術後数日はだるいとか疲れるとか言ってた夫も
翌週には言いたい事言うようになり食事は相変わらず出来ないものの
あれが食べたいこれが食べたい あれが欲しいこれが欲しいと
要求も増え 
無理やり連れて行った息子も嫌な顔する事なく
夫とどうでもいい雑談を笑いながらしたり
夫も笑ったり「こうなったら何でもやったるよ 生きないとな!」
『元気じゃん このまま良くなるかも』能天気な私は希望さえ持っていました

術後2週間位した頃家で掃除をしてると
「次来る時サクレ買って来て 先生から許可出た」ラインが来ました
「今から行くよ すぐ食べたいでしょ?」
「サンキュ!!」
すごく夫婦らしい内容に少し笑いました。

病院に届けると「美味いな~」と言い休みながら30分くらいかけて
夫は完食しました。

その2日後夫が独身の頃から大好きで全く頭の上がらない
友達に連絡をして面会に来てもらいました。

前日看護師さんに事情を話しドライシャンプーでも構わないので
できないでしょうか?と相談すると
「いいですよベッドに寝たままでも普通にシャンプーできる
特殊なシーツがあるんですよ午前中にやっておきますね」と言ってくれました。
夫に「お姉きてくれるって良かったね 看護師さんが髭も剃ってくれるってよ」と伝えると
「髭はだめ 自分でやる」ちょっと声が弱い感じがしました

同時にケアワーカーさんと数日前から緩和ケア病棟いわゆるホスピスの
話をしていて夫も興味を持っていて
「明日ならケアワーカーが空いてますので予約しますか?」と話があり
でしたら面会の時お願いしますと予約をしました

この日を境に夫の体調は波のように不安定になっていきました

翌日友人を駅に迎えに行き一緒に病院へ行くと
声は弱くあまり調子の良くない夫も友人の顔をみるなり
「お姉~」「旦那さ~ん」二人はしばらくハイタッチのまま手を合わせていました。
ケアワーカーさんが来て 夫・友人・子供達・私5人は
ケアワーカーさんと看護師さん二人に付き添われ緩和ケア病棟見学に行きました。

想像以上で豪華シティホテル並みの設備で
寝たきりでも安全に入れる可動式の浴槽がある浴室
高い場所にあるので景観もよく、モデルルームの様なキッチン
緩和ケア病棟の患者さんにはアルコールも許可されてる人もいると
仕事がら高級ホテルを見慣れてる友人さえ
「これはすごいね」 「あーなんですか?」「こーなんですか」
それぞれが色々質問をし 
キッチンにあったかき氷を食べたいと言い出した夫に「内緒ですよ 本当は病棟の人しかダメなんです」
こそっとケアワーカーさんはかき氷を作ってくれました。

自分の病棟に戻り
「どうしたい?」夫に聞くと上を指さしました
「さっきの所がいいの?」 うなずきました

その日以降毎日看護師さんにいつ急変してもおかしくないので
覚悟してくださいと言われていました。