告白予告をしてから、彼女との関係はますますよくなっていった。


デートも誘いやすくなり、日曜日にデートをすることになる。



この頃、彼女は内定を人材派遣会社 から貰っていた。


しかし、その企業では2ちゃんねるでは評判が最悪。


彼女はそんなことを知っているかどうかはわからないけど、


就職活動を続けていた。




インターネットの情報を信じるか信じないかは自分次第。





長所と短所は表裏一体であるように、


人によってそれぞれとらえ方は違う。


面接の印象も同じだ。


ある人にとっては印象がよくても、


他の人にとっては印象がよくないかもしれない。





最後は自分の目で確かめること。





間違いなく、彼女は自信がついていた。


もっと真剣に就職活動をしようと前向きになっていた。





まさしく、「内定の魔法





よく、他の企業で内定を貰ったことを言っていいかどうか


悩んでいる人がいるけど、悩む必要はない。


堂々と言うべきだ。





「ビジネスマンとして仕事ができそうか認められた証拠」となる。





少なくとも内定を認められたということは


自分の良さが他の人から認められたということ。


特に内定のピーク時に1社も内定を貰っていなければ


逆に相手を不安にさせてしまう。





ある大手マスコミ企業のエントリーシートの項目には


内定先の企業を書かせる項目があるくらいだ。


ちゃんと理由を説明できることが大切。


例えば、内定をもらって言ればこのようなことが言える。





「内定を頂いたのですが、御社の方がより私のやりたいことに合致しておりましたので、内定辞退してからやってきました。」





これだけでもやる気が伝わってくる。




待ち合わせはいつもの銀座。


久しぶりに会ってみると、彼女はまたもや髪を切っていた。


夏休みのときよりさらに短い。


春高バレーに出てくる女子高生のような髪型。




僕は夏休みのときもそうだったが、


正直、あまり好みではなかった。


ちょっと図々しくなっていたこともあって、


正直に彼女に言ってみた。




「短い方より長い方が良いんじゃない?」






ちょっと、彼女が険しい表情に。





「自分のタイプの髪型を押しつける人って嫌い。絶対にそん人とは仲良くなれない」





僕は慌てる。


おてんばのお嬢様をなだめる執事のように


彼女のご機嫌をとるように頑張る。





「ごめん。今もきれいだし、もっときれいになってほしかったから。本当にごめん。」





その日は映画を見ることにしようといっていたが、


見るものは決まっていなかった。


映画を決めるために本屋に行くことにした。


彼女もどうしてもほしい本があるということで、


僕は東京ウォーカー、彼女はお目当ての本を探す。




なかなかよい映画は見つからなかった。


唯一、気になったのは「名探偵コナン 」。


この歳になっても、コナンはおもしろい。


高校生のときはみんなで回し読みをしていた。


目当ての本を探している彼女を見つけて、提案してみる。




「コナンはどう?」


「嫌!」





即答だった。

これまで暗い映画を見てきたので、


その日はコメディ映画を見ることになった。


まだ、彼女はお目当ての本を探していた。


一緒に探そうと彼女に尋ねる。





「何を探しているの?」


「キムタクの本」


「ジャニーズファンだったっけ?」


「いや違うけど、どんな生活や考えをしているのか興味があって」





彼女らしい答えだった。


自分と同じく自己啓発本が好きなだけある。


彼女が一番好きなのは「マーフィー 」の本。


あまりにも真剣に探しているで、僕はキムタクに嫉妬した。





2人で10分間ぐらい探したけど、結局、本は見つからない。





店員さんに聞いてみると、「在庫はない」とのことだった。


彼女はとてもがっかりしていた。


僕はちょっとだけ、うれしかった。





その日は本当に幸せだった。





特にその日は自然体で話せ、


まるで彼女が隣にいるのだが、空気のように感じられた。


とても心地の良い雰囲気。


これが「幸せ」なのかもしれないと思っていた。





こんな時がいつまでも続けば、


そして、彼女と一緒にいられればと思いつつ、


恥ずかしいけど、しっかり彼女の横顔を見た。





彼女はどう思っていたのだろうか?






映画はいつものように失敗。


これで3作目。


彼女と見る映画はいつもダメな作品ばかり。


そのたびに、映画が終わると気まずくなる。





その日は僕にとっては最高のデート。





誕生日でも夜景でもなく、シチュエーションもなにもない。


だけど、彼女と一緒にいるだけで幸せを感じられる、


これほど素晴らしいことはなかった。





これからもずっと会えると思っていた。


しかし、最高のデートが最後のデートになるとは


このときは思ってもみなかった・・・





【教訓】

内定を頂いていれば堂々と話して、しっかり説明しましょう!あなたの良さが認められた証拠なのですから。



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