7月になっても彼女の反応は変わらなかった。


授業でもそっけなく挨拶され、メールの返信もそっけない、


そんな日々がずっと続いていた。






もう、我慢の限界だった。






強引にランチに誘って話してても、乗り気じゃない。




就職活動が終わったら、学生でしかできないことをしよう。例えば、笑っていいともを見るとか」





ちょっと面白そうなことを話しても無反応。


むしろ、彼女は気まずそうにする。


まともに目を見ないようにも思えた。





僕は疑っていた。






「彼女に彼氏ができた、もしくは、好きな人がいるのではないか」




遊ぶばかりかランチまで誘っても、何か理由をつけて断られる。


彼女も下手で、理由もあからさまだ。





「忙しい」


「その日、予定が入るかもしれない」






そして、僕は決意をした・・・・


もし、このメールでウソをつかれたら


正直な気持ちをぶつけよう!


ウソにはウソということで、


初めて誘ったメールを送ることにした。




「おはよう。また試写会が会ったんだけどいかない?10日の18時30分なんだけど」




メールはいつものようにすぐには返ってこない。


常に心臓の音が聞こえるぐらいドキドキしている。


そして、5時間後メールが返ってきた。




「その日はダメなんだ。最近忙しくて・・・ごめんね」




いつもの断り文句。


ウソをついているのは明らか。


忙しくても時間を作ろうと思えばいくらでも作れる。





どんなに就職活動が忙しくても彼女に会ってきた。





就職活動中によく「忙しい」と言う人がいるけど、


それは時間がないのではなく、時間を作らないだけだと思う。


社会人の方の方が学生よりも忙しい。





学校からメールを送っていたけど、


学校では話しづらいのですぐに家に帰ることにした。


電車の中では早く話したいと思い、イライラしていた。




電車の乗り継ぎも常に走り、汗だくになっていた。




家に帰るとすぐに電話の前へ向かい、「受話器」をとる。


電話嫌いな僕が心の底から電話で話したいと思った。



ケチな僕はこんなときでも、お金のことを気にしていた。


自宅の電話なら、長時間話しても問題ない。





意外に冷静だった。





電話番号を何度も確かめながら打った。


番号は合っているに違いないけど、


不安で何度も打ち直した。




3度目で「通話」ボタンを押す。


すぐにつながる。





「木村ですけど」






彼女は就職活動 の電話と勘違いし丁寧な口調で答える




「もしもし、小川です。ちょっと電波が遠いようなのですが・・・」


「オレだって。木村。」




彼女は自分からの電話だと気づく、


それと同時に話しづらいのか沈黙になる。


その様子を僕は察して、真面目に話す。




「ちょっと真面目に話したいんだけど時間いいかな?」


「いいよ・・・」



次の言葉がなかなかでない。

これを言えば、彼女とは終わってしまうかもしれない。


そう思いながら、勇気を振り絞り話しかける



「さっきのメールだけど、うそでしょ?」


「えっ・・・・」



彼女の反応で僕にはわかった。


それが本当だってことが。


少しづつ怒りがこみあげ、高圧的な口調になる。




「他に好きな人ができたんでしょ?どうなの?」


「・・・・・」


「答えてくれないとこっちも困るんだけど・・・」


「・・・・・」




沈黙が流れる。


彼女は学校にいるようで


電話の後ろから話し声が聞こえてきた。


僕は彼女が答えるまでじっと待つ。




「ごめん、そうなんだ。」




僕の怒りは頂点へ。


ライオンが獲物を狙うように逃すまいと責めたてる。



「そうなんだ。どこで知り合ったの?就職活動?」


「予備校で。ごめんね・・・」



それを聞いた途端、前に相談されたことを思い出す。


あからさまに嫌味を言う。



「嘘だったんだ。ショックだなぁ。で、いくつぐらいの人なの?」


「3つ上の人。」


「年上なんだ。いつも付き合っている人は年上だね」


「えっ、何で知っているの?」



僕は彼女が今まで付き合っていた人を知っていた。


彼女の元カレは2留をしたり、2浪したりして、


ダメずうぉーかーに出てきそうな人ばかり。


なんで彼女と付き合えたのか不思議に思っていた。




「いや、五十嵐君から聞いていて・・・」


「そうだったんだ・・・」




すると、彼女の後ろでチャイムが鳴る。


彼女は逃げるように





「もうゼミの授業だから・・・切るね」





一方的に電話を切られる。


僕は全然、話が終わっていなかった。


さすがに授業中に電話をすることは気が引け、


彼女に僕からの最後のメールを送る。




オレは1ヶ月前から疑っていました。


もしかしたら、好きな人ができたんじゃないかって。


やっぱり、そうだったんだね。


裏切られて本当にショックだった。


オレはウソが嫌いだから


絶対にそいつもみっちゃんも許せない。

今すぐにでもぶん殴りたいくらい。


本当にそれぐらい


みっちゃんのことが大好きだった。


それは変わらなかった。


みっちゃん以外の人なんて考えられないし。


みっちゃんを幸せにすることが俺の幸せ。


心のそこからそう思っていた。


今まで一緒にいれたから


ここまでやれたと思う。


就職活動ではいろいろ相談に乗ってくれたし、


本当にうれしかった。


そして、感謝している。


今の自分には正直許せない。


だけど、時間が経てば忘れはず。


みっちゃんのこともね。


忘れることしかもう自分にはできないから。


もう会うことはないけれど、


みっちゃんが幸せになることを願ってます。


今までありがとう。さようなら。




精一杯のやせ我慢。


メールは3通にもなった。


1通、1通、複雑な気持ちを込めて送る。




授業が終わるころ、すぐにメールが返ってくる。


授業中に読んでいたのだろうか?





しかし、僕はそのメールを見ることはなかった。





メールを見ても自分がみじめになるだけ。


メールは開かずに削除した。





その後、彼女と予備校の人がどうなったのかはわからない。


でも、心の中では許すことができず、


つきあっていないことを願っている・・・




最終面接3日前、僕はフラれてしまった。




【教訓】


時間は作ろうと思えば作れる。



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