。この対応をしっかりやっていくということであって、今私の、いろいろな歴史的な認識とかを含めてとうとうと語る場では私はないと思いますし、さっき申し上げたとおり、政府でありますので、その答弁書を踏まえて対応するということが基本でございます。

○稲田委員 情けない御答弁ですね。
 あなたは質問主意書の中で、A級戦犯は人権の問題であり、国家の名誉の問題だとまで書かれているんですよ。今のようなお答えしかできないとすれば、何のために総理大臣になったんですか。国会議員であり続けることすら意味がないんじゃないんですか。信念を曲げてまでその座に座り続けたいのであれば、菅総理と同じじゃありませんか。
 しかも、あなたは靖国神社に参拝しない。この質問主意書で、靖国神社に内閣総理大臣が参拝することに問題はない、そういう問題意識で書かれていますが、あなたは靖国神社に参拝しない、閣僚にもさせないと明言しておられます。なぜですか。


○野田内閣総理大臣 国際政治を含めて総合的な判断をすると、自分はしない方がいいだろうという判断。閣僚に云々と言いますが、これは前政権からの踏襲で、すべての閣僚についても同じことを望んでいるということでございます。

○稲田委員 何回も申し上げているように、前政権から踏襲するのであれば、あなたが総理大臣になる、その意味はありませんよということを申し上げているわけであります。
 また、国際政治とおっしゃいましたけれども、靖国参拝に反対をしている中国、韓国、A級戦犯が合祀されていることを理由に反対をしているんです。総理は、A級戦犯は戦争犯罪人ではない、靖国神社に合祀することに問題はない。では、なぜ靖国参拝に行かないんですか。おかしいじゃありませんか。
 また、歴代総理は、どうしたら靖国に行って、そして英霊に感謝と敬意を表することができるか、苦心してきたんです。小泉総理は私的参拝だと言い、麻生総理は宗教法人を外すと、それぞれ努力をしてきました。あの小沢氏ですら、間違ってはいますけれども、A級戦犯を分祀して靖国に行くと言っています。
 ところが、総理は正しい認識で、行けない理由がないのに行かない。今までのどの総理よりも、どの政治家よりも忘恩の徒ですよ。


参 - 予算委員会 - 平成24年01月31日

○山谷えり子君 今の法改正は、野田総理がおっしゃられたのは、例えば尖閣諸島に七人の中国人が島に上陸したことがあった、そのとき海上保安庁は何もできなくて沖縄県警にお願いして逮捕してもらったということがあるので、海上保安庁もそれができるようになる、あるいは立入検査なくても退去命令が出せる、その程度の改正なんですよ。これは今の現状に全く合ってないんです。ですから自民党は、自衛隊法の改正で領域警備、きちんと守る法律を提案しているわけでございます。
 それから、野田総理は以前、質問主意書で、A級戦犯と呼ばれた人たちは戦争犯罪人ではないというような質問主意書を提出していらっしゃいますけれども、この根拠を教えてください。

○内閣総理大臣(野田佳彦君) 根拠といいますか、そのいわゆるA級戦犯と言われている人たちの法的な立場の確認をすると、そういう趣旨の質問主意書を出したことがございます。それは、いわゆる国内法的にはこの問題は私は決着を付いてきたんではないかという意識があったものですから、当時、小泉総理が靖国を参拝されたときに、そのときに改めてその法的な立場を確認をしたいという趣旨から主意書を出させていただきました。そこから出てきた政府の答弁というものを、今私は政府の立場でございますので、尊重していきたいと考えております。

○山谷えり子君 菅総理はA級戦犯は戦犯だとおっしゃられたんですが、私は野田総理がおっしゃられることが正しいというふうに思います。サンフランシスコ講和条約で日本が主権を回復した後に関係諸国ときちんと法的な問題は整理し終わっている、また、国会決議でも戦犯ではないという形で整理し終わっているわけですから、野田総理はいみじくもこのままA級戦犯と言い続けるのでは人権侵害だとまでおっしゃられているわけですから、その思いを強く持ち続けていただきたいと思います。
 しかしながら、一方で、内閣総理大臣の靖国神社参拝は国際政治的な利害を踏まえて最終的な判断がなされるべきと言っているんですね。そうなんでしょうか。追悼、慰霊というのは国際政治的な利害を超えたものだと思います。なぜこのようにお考えになられるんですか。

○内閣総理大臣(野田佳彦君) 国際関係を含めて諸般の事情を考えた中で、やはり合理的な判断をせざるを得ないということだと思います。

○山谷えり子君 追悼、慰霊は主権的な問題でございます。今の答えは全く総理としての資格がないというふうに思います。・・・




平成十七年十月十七日提出
質問第二一号
「戦犯」に対する認識と内閣総理大臣の靖国神社参拝に関する質問主意書

提出者  http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a163021.htm


 十月十七日、小泉総理は靖国神社の社頭参拝を行ったが、これに対して各方面から批判が上がっている。
 内閣総理大臣の靖国神社参拝に反対する理由として挙げられるのが、「A級戦犯」という戦争犯罪人が合祀されている靖国神社に内閣総理大臣が参拝することは、日本が軍国主義を美化するあらわれとなる、という論理である。中国ならびに韓国からも同様の理由で、内閣総理大臣の靖国神社参拝に関して反対が表明されている。
 小泉総理は、今年六月二日の予算委員会において、参拝の理由を「軍国主義を美化するものではないし、日本が軍事大国になるために行っているのではない。この平和のありがたさをかみしめよう、二度と国民を戦場に駆り立てるようなことはしてはいけない、そういう気持ちを込めて」と述べると同時に、靖国神社に合祀されている「A級戦犯」を「戦争犯罪人であるという認識をしている」と述べている。
 小泉総理が「A級戦犯」を戦争犯罪人と認めるかぎり、総理の靖国神社参拝の目的が平和の希求であったとしても、戦争犯罪人が合祀されている靖国神社への参拝自体を軍国主義の美化とみなす論理を反駁はできない。
 極東国際軍事裁判に言及したサンフランシスコ講和条約第十一条ならびにそれに基づいて行われた衆参合わせ四回に及ぶ国会決議と関係諸国の対応によって、A級・B級・C級すべての「戦犯」の名誉は法的に回復されている。すなわち、「A級戦犯」と呼ばれた人たちは戦争犯罪人ではないのであって、戦争犯罪人が合祀されていることを理由に内閣総理大臣の靖国神社参拝に反対する論理はすでに破綻していると解釈できる。
 極東国際軍事裁判で「A級戦犯」として裁かれた人々の法的地位を誤認し、また社会的誤解を放置しているとすれば、それは「A級戦犯」とされた人々の人権侵害であると同時に、内閣総理大臣の靖国神社参拝に対する合理的な判断を妨げるものとなる。内閣総理大臣の靖国神社参拝は国際政治的な利害を踏まえて最終的な判断がなされるべきだとしても、「A級戦犯」に対する認識を再確認することは、人権と国家の名誉を守るために、緊急を要すると考える。
 従って、次の事項について質問する。

一 「戦犯」の名誉回復について
 1 極東国際軍事裁判に言及したサンフランシスコ講和条約第十一条において、「これらの拘禁されている者を赦免し、減刑し、及び仮出獄させる権限は、各事件について刑を課した一又は二以上の政府の決定及び日本国の勧告に基づくの外、行使することができない。極東国際軍事裁判所が刑を宣告した者については、この権限は、裁判所に代表者を出した政府の過半数の決定及び日本国の勧告に基づくの外、行使することはできない」とある。これは、日本国政府が勧告し、さらに刑を課した国ならびに極東国際軍事裁判所の場合は裁判所に代表者を出した政府の過半数が決定すれば、拘禁されているものは赦免、減刑、仮出獄されるという意味に相違ないか。
 2 昭和二十七年五月一日、木村篤太郎法務総裁から戦犯の国内法上の解釈について変更が通達された。これによって戦犯拘禁中の死者はすべて「公務死」として、戦犯逮捕者は「抑留又は逮捕された者」として取り扱われることとなった。さらに「戦傷病者戦没者遺族等援護法」の一部が改正され、戦犯としての拘留逮捕者を「被拘禁者」として扱い、当該拘禁中に死亡した場合はその遺族に扶助料を支給することとなった。これら解釈の変更ならびに法律改正は、国内法上は「戦犯」は存在しないと政府も国会も認識したからであると解釈できるが、現在の政府の見解はどうか。
 3 昭和二十七年六月九日、参議院本会議において「戦犯在所者の釈放等に関する決議」、同年十二月九日、衆議院本会議において「戦争犯罪による受刑者の釈放等に関する決議」がなされ、昭和二十八年八月三日、衆議院本会議においては「戦争犯罪による受刑者の赦免に関する決議」が全会一致で可決され、昭和三十年には「戦争受刑者の即時釈放要請に関する決議」がなされた。サンフランシスコ講和条約第十一条の手続きに基づき、関係十一カ国の同意のもと、「A級戦犯」は昭和三十一年に、「BC級戦犯」は昭和三十三年までに赦免され釈放された。刑罰が終了した時点で受刑者の罪は消滅するというのが近代法の理念である。赦免・釈放をもって「戦犯」の名誉は国際的にも回復されたとみなされるが、政府の見解はどうか。
 4 「A級戦犯」として有罪判決を受け禁固七年とされた重光葵は釈放後、鳩山内閣の副総理・外相となり、国連加盟式典の代表として戦勝国代表から万雷の拍手を受けた。また、それらの功績を認められ勲一等を授与されている。同じく終身刑とされた賀屋興宣は池田内閣の法相を務めている。これらの事実は「戦犯」の名誉が国内的にも国際的にも回復されているからこそ生じたと判断できる。仮にそうではなく、名誉が回復されていないとするならば、日本国は犯罪人を大臣に任命し、また勲章を与えたということになるが、政府はこれをいかに解釈するか。
 5 「A級戦犯」として受刑し、刑期途中で赦免・釈放された重光葵、賀屋興宣らの名誉が回復されているとすれば、同じ「A級戦犯」として死刑判決を受け絞首刑となった東條英機以下七名、終身刑ならびに禁固刑とされ服役中に獄中で死亡した五名、判決前に病のため病院にて死亡した二名もまた名誉を回復しているはずである。仮に重光葵らの名誉は回復されており、東條英機以下の名誉は回復されていないと政府が判断するならば、その理由はいかなるものか。
 6 すべての「A級戦犯」の名誉が国内的にも国際的にも回復されているとすれば、東條英機以下十四名の「A級戦犯」を靖国神社が合祀していることにいかなる問題があるのか。また、靖国神社に内閣総理大臣が参拝することにいかなる問題があるか。
二 極東国際軍事裁判について
 1 日本が受諾したポツダム宣言には、「戦争を起こした人間を裁く」とは一切書かれていない。また、弁護団の一人であった清瀬一郎弁護士は、「(ポツダム宣言の時点において)国際法のどこを見ても先進国のどこの法律でも『平和に対する罪』『人道に対する罪』という戦争罪など規定していない。だからA級といわれる戦争犯罪などは存在しない。もしあるとしたら、その管轄はどこにあるのか」と質問しているが、これに対してウェッブ裁判長は「いまは答えられない。あとで答える」と述べている。すなわち、「平和に対する罪」「人道に対する罪」に該当する「A級戦犯」とは、極東国際軍事裁判当局が事後的に考えた戦争犯罪の分類であり、法の不遡及や罪刑法定主義が保証されず、法学的な根拠を持たないものであると解釈できるが、政府の見解はどうか。
 2 「A級戦犯」が法学的に根拠を持たないとすれば、「A級戦犯」はそもそも戦争犯罪人に該当しないと解釈できるが、政府の見解はどうか。
 3 日本政府は、昭和四十一年に、極東国際軍事裁判の裁判官の一人として、同裁判の判決を全面的に否定したインドのパール判事に対して勲一等瑞宝章という、他の極東国際軍事裁判経験者には与えていない高ランクの勲章を与えているが、これはいかなる理由であるか。
 4 昭和二十六年十月十七日、衆議院平和条約及び日米安全保障条約特別委員会で、西村熊雄外務省条約局長はサンフランシスコ講和条約は「日本は極東軍事裁判所の判決その他各連合国の軍事裁判所によつてなした裁判を受諾いたすということになつております」と答えている。また、同年十一月十四日には、大橋武夫法務総裁が衆議院法務委員会で、「裁判の効果というものを受諾する。この裁判がある事実に対してある効果を定め、その法律効果というものについては、これは確定のものとして受入れるという意味であると考える」と述べている。
 一方、昭和六十一年に当時の後藤田正晴官房長官が、「裁判」を受け入れたとの見解を示して以来、現在の外交当局の見解も後藤田見解と同様となっている。
 判決あるいは裁判の効果を受諾したとする場合、裁判の内容や正当性については必ずしも受け入れないが、その結果については受け入れたと解釈できる。一方、裁判を受諾したとする場合は、日本は「南京大虐殺二十数万」や「日本のソ連侵略」等の虚構も含め、満州事変以来一貫して侵略戦争を行っていたという解釈を受け入れたことになる。
 日本政府が見解を変えた理由は何か。

 右質問する。




平成十七年十月二十五日受領
答弁第二一号

  内閣衆質一六三第二一号
  平成十七年十月二十五日

内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員野田佳彦君提出「戦犯」に対する認識と内閣総理大臣の靖国神社参拝に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b163021.htm

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衆議院議員野田佳彦君提出「戦犯」に対する認識と内閣総理大臣の靖国神社参拝に関する質問に対する答弁書



一の1について

 日本国との平和条約(昭和二十七年条約第五号。以下「平和条約」という。)第十一条は、極東国際軍事裁判所が刑を宣告した者については、同裁判所に代表者を出した政府の過半数の決定及び我が国の勧告に基づく場合に赦免し、減刑し、及び仮出獄させる権限を行使することができることにつき規定しており、また、その他の連合国戦争犯罪法廷が刑を科した者については、各事件について刑を科した一又は二以上の政府の決定及び我が国の勧告に基づく場合に赦免し、減刑し、及び仮出獄させる権限を行使することができることにつき規定している。

一の2について

 平和条約第十一条による刑の執行及び赦免等に関する法律(昭和二十七年法律第百三号)に基づき、平和条約第十一条による極東国際軍事裁判所及びその他の連合国戦争犯罪法廷が刑を科した者について、その刑の執行が巣鴨刑務所において行われるとともに、当該刑を科せられた者に対する赦免、刑の軽減及び仮出所が行われていた事実はあるが、その刑は、我が国の国内法に基づいて言い渡された刑ではない。

一の3から5までについて

 お尋ねの「名誉」及び「回復」の内容が必ずしも明らかではなく、一概にお答えすることは困難である。
 お尋ねの重光葵氏は、平和条約発効以前である昭和二十五年三月七日、連合国最高司令官総司令部によって恩典として設けられた仮出所制度により、同年十一月二十一日に仮出所した。この仮出所制度については、日本において服役するすべての戦争犯罪人を対象として、拘置所におけるすべての規則を忠実に遵守しつつ一定の期間以上服役した戦争犯罪人に付与されていたものである。
 また、お尋ねの賀屋興宜氏は、平和条約第十一条による刑の執行及び赦免等に関する法律により、昭和三十年九月十七日、仮出所し、昭和三十三年四月七日、刑の軽減の処分を受けた。この法律に基づく仮出所制度については、平和条約第十一条による極東国際軍事裁判所及びその他の連合国戦争犯罪法廷が科した刑の執行を受けている者を対象として、刑務所の規則を遵守しつつ一定の期間以上服役した者に実施していたものであり、また、この法律に基づく刑の軽減については、刑の執行からの解放を意味するものである。
 お尋ねの死刑判決を受け絞首刑となった七名、終身禁錮刑及び有期禁錮刑とされ服役中に死亡した五名並びに判決前に病没した二名については、右のいずれの制度の手続もとられていない。
 そして、重光葵氏及び賀屋興宣氏については、昭和二十七年四月二十八日、平和条約の発効及び公職に関する就職禁止、退職等に関する勅令等の廃止に関する法律(昭和二十七年法律第九十四号)の施行により、選挙権、被選挙権などの公民権が回復され、その後、衆議院議員に当選し、国務大臣に任命されたものである。また、重光葵氏については、昭和三十二年一月二十六日の死去に際し、外交の重要問題の解決に当たった等の功績に対して、勲一等旭日桐花大綬章が死亡叙勲として授与されたものである。

一の6について

 靖国神社の行う合祀は、宗教法人である靖国神社の宗教上の事項であるから、政府としては、合祀についていかなる問題があるのかお答えする立場にない。
 靖国神社に内閣総理大臣が参拝することにいかなる問題があるかとのお尋ねについては、法的な観点から申し上げれば、かねて述べているとおり、内閣総理大臣の地位にある者であっても、私人の立場で靖国神社に参拝することは憲法との関係で問題を生じることはないと考える。また、内閣総理大臣の靖国神社への公式参拝(内閣総理大臣が公的な資格で行う靖国神社への参拝をいう。)についても、国民や遺族の多くが、靖国神社を我が国における戦没者追悼の中心的施設であるとし、靖国神社において国を代表する立場にある者が追悼を行うことを望んでいるという事情を踏まえて、専ら戦没者の追悼という宗教とは関係のない目的で行うものであり、かつ、その際、追悼を目的とする参拝であることを公にするとともに、神道儀式によることなく追悼行為としてふさわしい方式によって追悼の意を表することによって、宗教上の目的によるものでないことが外観上も明らかである場合には、憲法第二十条第三項の禁じる国の宗教的活動に当たることはないと考える。

二の1について

 極東国際軍事裁判所の裁判については、御指摘のような趣旨のものも含め、法的な諸問題に関して種々の議論があることは承知しているが、いずれにせよ、我が国は、平和条約第十一条により、同裁判を受諾しており、国と国との関係において、同裁判について異議を述べる立場にはない。

二の2について

 極東国際軍事裁判所において被告人が極東国際軍事裁判所条例第五条第二項(a)に規定する平和に対する罪等を犯したとして有罪判決を受けたことは事実である。そして、我が国としては、平和条約第十一条により、極東国際軍事裁判所の裁判を受諾している。

二の3について

 ラドハビノッド・パール氏については、従前から世界の平和と正義を守る精神を強調し、これがため努力を傾倒している業績に対し、昭和四十一年十月四日、同氏の来日を機会に、勲一等瑞宝章が贈与されたものである。

二の4について

 平和条約第十一条は、前段の前半部分において、我が国が極東国際軍事裁判所等の裁判を受諾することを規定しており、これを前提として、その余の部分において、我が国において拘禁されている戦争犯罪人について我が国が刑の執行の任に当たること等を規定している。このように、我が国は、極東国際軍事裁判所等の裁判を受諾しており、国と国との関係において、同裁判について異議を述べる立場にはない。政府としては、かかる立場を従来から表明しているところである。