生損保業界の平成28年熊本地震への特別対応について/災害地域保契約照会制度 | なか2656のブログ

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この度の地震災害により被害を受けられた皆様に心からお見舞い申し上げます。

1.災害地域保険契約照会制度
4月14日に、熊本県は県内全 45 市町村に災害救助法の適用を決定しました。

これを受けて、生命保険協会および日本損害保険協会は、①保険料の払込み猶予期間の延長、②災害地域生保契約照会センター・自然災害損保契約照会センターの設置などを決定し、プレスリリースを発表しています。

・災害救助法適用地域の特別取扱いについて(熊本県)|生命保険協会

・平成28年熊本地震に係る特別措置の実施について|日本損害保険協会



この、災害地域生保契約照会センター・自然災害損保契約照会センターとは、災害救助法が適用された地域において被災されたお客さまについて、家屋等の流失・焼失等により保険契約に関する手掛かり(保険証券など)を失い、保険金の請求を行うことが困難な場合等において、保険契約の有無のご照会に、生命保険に関するものは生命保険協会に設置された災害地域生保契約照会センターが、損害保険に関するものは日本損害保険協会に設置された自然災害損保契約照会センターが対応する制度です。

調査対象となる保険契約の範囲は、生命保険については、生命保険協会に加盟の会社全社(つまりわが国の生命保険会社全社)の個人保険の保険契約が調査対象となります。また、損害保険については、日本損害保険協会に加入の保険会社から再保険専業以外の保険会社すべての個人保険の保険契約が対象となります。

照会制度を利用できる方の範囲は、原則として、被災された方(ご本人)、被災された方(ご本人)の親族(配偶者・親・子・兄弟姉妹)となっています。

ただしこの範囲に含まれる方からの照会であっても、保険金受取人が別人に指定されている場合など、個人情報保護等が問題となる場合は、情報が開示されない可能性があるとされています。

・災害地域生保契約照会制度について|生命保険協会

・自然災害損保契約照会制度について|日本損害保険協会

(なお、震災の場合に限らない話ではありますが、生損保の保険証券は、小切手のような有価証券ではなく、証拠証券にすぎませんので、ご自身が加入している保険会社が分かっていれば、万一保険証券などを紛失しても、その会社のコールセンターや支社・本社等に連絡をすれば、契約内容の変更や保険金請求などを行うことができます。)

2.保険料払い込み期間の延長などの特別対応
(1)生命保険協会のプレスリリース
こちらはつぎのように特別対応を説明しています。

①保険料払込猶予期間の延長
保険契約者からの申出により、6か月保険料の払込み猶予期間を延長する。

②保険金・給付金、契約者貸付金等の簡易迅速なお支払い
これは具体的には、保険金・給付金請求などの際の必要書類を通常よりもさらに簡略化するということであろうと思われます。

現行でも約款上は入院給付金請求に際して、住民票、戸籍抄本や印鑑証明書などが必要とされるところ、保険金支払部門の実務ではそれが省略されている、ということもあります。

(2)日本損害保険協会のプレスリリース
こちらはつぎのように特別対応を説明しています。

①継続契約の締結手続き猶予
 継続契約の締結手続きについて、最長6か月間(2016年10月末日まで)、猶予できる。

②保険料の払い込み猶予
 保険料の払い込みについて、最長6か月間(2016年10月末日まで)、猶予できる。

3.すべての生命保険会社が平成28年熊本地震による免責条項等の不適用を決定
さらに、これも少し前のブログ記事で紹介したとおり、4月15日付の生命保険協会のプレスリリースは、「各生命保険会社では、被災されたお客さまのご契約については、地震による免責条項等は適用せず、災害関係保険金・給付金の全額をお支払いすることを決定した」旨を伝えています。

・すべての生命保険会社が平成28年熊本地震による免責条項等の不適用を決定|生命保険協会

この地震などに関する免責条項について詳しくは、以下のブログ記事をご参照ください。

■関連するブログ記事
・東日本大震災の3日後に発生した火災で焼損した建物に係る火災保険金の「地震・津波」免責該当性

震災の法律相談Q&A



生命保険の法律相談 (新・青林法律相談)



保険法 第3版補訂版 (有斐閣アルマ)





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