ディベートの試験を通過した


企業の、次の試験は集団面接。


いつもどおり10分前に着いたが誰もいなかった。


会社内を探すといたのは




白いTシャツに綿パンの男性一人。




その会社のビルは改築中で


作業員の人だと思い、声をかけてみる。




「面接に来たのですが、社員の方でしょうか?」


「あっ誰もいないんだ。仕方ないな~ちょっと待っていてね」




そう言われてから1時間も待たされる。


その間にも他の学生がやってくる。


1時間待たされても何もなければ我慢していたかもしれない。


しかし、その日は面接の後、彼女と遊ぶ約束をしていた。




正直、面接より彼女。




誕生日以来、彼女には会っていなかった。


しびれをきらした僕は何度も内線をならし、


面接が始まらないのかどうかを尋ねた。



「もう30分経っているのですが、いつから始まるのでしょうか?」


「もう、1時間ほど経過しているのですが、まだでしょうか?」




すると2回とも同じ女性が応対する。



「すぐにお伺いしますので」





周りには学生が3名いたけれど、


仕方ないと思ってるようで、ただ黙っていた。


まず、社会人として遅れていることに対し


何も説明がないというのにとても腹が立った。


彼女のデートが遅れてしまうことがさらに追い討ちをかける。


もしかしたら、これが試験だったのかもしれないが悔いはなかった。


こんな風に怒っている自分もマナーができていないのかもしれない。





「どうせ誰も来ないのだろう」





と思い、トレイに向かう。


あらかじめ彼女にメールをする。



「面接が長引いてしまっているので、少し遅刻するかも」




あらかじめわかっているいことなら、


早く連絡したほうが相手のためになる。


そして、良い子にしている他の学生の元に戻る。




1時間10分後・・・




一人の女性が僕たちのもとに駆けつけてきた。


ちょっと汗をかき、焦っているようだ。


女性の面接官は笑顔で「すみません」と一言だけ言い、


何も理由を話さず、面接を開始しようとしていた。


この態度に僕はカチンときた。




「もう、どうでもいいや」




そんな気持ちだった。


面接会場もちゃんとしておらず、ドアも何もないブース。


集団面接始める前に課題が出された。



「これからお時間を10分ほど設けますので、他の学生を紹介してください。」




そう言うと、またもやいなくなてしまった。


よく就職活動の自己分析セミナーでありがちな他己紹介。


僕を含め、4人いたけど、紹介方法は自由とのこと。


そして、面接官はまたいなくなってしまった。




僕は全員で話して、1人づつ話を聞くより、


2人づつに別れてペアを組んだ方が


より良い紹介ができると思い、周りの人に提案をする。




「全員の話を聞いていると1人当たりの時間が限られますので、ペアに別れませんか?紹介方法は特定されていなかったので、どんな形でもよいと思うのですが。」




他の3人も何も言わず、


そのまま提案通りすることになった。


そうしたのにはもうひとつ理由があった。




「ディベートの時の同じ大学の人がいたからだ」




同じ大学でディベートも


一緒に頑張ったのでとても親近感があった。


これなら簡単に聞き出すことができると思っていた。


言うまでもなく、その人とペアになる。


後に面接官からこの方法について聞かれた。





「どうしてこのようにしたの?誰が考えたの?」





ここぞとばかりに僕は自信満々に答えた。





「私です。こちらの方が一人当たりの話す時間が長くなり、濃い話ができると思いましたので」





ペアを組んだ彼にともかく時間の許す限り質問をする。


自分は相槌を打ちながら、なるべく彼に話させるようにした。




「大学時代で一番頑張ってきたことってある?」


「部活かな」


「そうなんだ。部活って何してたの?」


「ヨット部」


「ヨット部をしていたんだね。だから、焼けているんだね。」


「季節関係なく焼けているね」




冬にもかかわらず、その人は真っ黒にやけていた。


一見見ると、ちゃらい感じの人だった。


ともかく相手の言ったことを繰り返して質問すると良い。




「そのヨット部で一番つらかったことって何?」


「楽しかったから、辛かったことはないけど、あえて挙げるとすれば太平洋で死にかけたことかな」


「そうなんだ。何でそんなことになったの?」


「なぜかルートを外れてしまって、誰も気づかなかったんだよね」


「どのぐらい、漂流していたの?」


「2日かな。何も大陸もなくて、海しか見えなかったから終わったと思ったよ。本当に」


「それはつらいね。」




人に話させることは難しい。





人の魅力を引き出すためにまず考えられるのが


「困難なことを成し遂げたとき」だ。


だからこそ、エントリーシートでもそのような質問が聞かれる。


そのため、「1番つらかったこと」「1番うれしかったこと」など聞くといい。



その他にも、いろいろ聞いたけれど、


なかなか面白いエピソードが見つからなかった。


「太平洋で死にかけた」エピソードに勝るものはない。




今度は逆に質問される番になったけど、


慣れていないらしく、何を聞きたいのかがわからなかった。


気を遣いながら、無理やり、「自分の1番の売り」を話していた。




ヒアリングタイムが終わる。




その後、面接官に対して彼を紹介する事になったのだが、


その時は本来ならばデートをしている時間。




面接より彼女とのデートが気になっていた




自分はどうでもよくなていって、面接官を笑わせることに徹していた。


ともかく彼を褒めちぎった。



「ヨットサークルに所属しており、太平洋で死にかけたこともあり、三途の川も渡ったことがあります。三途の川をわたるように上手に世渡りができる人間です。太平洋では2日も飲まず食わずにいたそうなので、お仕事で1週間徹夜しても、絶対に頑張れる人です。是非とも、活躍をしてくれると思います。。」



いつも笑わせることを心がけてきたけど、


今回の場合は悪ふざけ。


面接官は合格発表日を告げなかった。


忘れたのか、意図的にしたのかどうかわからないが、




言うまでもなく、「不合格」だった。




面接官の人に玄関まで送ってもらったのだが、


先ほどのTシャツ姿の人を見かける。


面接官はちょっと緊張した様子。


そして、面接官は元気よく、




「社長、おつかれさまです」




社長がこんなに若いとは思わなかった。


しかも、工事を手伝っているなんて。


これからはどんなときでも


立ち振る舞いについては気をつけようと心の中で誓う。



この企業はベンチャー企業だったのだが


かなり学歴を気にしていた。


なかなか入ってくれないのかもしれない。



「先輩の中には大手を蹴って来た人がいる、有名大学出身の人がいる」




などと強調するのがよく見られた。


応募要綱に実績校を強調するところは注意したほうがよいかもしれない。



【教訓】


他者紹介の時は相手の話をわりこまないように、相槌を打つなどして質問をすること。面白いエピソードはすぐには出てきません。



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