広告代理店に志望を変更してから、


どんな会社でも受けるようにしていた。




大手から中小、ベンチャーまで、


広告業界専門の就職活動本を1つ1つチェックしながら、


掲載されている広告代理店はほとんど受験した。




出遅れてしまったこともあり、調べていると、


ESの締め切りが過ぎているものもあった。


それでも諦めずに何とかお願いをした。




「他の業界で内定を頂いたのですが、どうしても私の方向性と合わずにすべて辞退をして現在、就職活動をしております。どうしても、多くの人に知られていない素晴らしい商品などの宣伝方法を考え、伝えてきたいと考えております。そのため、御社を志望しております。締め切りを過ぎているのもわかっております。誠に勝手なお願いではございますが、受験させて頂くことはできないでしょうか?」




熱くなりすぎて、ひとりで一方的に話していた。


予想通り、ほとんどの企業で断られる。


それでも、エントリーシートを受け付けてくれた企業もあった。




「そうですか、特別に送って頂ければ、書類を見ますよ」


「ありがとうございます、すぐに送らせていただきます。」




熱意は伝わるものだと思った。


このとき、やりたいこと、自分の強みもわかっていたので、


簡単にエントリーシートを送れるようになっており、


電話をしたその日に速達でエントリーシートを送付した。





本当に「奇跡」というぐらい稀なことだ。





他にも選考に落ちて、交渉し、再チャレンジできた友達もいた。


生半可な気持ちでやらないことをお勧めしたい。




失うものがなく追い込まれ、自分を知りつくした結果、


最終面接までいけた広告代理店があった。





役員面接なのに4対4の集団面接。






今までの選考では役員面接で「集団面接」はなかった。


「役員面接=個人面接」というイメージがあったので気が抜けた。




そのメンバーの中の1人は松葉杖をついていた。




椅子に座るときも時間がかかり、就職活動は大変そうだった。


選考が始まる前に聞いてみると、


バスケットボールで怪我したらしい。





僕も昔、バスケットボール部で怪我をしたことがあり、


痛いほど気持ちがわかる。


役員の人から今までの選考結果、


履歴書、エントリーシートを見ながら話しかけられる。





「じゃあ、志望動機 を話してください」




4人並んで席に座っていたけど、


僕は右から四番目の席で、順番は最後だった。

まず、いかにも元気がよさそうな女子学生が答える。



「私は御社の担当する鉄道を21年間利用しておりました。そんな常に親しんできたところで広告を展開していきたいです」




よくありがちな答え。


この女子学生につられ、他の人も同じような発言をする。



「私も21年住んでおりまして、いつも利用させていただいております・・・」


「私は中学・高校・大学と通学の時に利用させてもらっておりました・・・」



僕は残念なことに面接を受けるまで乗ったことはなかった。




「確か幼稚園の頃、利用したことがったかもしれない」




自己暗示をかけて、うそをつこうとした。


以前に集団面接でつられて


失敗したことを思い出し、ありのままでいくことにした。




「私は広告を通じて知られていない素晴らしい商品を伝えたいと考えたからです。」




志望動機・自己PR と答えたあとは雑談。


まったく就職活動には関係ない話だった。





「今、韓国人のアイドルが流行っているけど、何がいいんだろうね。」


「日本と違って、硬派なイメージがあってカッコいいと思いますけど」


「そうか。そうか。うちの上さんも夢中になっていて。」


「そうなんですか。若い人はあまり興味ないみたいですね」




雑談をしている際に、役員の人から恐ろしいことを聞く。




「前回の試験の時に君たちとすれ違ったんだけど。気づいた人はいるかな?」





誰も答えようとしないので僕が率先して正直に答える。





「申し訳ないのですが、気がつきませんでした」


「そうか。そのときに佐々木君が松葉杖を落としたんだけど、一緒に受けていた女子学生が杖を拾わなったのを見てしまったんだよね。それで僕は落としたんだけど。やっぱり優秀でも、そういうところを大事にしないと。サービス業だしね。」




自分も見られていたのかなと不安になりながら、




「そうなんですか。そんな人がいたんですね」




どこから見られているかわからない。


とても恐ろしかった。


この会社の選考の連絡は


最後の最後まで連絡は「手紙」だった。




最終面接の2日後に内定承諾書が送られてくる。





小さな広告代理店でも、


応募者数は1000人を超えることもある。


内定者は5名。


倍率を計算すると、200倍。


大手と比べても倍率は変わらない。




よく広告業界で言われるのがステップアップできるということ。


新卒でダメでも、大手広告代理店に行くことはできる。


まずは広告業界に入らないと始まらない。




「どうしても広告でなければならない」




そこまでの志がないとやっていけない。




他業界から入社するのは稀で、


中途採用の応募要綱でもこのように書かれていることがある。





「広告業界で3年以上経験があること」





大手の広告代理店がダメだとしても、本当に好きなのなら、


どこでもいいので新卒で広告業界で働いてたほうがいいと思う。





松葉杖の彼も執念の内定をもらっていた。





【教訓】


就職活動試験は面接だけではない。常に緊張感を保ち、試験に臨む。


本当に広告業界で活躍したいのなら、まずはどんなところでも入ること。



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