60歳以上の方がほとんどの地域のギタークラブに所属していた。男性は、定年になってから初めてクラシックギターを習う方が多かった。メンバーのTさんから伺った話から考えたことを書く。

 Tさんは、20代の頃からギターの音が好きだった。独身の頃は、お小遣いは自由に使えたので、有名な製作家の「手工ギター」を購入した。当時でも手工ギターの新品は、最低30万円からだった。現役中は、忙しくて教室に通うこともなく、定年を迎えた。定年からプロの講師について習っているが、上達が感じられず、充分楽しめていない、とおっしゃっている。

 このお話しを伺って、独身の20代の時にプロのレッスンを6か月でも受講されていたら、定年から本格的にプロに習われるにしても、違っていたのではないかと、私は思った。

 ギターを始めるなら、15~20万円ぐらいは初期投資のお金として準備する。そのうち楽器とギターケースの購入に使う金額は、その半額くらい(国産の量産ギターの入門モデルがお薦め)までにして、あとの半額は、プロの対面レッスンを受けることに使った方が、良いと思う。レッスンは、練習して臨まなければならないのでエネルギーを要する。できていない点を指摘されればストレスを感じることもあるだろう。その大変な(それでも楽しい)ことを若いうちに経験しておくと、ブランクののち再開する場合でも敷居は低く感じられるはずだ。  

  手工ギター(量産品より良い音が出せるのでどの講師も薦めると思う)を「買う」ことは、「レッスンを受ける」ことよりは少ないエネルギーでできる。だから、初期投資できる金額の全額を楽器に投じるべきではない。若いうちに6か月でもプロの対面レッスンを受けると、そこでやめたとしても、その後の独学(Youtube を使う独学がお薦め)で吸収できるものが違うだろう。6か月でやめないで、費用負担が少ないオンラインレッスンで月1回でも続けられたら、さらに学習効果は高くなる。

 以前の「新堀ギター」(現在の「新堀ギター」については知らない)のような、高価な輸入ギターを初心者に売りつけ利益を出そうとする業者につかまらないように、気をつけてほしい。