カラマリ・ユニオン
■アキ・カウリスマキ監督
■1985年
■フィンランド映画
カラマリ・ユニオンに属する
『名前がフランク』『サングラス(ほとんどのメンバー)』の男たち15人が、
労働者の搾取から逃れる為、理想の地『エイラ』を目指すストーリー。
特に事前に内容を知らず観始めたので、
『そもそも何のユニオンなんだ?』『こいつら誰だ?』からはじまり、
映像の力と、不思議な世界(でも現実的でもある)に最後まで観切ってしまった。
意味がわからないっちゃわからないけど、
映像とストーリーに好奇心を持っていかれてしまう。
比喩や暗喩がたくさんあると思うけど、
それは観た人それぞれに違うんだろうな。
寓話的であり、どこか、現代世の中の疲れた一面とも一致している。
モノクロだからこそ、街の、ひんやりとした感じが際立って、
エイラはキラキラしたものなんだ・・・それを目指すんだ・・・と、
自分も、なんとなく16人目のフランクとして旅をしていた気持ち。
目指す道の途中どんどん脱落していくフランクたち・・・。
それぞれ愚か可愛いのだけど、観終わって数ヶ月経った今、特に印象的なのは5人。
●旅の冒頭すぐに打たれるフランク
↓
呆気なさが人間感
●お金を持っていそうな女性の車に、仲間を残し乗りこんでいくフランク、
しかしその車はエイラを目指さない事を残りのフランクは知っている。
↓
きっと本人もどこかでわかっている、
でも、明るいと見える方に行きたくなってしまう、行ってしまうんだよね・・・。
その愚かさが人間の愛嬌でもあり、なんか泣き笑いって感じ。
●成功者になりかわったのに自殺してしまうフランク
↓
本当に目的としていたものを無くしたら、
もう生きていても空虚なんだろう。
●そして、最後にエイラにたどり着いた二人は、
『遅すぎたんだ・・・』と更に海へ漕ぎ出していく。
↓
絶望し切るのではなく、漕ぎ出していくのが、
パンドラの箱の底の希望。
今後何度も観る映画になる気がした。
エイラの先で、二人のフランクに幸せになって欲しい。