初めてのプレゼンテーションのテーマは




「あなたについて」




1番簡単なテーマで、自己PRと変わらなかった。


制限時間はとても短かった。




たった3分。



これまでプレゼンテーションなんてしたことがなかった。


プレゼンテーションではないけれど、


ゼミでは発表を何度も行っていた。



それはただ本を読んだり、


英文を翻訳し、要約して発表するだけのもの。


文書もレジュメ程度しか作成していない。


プレゼンテーションと呼べるものではない。



時間は3分なので、


3分用の自己PR をアレンジすることにした。


自己PRは1分用・2分用・3分用と3パターン作成していた。


1分用は200文字程度、


2分用は400文字程度、3分用は600文字程度。



面接が始まって間もない頃には、


鏡の前でストップウォッチを片手に練習していた。


メラビアンの法則という法則を意識していた。




人の行動が他人に影響を及ぼす割合は


話の内容などの言語情報が7%、


口調や話の早さなどの聴覚情報が38%、


見た目などの視覚情報が55%の割合であるといわれている。





面接では話の内容よりも見せ方がとても大切。





鏡の前ではジェスチャーの使い方、


1番の笑顔を作る方法、話す速さなど色々練習をした。


夜中に練習をしていたので、


家の外で聞いた人は不気味に思っていたかもしれない。




「1分程度でお話しください」




面接で言われたときには、すらすらと答えられていた。


話す内容がわかっていれば落ち着ける。


覚えたまま話しているように見えるのは良くない。


よく何か思いだそうとすると、目が上にいくので要注意。




面接とプレゼンテーションは違う。





企画書(レジェメ)が必要だ。


プレゼンテーションでずっと話を続けるのはおかしい。


プレゼンテーションのレジェメと言えば、パワーポイントが多い。


しかし、家にはパワーポイントがなく、レジェメはワードで作成した。





学校のパソコンにはパワーポイントが入っている。





何度も行く時間がもったいないのと、


慣れていないソフトで作るよりも


慣れているもので作成したほうが良いと思い、


ずっとワードで作成していた。





プレゼンテーションについてはわからないことが多かったので、


プレゼンテーションの本を3冊ほど購入し、


基本的なことを身につける。


本当は企画書などを実際に作った方が良い。





ゼミで真剣に頑張ったきた友達は


ゼミ単位で論文のコンテストなどに応募し、とても上手だった。


大学2年まで遊んでいて、大学3年生からゼミに入り、


実力をつける人も多い。


楽なゼミを選んだことを少しだけ公開した。




当日、プレゼン会場に着くと、


会場にいる人すべてが


プレゼン用と思われる資料を読み込んでいた。


そのなかにはパワーポイントで


入念に企画書を作成している人もいた。


とてもカラフルで図解入りで見やすい。


自分のはこれでいいのだろうかと焦ってしまう。




図もなく、ひたすらテキスト。





資料は30秒程度で読めるものなので、練習する必要はなかった。


プレゼンテーションが始まるまで、ノートに書いてあった


お気に入りの「就職活動五行歌 」を読んで、


モチベーションをあげていた。




プレゼンテーションの資料を


「パワーポイントで作りなさい」のように指定はないが、


僕が出会った学生の8割ぐらいはパワーポイントで作成してた。




資料よりちゃんと相手に伝わるかどうかが大事だ。





相手にわかりやすく伝わればいいので、


内容にこだわったほうがいい。


デザインにこだわりすぎて、枚数も多く、


何が言いたいのかわからない資料も見てきた。




プレゼンテーションということもあり、


なかなか時間通りに進行していないようで、


開始時間が遅れ、開始時間より30分が経っていた。




やっと呼ばれ会場にいくと、


すでに他の学生が2名座っていた。


事前にどのような形式でするのか教えられていなかったけど、


3人まとめてプレゼンをするようだ。





プレゼンテーション形式は2つに別れる。


社員の方にするのか、学生にするのかの2通り。


学生にする場合は自分以外の人のプレゼンに質問したり、


上手だった人に投票することがある。




プレゼンテーション時間は3分、質疑応答が2分。




質問の時間まで考えなければならない。


あらかじめ想定してた僕は作戦を練っていた。




質問は面接官からではなく、学生からするもの。


他の人のプレゼンテーションは


真剣に聞かなければならなかった。


質問まで選考のポイントになっているのだろう。




僕の順番は最後。





まず、女子学生がプレゼンテーションを始めた。


いきなり彼女はホワイトボードに便図らしいものを描いた。


あらかじめ、選考通過のメールに





「ホワイトボードも使用できます」





と書いてあったので、


彼女はフルに利用するつもりだったのだろう。


焦っていたのか丸が上手に書けていなかった。


書く時間も試験時間になるので焦っていたに違いない。


しかし、それも考慮していた。


彼女は自信を持ってベン図を指し、僕たちにプレゼンをする。




「これは私の考えたベン図です。ベン図というと丸が重なっているだけの絵をイメージされますが、こんなベン図

もあってもいいと思います。」




丸の大きさが違い、丸同士がうまくつながっていない。


ベン図の中には片方に「デザイン関連のコンクールで優勝」、


もう片方には「居酒屋でのアルバイト」について書いてあった。


僕たちは何もリアクションができず、彼女は一方的に話し始める。




「デザイン関連のコンテストで受賞経験があり、デザインには自信があるのですが、それだけでなく居酒屋でもチーフとして頑張ってきました。お料理のメニューなどのデザインを担当したこともあります。なぜ、丸が重なっていないかというとその2つがあれば、規格外の発想ができるからです。はみだしてしまうくらいの規格外の強みがあるということを表現しました。」




発想はおもしろいかったけど、わかりづらかった。

接客もできるデザイナーというのをアピールしたいようだった。


あまりにも彼女は規格外の発想!?にこだわり、


それ以外は何も考えてなく、消化不足という感じで終わってしまう。

質問時間のとき、意地の悪い僕はちょっと答えにくい質問をした。




「食品会社の営業志望だそうですが、仕事で店頭プロモーションなど考えていくこともありますが、その木村さんのPRを活かして思いつくものはありますか?」




すると、彼女はそこまで考えていなかったらしく、




「お店に行って色々と見たことがあるのですが、今は思いつきません」




彼女にとってベストを尽くした回答だったと思う。


面接官にはどう映ったのだろうか?



次は男子学生の番。





彼は自分を靴の中敷きに例えてアピールをしていた。





「僕は中敷きです。」





突然何を言うのかと思ったけど、


ある意味インパクトはあった。




「僕は中島でもなく、中敷きです」




と言っても面白かったかもしれない。


靴から中敷を取り出して説明し始めた。


彼はそれでまわりを驚かせようとしたのだろう。




同じようにパフォーマンスに満足してしまい、


内容がおろそかだった。




申し訳ないけど、ほとんど記憶にない。


サークルでクッション役として


活躍してきたということを言いたかったようだ。




面接官は苦笑い





面接官も隣の女子学生も、


彼のプレゼンが失敗したことを悟り、


その場はそつなく質問をこなし、彼のプレゼンは終わった。




そして、僕の番。





とても緊張していた。


時間がないのですぐにレジェメを配り、プレゼンを始める。



「私は、普段からネタ帳を持っていて、何でもメモしてアイデアを考えます。そのメモが1日にA4用紙で10枚分になる時もあります。その努力の甲斐もあって、コンテストで優勝しました。」



僕の自己PRはコンテストで優勝したこと。


ポケットからはいつも使用しているメモ帳を取り出して、


汚たない文字だけど、1ページが


真っ黒になるぐらい書きなぐっていた。





言葉で言うよりも、実物を見せたほうが伝わる。





レジェメをなるべく見ないように努力はしたけど、


緊張のため、内容を忘れそうになってしまい逆効果。


気づかれていたかどうかはわからないけど、




足が震えていた。





震えをとめようとしても止まらない。


止めようとすればするほど焦り、


おかげで口調までが少し震えてきた。




さらに話すスピードまで速くなり、


自分で何を話しているのかわからない。



唯一の救いがシナリオを練っていたこと。


会話のやり取りがしやすいように考えていた。


しかし、プレゼン中は緊張のため、会話のやりとりができなかった。


質問時間があったのが唯一の救い。




以前に講演とセミナーの違いがあると聞いたことがあり、


講演は一方的に話すのに対し、


セミナーは双方向でコミュニケーションをするものを言うそうだ。


そして、一方的に話されるのはつまらない。




有名な人が講演するならともかく、まったく無名の学生。


だからこそ、セミナーを意識してプレゼンテーションを行うつもりだった。


質問タイムが始まり、予想通りの質問が来た。




「コンテストは何のコンテストで賞を頂いたのですか?」




あえて、プレゼンの時にはコンテストの名前は言わなかった。


あらかじめ用意した答えを話した。





「携帯電話に関するアイデアするコンテストで、旅行券10万円分いただきました。」




ここでもじらす。また、予想通りの質問がやってくる。





「どのようなアイデアだったんですか?」


「トランシーバーのように携帯でみんなで話せるようなアイデアです。さらに、電話料金を人数で割ることができます。」




さらに予定したとおりの質問がきて、


無難に答えることができ、自信がつく。


ここで受身になってはいけないと思い、自分から話すことに。




「そのほかにも川柳でコンテストを頂きました。例えば、チョコレート川柳で賞を頂きました。その時の作品が・・チョコッと 食べただけで リバウンド。」





笑わせる目的で、今まで受賞した川柳を披露。


他の学生も、面接官も笑っていた。


もうすでに、プレゼンテーションの目的は楽しませることになっていた。




「他にもアイデアや企画も考えます。もしよければ、こんな言葉を使ってください。僕が考えた口説き文句です。『教えてくれない?僕のことスキか、キライか2文字で答えてください。』気になる人がいたら是非とも使ってください。」



最後の方は調子に乗ってしまったけど、プレゼンは無事終了した。


帰り支度をしているとき、「ちょっとふざけすぎたかも」と反省した。





初めてのプレゼンテーションにしては上出来だった。





【教訓】


プレゼンテーションの時間は短いので、パフォーマンスよりいかに伝えたいことを短く伝えるかを考えること。企画書はこだわりすぎない。


なるべく一方的に話すのではなく、相手と会話ができるように話を構成する。




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