二つの統計でチェックしてみても、規制緩和によって事故率が大きく増えたとはいえない(高橋洋一氏) | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

二つの統計でチェックしてみても、規制緩和によって事故率が大きく増えたとはいえない(高橋洋一氏)

秘書です。

事故の再発防止のためには真の原因をつかみ、その原因を取り除かなければなりません。

もしも、事故の真の原因が規制緩和ではなく、法令違反やそのほかにあったのだとすれば、規制緩和を見直しても事故の再発防止にはならないでしょう。

客観的証拠に基づき議論しましょう。そうしないと、話がおかしなところに展開してしまいます。

今朝の「ニュースの深層」で高橋洋一さんが先の高速バス事故について語っています。


規制緩和でバスの事故は増えたのか。大統領選で国民が緊縮財政にNOを選択したフランスと、増税でも解散もない日本国民の不幸
2012年05月07日(月)zakzak高橋 洋一
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/32474


ゴールデン・ウィークのはじめ4月29日未明、関越道で起きた高速バス事故は7人の乗客が死亡する惨事となった。まったく痛ましい事故だ。亡くなった方のご冥福を祈るとともに、けがをされた方の一日も早い回復を祈りたい。

 事故原因は運転手の居眠りという。バスの運行会社は、事故を起こした運転手を日雇いとして受け入れるなど多数の法令違反があるようだ。

 一方で、規制緩和の弊害を上げる声もあるが、はっきりいえば、これだけ杜撰だと規制緩和以前の問題である。もちろん、規制緩和をするといっても安全管理で手を抜くことは許されない。その上で、今回の事故の背景に規制緩和が本当にあったのかどうかを調べてみよう。

規制緩和で事故は増加したのか

 バス事業は、乗合バスと貸切バスがある。今回は基本的に後者の話だ。交通分野での規制緩和は先進国に多くの例があるが、日本での取り組みは遅れ、1996年末の段階で当時の運輸省がようやく発表し、1998年度からの3ヵ年計画である第2次規制緩和推進計画に盛り込まれた。

貸切バスが先行して2000年2月に、乗合バスについては2002年2月に、需給調整規制の廃止等を内容とする改正道路運送法等が施行された(タクシーについても2002年2月に規制緩和された)。これらにより、事業の参入については、需給調整規制を前提とした免許制から、輸送の安全等に関する資格要件をチェックする許可制へ移行し、運賃制度についても、事業者の創意工夫により多様な運賃を設定することが可能となった。

 免許制と認可制は行政実務としてはあまり大差ない。認可制から登録制になると、行政裁量がなくなり、参入業者は飛躍的に増えるが、この意味で、この規制緩和はそれほどドラスチックなものでない。

中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba-bus

貸切バスの規制緩和では新規参入がやや促進したが、乗合バスではもともと採算が悪かったのであまり新規参入はなかった。その結果、貸切バスでは料金値下げがあったが、乗合バスでは一部に競争促進の事例があるものの全体としてみれば価格の低下などはあまりない。

先行して規制緩和した貸切バスや遅れた乗合バスのいずれでも、懸念されるのが事故率の変化である。認可制であるので、法律上の建前としては安全基準に問題がある業者は事前チェックによって排除される。ところが、実際にそうなっているかどうかがポイントであり、もし安全基準をないがしろにする業者が参入したとすれば問題である。

中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba-1
中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba-2

二つの統計でチェックしてみても、規制緩和によって事故率が大きく増えたとはいえない。むしろ最近時点では事故率は低回傾向になっている。これから規制緩和によって事故が増加しているとはいえない。

道路管理者の責任は

むしろ心配なのは、10年以上前に行われた規制緩和が原因だということによって、もっと大きな危険因子を見過ごしたり、それから目を背けることだ。

事後現場のテレビ中継をみていて、バスに高速の防音壁が刺さっている姿に違和感を覚えた人もいるだろう。そして防音壁の前にあるガードレールが防音壁より高速道の路肩の外側にあるのも不思議だ。関越高速を運転した人なら、陸橋部分は路肩の幅が少なく、防音壁はその前のガードレールより高速道のセンター寄りに設置されていることを知っているだろう。

バスは運悪く、防音壁に刺さってしまったのだと思う。もしガードレールが防音壁の内側にあれば、防音壁に刺さらずに済んだだろう。もし、もう少し先で防音壁に直接接触したなら、防音壁は刺さらずにこれだけの大惨事にならなかったかもしれない。


今回の事故で、国交省は旧運輸省案件としてバス運行会社の監督面ばかりを強調しているが、旧建設省として道路管理者の責任はないのか。安全管理の責任は国交省にもあるだろう。

・・・