こんにちは。


今年もそろそろと思っていたら、8月20日付けの日経新聞に今年度の「都道府県別最低賃金」をまとめた記事が掲載されていました。


まだ公表のない2県を除く45府県分ですが、全体の傾向を見るには充分です。


詳細な内容はそちらに譲るとして、社労士の立場から見た気付きを記しておきたいと思います。


1つは、中央最低賃金審議会が示した「目安」が見事に機能した(?)ことです。


これまではほとんどの府県が「目安」どおりの引き上げとしていましたが、今回は実に20府県がこれを上回る引き上げとしたのです。


地域が実情に応じて自主的に決定したという意味で、「目安」がほんとうの意味での「目安」として働いたと言えると思います。


ちなみに、「目安」を上回る上乗せは、

▶︎3円上乗せ:4県

▶︎2円上乗せ:8県

▶︎1円上乗せ:8県 


となっており、その多くが東北、中国、四国、九州・沖縄となっているのが特徴的です。


追記:その後全都道府県の最低賃金が出揃い、「3円」は5県、

「1円」は9県となり、「上乗せ」は全部で22県となりました。


もう1つは、隣接県・周辺地域間の「横並び・競争意識」が強く現れたことです。


例えば、「九州」では「福岡」を除く6県が「2円上乗せ」で足並みを揃え、「沖縄」は「3円上乗せ」で最低賃金額を他県と同額まで引き上げました。


一方、「鳥取」と「島根」は前々年度までは同額でしたが、前年度「島根」が「4円上乗せ」したことから「3円差」ができました。


今回は、両県とも「3円上乗せ」したため、その差が縮まることはありませんでした。


「秋田」と「山形」の間でも同じようなことが起こっています。


地域事情がよく似た隣接県や周辺地域では、人材確保の観点からお隣さんの動向を常に意識して引き上げ額を決めざるを得ない事情がうかがえます。


このように、最低賃金の決定において地域の自主的判断の動きが出てきたことは歓迎すべきことです。


一方、「目安」額の設定や府県の上乗せ額の決定において、最低賃金法が目指しているような生計費や賃金支払能力が軽視されているような気がします。


いずれにしても、物価上昇には追いつかない賃金の引き上げと、人件費の上昇で、労使ともども喜んではいられない状況が続きます。



今回もここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。次回もまたアクセスしてください。



夏だ!ビールだ!take26


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