そこで、先日、国立天文台の常時公開の見学にいってきました。
正門です。
受付の建物の青い屋根がきれいです。
先端的な科学技術を扱っている研究機関なので、セキュリティの関係上、入るには厳重な手続きが必要なのかと思いきや、受付で氏名などを書類に記入し、地図やかんたんな説明などが記されたリーフレットをいただき、敷地内に入ることができました。
おおらかですばらしい・・・。
入り口をはいってすぐにあった地図です。赤色に塗られている道路が、一般人が立入が許されている場所です。
まずは、第一赤道儀室というところにいってみました。
説明文によると、この建物は国立天文台のなかで一番古く、1921年にドイツ製の20cm屈折望遠鏡が設置され、太陽観測に用いられたそうです。
つぎに、天文台歴史館というところにいってみました。
とても大きな建物です。説明文によると、構内で一番大きいとのことでした。
1929年に65センチ屈折望遠鏡が設置され、主に天体の運動を調べる写真撮影に使用されたそうで、現在は歴史館として使用されているそうです。
この65センチ屈折望遠鏡というものが、非常に大きくて驚きました。
天文観測用クロノメーターだそうです。
こちらは手回し計算機だそうです。ちょっと意外だったのは、説明書によると、1970年頃まで現役だったとのことです。
そういえば、映画『アポロ13』で、ミッションコントロール・センター内で、オペレーターたちが、定規を組み合わせたような装置で計算をしているシーンがあったような気がします。
これは望遠鏡に取り付けて使用したドイツ製のカメラなのだそうです。
こちらは日本製のカメラだそうです。三鷹光器という会社の製品だそうで、木星の惑星の観測に活躍したそうです。
そういえば、近所の人から、この三鷹市大沢は古くから国立天文台がある土地柄なので、レンズの研磨技術などに優れた会社がいくつも昔からあると聞いたことがあります。
昨年秋の特別公開日を見学した際は、すばる展望鏡に関するさまざまな展示がなされ、その最後の展示パネルには、
「このような「すばる」の開発・建造は、一品ものだから失敗したら会社が倒産しかねないというリスクにもかかあらず、そのリスクをあえて引き受けて難しい部品の製造・開発にたづさわってくださった、多くの地元の技術力の極めて高い中小企業の皆さんのたくさんのご協力の賜物です。感謝申し上げます。」
という趣旨の公立天文台の管理職の感謝の言葉を記したパネルがあり、とても印象深いものがありました。
『プロジェクトX』の世界ですね。
つぎに、『ガリレオの望遠鏡の精密なレプリカ』というものがあり、驚きました。
「それでも地球は回っている」の台詞で有名なイタリアのガリレオ・ガリレイが天体観測をおこなって400年を記念した「世界天文年2009」にちなみ、国立天文台が、フィレンツェ科学史研究所博物館の資料をもとに作成した精密なレプリカだそうです。
奥のものは、外装だけでなく光学系も再現しており、当時の天体観測を再現できるそうです。
65センチ屈折望遠鏡の操作盤だそうです。なんというか、いかにも「メカ」という感じですね。
なお、この国立天文台は、三鷹市大沢の小さな山のうえ(武蔵野台地のハケのうえの部分)の森林のなかにあり、非常に自然ゆたかです。
「毒ヘビ注意」という看板が生々しいです。
余談ですが、私は大学時代、八王子にある中央大学の多摩キャンパスに4年間通ったのですが、こちらも完全に山のうえの森林のなかにあり、「陸の孤島」状態でした。毎日、登校のために、最寄駅の多摩動物公園駅から山道を登って行くのですが、傍からみるとハイキングです。(最近はモノレールが開通したそうなので、違っているかもしれませんが。)
そして、中大の構内にも「マムシ注意」の看板がありました。大学の保健センターには、マムシに対する血清が用意されていると聞いたことがあります。
こちらは、一般人は外から建物をみることしかできないのですが、太陽塔望遠鏡(アインシュタイン塔)というのだそうです。
説明文によると、1930年に建造されたこの太陽望遠鏡は、アインシュタインの一般相対性理論により予言された、「太陽の重力によって、太陽光スペクトルの波長がわずかに長くなる現象(アインシュタイン効果)」を検出することを目的に作られたそうです。
アインシュタイン効果の検出自体はできなかったものの、第二次大戦後の改良後、太陽フレアや黒点磁場の研究などで世界的な成果をあげたそうです。
コスモス会館という、食堂と購買部のはいっている建物がありました。
なかはこじんまりとした食堂と購買部なのですが、さりげなく壁にこのような大きなポスターがありました。
「マース・ハビテーション1構想」
説明文によると、火星に短期的に滞在するだけでなく、中長期的に滞在するための基地の研究開発の構想なのだそうです。
そして、そのポスターの前には、精密な、火星における基地の立体模型が展示されていました。
宇宙開発ものの幸村誠先生のマンガ「プラネテス」に登場する火星基地や、同じく太田垣康男先生の「ムーンライト・マイル」に出てくる月面基地もこんな感じだったような気がします。
いやー、ガチですね。すばらしい!
また、つぎのような、MACのパソコンの販売促進のポスターも掲示されていました。
理工系の教職員や学生の方々は、やっぱりMACなんだなーと思いました。
購買部では、学生さん達の勉強道具や食べ物などとともに、一般の見学者向けに、いろいろな記念品を販売していました。
私はハワイのマウナケア山のすばる望遠鏡をモチーフにしたバッチを記念に購入しました。
すばる望遠鏡はさまざまな成果をあげているようですが、個人的には、太陽系外の惑星の研究が楽しみです。
・太陽系外の複数惑星系における惑星同士の食を初めて発見|東京大学
また、購買部には、縣秀彦『地球外生命体―宇宙と生命誕生の謎に迫る―』という新書が平積みで売っていました。
家に帰ってネットで調べてみると、この縣先生という方は、国立天文台の准教授であるそうです。太陽系外の惑星や、そこにいるかもしれない生物に関心がある私としては、この新書はぜひ購入して読んでみたいと思いました。
また、国立天文台の敷地内には、「三鷹市 星と森と絵本の家」という施設がありました。
庭先にあった、今となっては貴重なベーゴマ
入り口部分は鉄筋コンクリート製ですが、なかの部分は、大正時代に建設されたという、古風な和式の建物です。ここはかつて、国立天文台に勤務する職位の高いお役人が住む官舎だったそうです。
おちついた雰囲気に、都内なのに、なんだか温泉旅館にでも来たような気分です。
現在は、子どもたちが絵本を楽しむことができる施設となっています。
子どもたちが「おすすめの絵本」を書いた用紙を掲示してるコーナーがありました。
宇宙に関する絵本を特集したコーナーもありました。
たとえば佐賀県の武雄市は、新自由主義を強烈に推進し、武雄市図書館を指定管理制度によりツタヤによる民営化を行っています。
しかし、こういう取り組みをみると、三鷹市役所はわが国の憲法の定める公務員制度の本旨に基づいて、ぶれることなく、企業の利益のためではなく、市民のために福祉・社会保障の分野をがんばっているのだなと思います。
・国立天文台サイト
・三鷹市 星と森と絵本の家
■追記・国立天文台の見学について
いただいたリーフレットなどによると、国立天文台は、うえのような常設公開だけでなく、つぎのような公開も行っているそうです。
・20名以上の団体で、事前の予約をすると、職員の方が施設を説明・案内してくれるそうです。
・また、第一赤道儀室での太陽観察会の実施日があり、ウェブサイトに掲載されている日時に行くと、職員の方が太陽観察をさせてくれるそうです。
・見学案内・国立天文台サイト
大人がいってもこれだけ楽しめるのですから、たとえば小学生くらいの子どもが行ったら、理科・科学への興味を育てるために大変有益なのではと思いました。
■補足
●国立天文台の2014年10月の「三鷹・星と宇宙の日2014」については、こちらをご参照ください。
・国立天文台の特別公開「三鷹・星と宇宙の日」2014に行ってきました
●2015年4月のJAXA調布航空宇宙センターの一般公開については、こちらをご参照ください。
・JAXAの調布航空宇宙センターの一般公開に行ってきました
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