(画像は後掲のLivedoor NEWSより)
店内に掲示されたPOPは「銀行印にも!?」という感じでした。おお、これがネットでときどき話題になる「痛印」かー。お値段はそれなりにするけど、とても精密な感じでした。
しかし、そもそも銀行印として大丈夫なのか?という問題はたしかにあるかと思います。
法律上は、そもそも民法の原則的な考え方としては、契約をしようとする両当事者の申込(「買います」という意思)と承諾(「売ります」という意思)の意思表示が合致しさえすれば売買契約などは成立し、その法律効果は発生します(民法555条など)。べつに契約書のない口約束であっても契約は成立します。
ただし、やはり口約束だけでは後日もめたときに、言った、言わないとこじれてしまうので、やはり文書や契約書などを取り交わしましょうということになります。
私たちがアパートやマンションを借りる際の賃貸借契約書にはじまり、雇用契約書や、株式会社の取締役会議事録のように重要な書面や、あるいは生損保や証券会社などの金融商品の販売の際に重要な事項を記載した書面を金融機関が消費者に渡すのも、やはり文書の大事さのあらわれでしょうか。
(なお、議事録の作成・保管・閲覧の手続きや、保険会社などの重要事項説明書等の交付などは法令にそれを義務づける規定があります。)
この点、印鑑に関しては、民事訴訟法228条4項が、私文書は署名または「押印」があるときに真正に成立したものとみなすと規定しています。
また、会社法も369条等が議事録などの文書に関して署名または「記名押印」でもよいと規定しています。
つまり、べつに印鑑の印影にさやかちゃんやマミさんのイラストがついていたら駄目といった法律上のきまりはとくに無いので、痛印であっても銀行印はいけると思います。
実印、つまり印鑑登録は市役所の担当者の気分次第なのでしょうか。(国・自治体内部の通達・事務マニュアルを見たことがないのでよくわからないですが。しかし法律上、大々的なNOという条文がない現状では、公序良俗に反するような印鑑は別として、お役所も正面切ってNOと言いにくいような気がします。)
あとはまあ、かりに銀行印や実印として登録したとして、それを実際に使う度胸があるかどうかの問題でしょうか・・・。キャラクターへの愛や忠誠心をとるか、それとも社会常識や理性をとるか、それが問題な気がします。
とはいえ、銀行印とするか否かはおくとして、とてもユニークで精密な商品であり、数量限定の公式グッズとのことで、ふところに余裕のあるファンの方は買いだと思いました。
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