こんにちは。

 

以前から気になっていた本がありました。

「ゆるい職場」(古屋星斗著・中公新書ラクレ)です。


ようやく手にする機会があり読んでみました。


⚫︎ゆるいのがいいのか、悪いのか

読んでみようと思ったのは、「ゆるい」という肯定的にも否定的にも取れる言葉の響きに心が動かされたからです。

 

この本で、古屋さんは今の職場と若者との間のギャップについて見事に論じ、分析しています。


かつては、上司が部下を厳しく、そして丁寧に指導し育成する風土がどこにもありました。


それが時には「きつい」職場と受け取られ、新卒社員がすぐに辞めてしまう原因のように言われていました。

 

それが、「働き方改革」で労働時間管理が厳格になり、また、パワハラ防止が法制化されるという労働環境の変化のなかで、職場を「きつい」と感じなくなったというのです。

 

それでは、「ゆるい」職場が若者にとってよいかというと、そうとは限らないのです。


ここにいて大丈夫だろうか、キャリア形成に役立つのだうかと、不安を抱くようになったというのです。


これまでは、「きつい」から辞めていたのが、今度は「ゆるい」から辞めるというふうに変わったのでした。


これではどう接したらいいか、中間管理職は頭を抱えてしまいます。


自分たちは、若い時に経験した「きつい」職場しか知らないため、部下への接し方が分からないのです。


⚫︎これからはヨコで育てる

さらに、古屋さんは、労働市場の流動化が進み、中途採用が増えると、さらに部下の育成が難しくなると指摘します。


今進められようとしている「労働市場改革」は、職場での部下育成をますます困難にするかもしれません。


こうした状況を打開するために、これまで上司が部下を育てるという「タテ」の関係ではなく、社内あるいは社外での「ヨコ」の関係を活用することで、自律的に育てることを提案しています。


社会全体の仕組みが変わってしまった以上、もう元に戻ることはありません。


どうやって人材を獲得し育成していくのか、人事労務担当者の悩みは尽きることがありません。



今回もお付き合いいただきありがとうございました。次回の更新でお会いできたら嬉しいです。