こんにちは。


特定社労士試験当日、「ウーバー配達員は労働者」との新聞見出しを目にしました。


その時は試験のことで精一杯でよく見ていませんでしたが、改めて読み直してみると、興味深い内容の記事でした。


それによると、この事案はウーバーイーツの配達員でつくる労働組合が運営会社に団体交渉を申し入れたところ、それが拒否されたことから、東京都労働委員会に救済を申し立てたというものでした。


早速、東京都のホームページを見てみると、そこには地労委の「命令書」本文が掲載されていました。


今やこうしてすぐに情報元にアクセスできるのはとてもありがたいことです。


「命令書」に書かれた「争点」は3つです。

①配達員は労組法上の労働者に当たるか

②運営会社は労組法上の使用者に当たるか

③本件が正当な理由のない団交拒否に当たるか


新聞見出しにあった「労働者」とは、労基法上の「労働者」ではなく、労組法上のそれだったということが分かります。


同じ「労働者」という規定であってもその範囲が異なるのは社労士学習でも学習したとおりです。


この事件の論点はその「労働者性」の判断のなかで、運営会社が提供する「プラットフォーム」の機能をどのように評価するのかという点でした。


この点について、地労委は、「プラットフォーム」は飲食店と配達員を結びつけるだけにとどまらず、配達業務の遂行に様々な形で関与しているとして、


そのうえで①事業組織への組み入れ②契約の決まり方③報酬の労務対価性で広い意味での指揮監督関係を認め、労組法上の「労働者性」を認めたのです。


プラットフォーム上で仕事を請け負う「ギグワーカー」の「労組法上の労働者性」を認めた国内初めての法的判断ということです。


印象としては、配達員が置かれた事情を好意的に受け止めたように感じますが、あくまで団交の権利が認められたというレベルに過ぎません。


本質的な労働条件改善につながる労基法上のそれとは異なるものですので、真の解決はこれからの法的判断や政策議論を待つしかありません。


「フリーランス」の保護をどうするかが注目されていますが、この「ギグワーカー」の事案が議論を活発にするよい機会になればと思っています。



今回もここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。次回もまたアクセスしてください。


 


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