大島の放った貴重な血継限界である灼遁の術は、周囲の地形を変えてしまうほどの威力であった。



「はぁ…はぁ…参りましたね。そんな術を持ってたなんて。今のでチャクラも残り少なくなりました。」



思いがけない大島の大技に、菊地は時空間忍術に多量のチャクラを消費していた。



「灼遁だよ。あっちゃん以外に使ったのは初めてだ。」

「どうやらもう私に勝ち目は無さそうですね。」

「お前……どこでそんな力を?」



大島が菊地にたずねる。



「分かりました。全部話してあげます。優子ちゃん、いやKの里の忍はこの一連の事件で私が急に裏切ったと思ったかもしれません。でもこの計画は何年も前から計画されていたことです。」



「何年も……?」


「私たちアカデミー3期生は上の世代の人たちと違って結束力が半端じゃなかった。卒業するときにそれぞれの里に配属されることが決まったけど、もし戦争が起きたときにお互い殺しあうことがどうしても嫌だったんです。でもそんな思いを抱いていては里で忍としてやっていくことはできない。だから、ゆきりんとまゆゆがBの里以外に配属されるメンバーにある術をかけたんです。」



「ある術?」



「はい。私たちがKの里、Aの里の忍として過ごせるために、私たち3期生の結束を忘れさせ、もし戦争が起きたときにあの二人の合図でもとに戻るという幻術です。私はあの二人に次ぐ実力があったけど、Kの忍として有名になると不都合があるかもしれなかったんで、幻術でその力を抑え込まれていたって訳です。」



菊地の話に大島の頭には疑問がいくつも浮かんだ。



「そんなことに何の意味があんの?」



「ゆきりんとまゆゆは仲間の命を何よりも大事にする。今はBの里の忍全ての命が大切。でもアカデミーで過ごした仲間も大切。私たちはその思いに応えたい。もしAKの3期生が全員ゆきりんとまゆゆの元に戻ったなら、AKが組んだとしても互角でしょうね。」



菊地が話し終えると、そこに田名部と米澤が現れた。



「二人も裏切るってわけね……」

「だから裏切るわけじゃないですって。自分たちの本来の居場所に戻るだけです。」

「あたしがおとなしく逃がすと思うか?」



大島が凄みをきかせる。しかし菊地には大島のチャクラも残り少ないことが分かっていた。



「そんな怖い声出しても無駄ですよ優子ちゃん。それでは私たちは行きます。今後のことを考えれば優子ちゃんを殺しておきたかったんだけど……まあ、いいや。」



「これもあの二人の命令なのか?」



「いや、これは私の勝手な行動ですよ。優子ちゃんと戦ってみたかったんです。時空間忍術まで見せちゃったからまゆゆに怒られるなぁ……」



菊地が珍しく暗い表情を見せる。そして大島が何か言う前に3人はその場から去って行った。



「あっ……くそ……まだ聞きたいことあったのに!!それにしても、あの強さは面倒だな……あたしもこのままじゃダメだな。」



大島は一連の出来事の報告のために本部へ向かうまでの間に、これから自分がすべきことに思いを巡らせていたのであった。