あまり気が進まないけど勉強会を開くことにした。


ひとりで考えるより人と話した方が


何か発見があると思ったからだ。



個人的な理由で開いてしまったことは


勉強会のメンバーには申し訳ないと思う。


勉強会で行うことは自分で決める。


メンバーに聞いたとしてもアイデアはでないからだ。





自分で考えるという姿勢が全くない。





よく就職活動の質問の掲示板を見ていると、


ありきたりなこと、質問すればわかることを質問している人がいる。


自分で考えない人なんて、企業はそのような人を求めてはいない。




僕が考えたのは「模擬面接」。


いつも勉強会でお世話になっている方ではなく、


その企業の営業の方、アルバイトをされている4年生、


勉強会のメンバーに面接官をお願いした。





知らない人同士でやった方が緊張感があっていい。




それぞれ1人ずつお願いをして、


3対1の個人面接という設定にした。


3つの観点から意見を頂けるのではないかと思い考えた。




社会人、就職活動を終えた学生、


現役の学生からの視点で見てもらうことにより、


何か発見がありそうだと期待していた。


勉強会に集まってきたメンバーは就職活動出遅れ組み。


まだ、誰も内定を貰っていなかった。






そのため、ピリピリしている。





一度、内定を辞退しようか悩んでいた時に、


女性メンバーから言われた。






「そんなに悩むなら、辞退すれば?悩むんだったら、私に頂戴よ」






就職活動 中、3月頃が1番ピリピリしている。


どんな自信家の人でも選考に落ちれば凹む。


自信を失い、どこでもいいから内定を貰おうと必死。


有名大学に多く、僕の友達もそうだった。


他の人の選考状況をとても気にする。




「あいつ、もう最終なの?」


「斉藤君、もう内定をもらったらしいよ。」




僕の周りには強気な女性が多く、


総合職しか考えられないと言っていたけど、


さすがに堪えているようだった。


ある時、弱気な発言をしていた。





「一般職も受けてみようかな。」





僕は有名大学だからと言って、


変にプライドを持っている人が嫌いだったので、


そんな光景を見て、ちょっとだけ嬉しかった。





僕以外の勉強会のメンバーは女子学生2人。


ちょっとキレイめだけど常識が少しない帰国子女と


いかにも人生を損していそうな不器用な女子学生。


この2人は、対極な性格をしており、


模擬面接に現役の学生を面接官にしたことを後悔させる。



まずは、不器用な女子学生から模擬面接を開始した。


そして、営業の方から質問がされた。



「まず、自己PRをお願いします」


「え~、私は・・・で・・・」




模擬面接に参加していない学生は、


面接を受けている、学生の後ろで見ていた。


3メートルくらいしか離れていないのに、


女子学生の声は聞きとりづらかった。





そもそも声も聞こえなければ、自分の良さなんて伝わらない。





面接では声をちゃんと出すべきだ。


営業の方が自己PR を聞いた後、すぐさま質問。




「金融を志望しているそうですが、なぜですか?」


「いろいろな可能性のある企業に融資して、成長しそうな企業をサポートしたいからです。大学でも金融系のゼミに所属しております。銀行・証券会社までは絞っておりません。」





模擬面接だと知っての答え。


明らかに模擬面接を勘違いしていた。


模擬面接だからといって本番の面接と変わらない。


本番の面接でこんな答え方をしたら落ちてしまう。





真剣に取り組んでいるので、とても見ていて腹が立った。





そして、このような態度に


不快感を覚えたのは僕だけではなかった。


意外にも、帰国子女の学生。


面接官役をしていて、するどい質問をした。





「それなら、商社でもいいんじゃやないでしょうか?商社は志望されないのでしょうか?」




明らかに高圧的な言い方だった。


不器用な学生は、申し訳無さそうに答えた。





「商社についてはよくわかりません。これから勉強します・・・」





就職活動 の回答としては模範解答。


わからないことは素直に認めるべき。


そのあと、どうプラスに変えていくのかが大事になる。







面接終了後、営業の方も模擬面接に対する姿勢、


とても厳しい指摘をして気まずい面接となる。





そして、帰国子女の学生の番。




不器用な女子学生とは違い、


自己紹介からはっきりと、大きな声で話していた。





「東京英語大学、植松美加です。私はハワイで中学・高校時代に送っておりまして、TOEICの点数は990点を取得しております・・・・」




面接会場に響き渡るような声。


僕はやりすぎではないかと思った。


しかし、彼女はそんなことを


気にすることもなく、淡々と話していた。





「さすが、帰国子女」






度胸があって羨ましいくらいだ。


帰国子女と生まれてからずっと日本にいる日本人を


比較した面白い実験がある。


渋谷の街頭で見ず知らずの人にアンケートをとらせる実験で、


心拍数が帰国子女と日本にずっといる日本人では違かった。





帰国子女は全然心拍数に変化はないのに


日本にずっといる日本人は心拍数の変化が激しかった。


体のメカニズムからも帰国子女の心臓の強さがうかがえる。






彼女の面接は特に悪い点はなく、


志望動機が固まっていないくらいしか見当たらなかった。


しかし、先ほどの不器用な女子学生が


ここぞとばかりに厳しい質問を投げかける。




「貿易関係の仕事をされたいのは分かるのですが、では、どうして海外で働かないのですか?」


「正直、そこまで考えておりませんでした。しかし、どこで働いても変わりはありません。私のやりたいことができれば十分です。それを御社でできると思っております。」





明らかにいじわるだったが、帰国子女の学生は跳ね除けた。


不器用な学生の面目は丸つぶれで、


その後、彼女は何も発言はすることはなかった。





そんな険悪なムードの中、僕の番。





内定を貰っていて、エントリーシートには自信を持っていた。


前の2人と同じで自己PRから始まる。


面接官は帰国子女の学生、やる気のなさそうな営業の方、


不器用な学生の面接官をした営業の方の3名。


しかし、面接官のひとりに腹が立つことを言われる。



「私はチャンスメイカーです。今まで、どんな悪い状況でも諦めずに取り組んできました。例えば、遊園地のプールで空き缶の拾いの仕事をしていたのですが、それでは単調になると思い、同僚といかに早く集めるかタイムを競い合う「空き缶早拾い競争」を提案したり、、応募シールがついている缶を集め、みんなで1等賞を狙おうと提案するなど、まわりの雰囲気を変え、絶好のチャンスに変えてきました。」


「すごいね。ちなみに賞品は当たったの?」


「1等は無理だったのですが、3等賞は当たりました。とても集まり、400点分ぐらい応募していました。一般の人なら絶対に集まらない点数だと思います」


「すごいね。プールでアルバイトしていたということなんだけど、泳げるの?」


「アルバイト時代は監視員ではないのですが、小学生の頃からスイミングスクールに通い、クロールからバタフライまで泳ぐことができます」


「そうなんだ。実は僕、平泳ぎがうまくないんだけどコツがあるの?教えてくれないかな?」



明らかに困らせる質問。


イスに座っていたので「手の掻き方」だけ説明。


イスに座りながらだったので、


とても動きづらく、ちょっと動揺していたので、説明も不十分。


面接官役の営業の人は、納得するわけがなかった。





「わかった。今度、やってみるよ」




僕にはこの質問の意図がわかなかった。


先ほどの女子学生たちは自分には何もうらみもなく、


当たり障りのない質問で終わらせ、僕の面接は終了する。

その後、自分の面接に対する評価が行なわれた。


面接では何も発言をすることがなかった、


やる気無さそうな営業の人が、


自分のエントリーシートについて話し始める。




「君の自己PR。合格ラインすれすれ。見ていて面白くない。文章はうまいかもしれないけど、ただ、具体例を膨らませてうまく見せているだけだよね。」




正直、初めて会った時、この人は「ださい」と思っていた。


そのダサいと思っていた人に言われて腹が立つ。


むきになった僕は、




「これで一度もエントリーシートは落ちていないんですが・・・」


「それは、その企業がよかっただけじゃないの?面接で落ちたりしたんじゃないの?」




そう言われてよく考えてみると、


面接官のなかには興味無さそうな面接官もいた。


少し内定を貰っていたので、過信していたかもしれないと反省した。





言われたことは素直に受け止めることが大切。





さらに酷評はとまらず、先ほどの「平泳ぎ」の話になる。


その質問をした面接官から指摘される。





「さっきの平泳ぎの説明はイマイチだったね。イスに座っていてもわかりづらいから、床にうつぶせになって実際に泳いだりしてもよかったんじゃない?面接で座っていなきゃいけないという規則はないし。」




確かにその通り。


面接ではベストを尽くすべきなのにベストを尽くしていなかった。


よく自分の作品や踊りを見せる人がいるというのを聞き、


やりすぎだと思っていたが、「それもありなんだ」と思った。





自分の一番のものを伝える努力は惜しまない。






伝わらなければ絶対に後悔する。


恥ずかしいなんて言っている場合ではない。




模擬面接終了後、今まで考えた企画、


獲得してきた賞をまとめたレジェメを作成した。


機会があれば、面接で配ることに。


模擬面接をして正解だった。


少なくとも2つのことを学んだ。




「自分が過信していたこと」


「面接ではベストを尽くすこと」




帰宅するとまたもや自己分析をイチからやり直すことに。


就職活動を始めて、これで3回目。




「初めから真剣に取り組んでいれば、こんな苦労はしなかった」




そんな後悔をバネにして、新しいノートを取り出して、


その日は徹夜をして書き続ける。





【教訓】


面接では自分が正しいと思ったら、恐れずにベストを尽くすこと。


もしも、人に見せて評価が悪かったら、素直に受け止めること。イチからやり直すこと。



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