後期試験がやっと終了し


本格的に就職活動を始めることになった。


テスト期間中でもエントリーシートは提出し、


スケジュールは埋まっていた。


スケジュール帳を見ると、休日なんてどこにもない。


テスト明けの初めての面接。





それは突然だった。





製薬会社のセミナーが入っており、


会場に着いてみるとホワイトボードに「集団面接」という文字。


説明会だけだから「格好はどうでもいい」と思い、





スーツはリクルート用ではなかった。





リクルートスーツがいいというわけではないが、


バイトで使用していたもので、働くのにはふさわしくないスーツ。


このように就職活動は何が起こるか分からない。




ごくまれにマスコミの筆記試験で私服で来る人がいるけど、


もしも突然面接をすると決まったら、


どれだけ恥ずかしいことだろうか。


その光景を思い浮かべるだけでも笑ってしまう。




どんなことが起きても大丈夫なように


すべてのことを想定して行動すること。




メール1つでも同じ。




もしかすると、送ったメールを見るとき、


相手は不機嫌かもしれない。


隣で自分が説明でいないので、


その時の感情左右されて読まれる。


表現など細かいところまで気にしなければならない。




さらにヒゲも生やしっぱなし、見かけは最悪だった。





唯一の救いが僕のヒゲが薄く、


あまり目立たなかったことくらい。


説明会が始まる前に、隣に座ってきた人がいた。



なんと、自分と語学の授業が一緒の人。





しかし、一度も話したことがない。


お互い知っていたけれど、気まずく話さなかった。




誰が見ているかわからない。






「特に受付の人はチェックして報告している」


という噂を聞いたことがあり、慎重になっていた。


後から知ったことだけど、それは本当だった。


派遣の人が担当することもあるのだけど、


気になる学生はリストとして渡すらしい。


これは本当かどうかわからないけど、


そうじのオバサンがスパイという噂も。




説明会はありきたりなもので、


社員の方がプレゼンテーションをするものだった。


その後、履歴書のようなものを書かされた。





なぜか、視力を聞く項目があった。





色々な会社にエントリーシートを出してきたが、


後にも先にも、この会社だけ。


何のために必要なのだろうと疑問に思いながら


今まで書き溜めたものを思い出しながら書き込んでいく。


その書いている途中、親の生年月日を書くところがあり、


どうしても思い出せなく、勘で書いてしまう。




役員面接ぐらいになると、


たまに親の話を聞かれることがある。




まず、家族とのコミュニケーションが取れない人は


他の人ともコミュニケーションは取れない。


これからの人生に関わる就職活動について


家族に相談する方が当たり前というくらい。



よくエントリーシートや履歴書は


説明会の会場で書かされることがある。


なかには今まで書いてきた履歴書や


エントリーシートなどを見ながら書ける場合もある。


そのためバッグには必ず履歴書や


自己分析したものなどを入れておいた方が良い。


あまりにも広い会場なら、ズルをして


履歴書を見ながら書くこともできるがオススメできない。


ズルをしなくても、すぐに書けるぐらい


体に染みついているくらいにはなって欲しい





そして、集団面接。





面接官1に対して学生が4人。


僕以外は全員女性で、しかも薬学部。


自己紹介をするときに、学校名を名乗るのでわかる。




医療系の会社を受けていたので


当たり前と言えば当たり前だけど、なぜか負い目を感じた。


4人1列に並び、質問は左から右、


右から左という風に当てられていく。





僕は一番右端。





一番目に当てられることもあれば、


一番最後に当てられるという微妙なポジション。


一番嫌だったのは、前の人に言われてしまうことだ。


最初に質問されたのは「自己PR」。


ほとんどの面接が「自己PR」もしくは「自己紹介」から始まる。


そして、その次に質問されたのたが、



「あなたが一番人生でつらかったこと」





その時の順番は一番最後。特に自分はなかった。


そのためすぐには思いつかずに時間があったので考えていた。


心の中で「受験のことを話そう」と決意する。


しかし、2番目と3番目に当てられた2人が


2連続で受験について言ってしまった。


僕はかなり焦った。





「3度目はありえないだろう」





これではインパクトが弱ってしまう。


僕は似ないようにしようとアドリブを入れる。




「木村さんが一番つらかったことは何ですか?」


「何も目標が見つからず、すぐに体調が悪くなってしまった時です」




女性の面接官だったが僕だけには厳しい口調だった。


男子学生に厳しい女性面接官は今後も出会う。


何よりも僕も頼りない男子学生を見ると、


同性として苛立ってしまう。


その気持ちはわからなくもないけど、僕は違う。


鬼の女性面接官はつっこんできた。



「では、どうやって乗り越えたのですか?」


「お医者さんに通いました。精神科でもなく、普通の耳鼻科なのですが、親身に相談にのっていただき、無事そのような状態を脱しました。薬の成分も大事ですが、ココロの状態も保つことも大切だと思います。心のケアができるMRになりたいです」




事実ではあるけど、


本当に辛かったことではなく苦し紛れの答え。


製薬会社だから医療関係の話を絡めみた。


面接官はちょっと苦笑いをしていた。





「それは大変でしたね。わかりました。」




赤の他人にこんなことを


話しているのだろうと後悔をした。


こんなことをする必要はなく、


自分は自分、「受験」と答えるべきだった。





明らかにマイナスなことを言っており、


面接では自分からマイナスなことを言うべきではない。


しかし、素直になって答えることも大切。




さらに何も知らないまま受けており、


周りに流されっぱなしだった。


面接官が「MRと一般薬品営業はどちらになりたいですか?」


と聞かれまわりは「MRです」と答えていたので、


思わず自分も




「MRです」





本当は「一般薬品の営業」の方が楽しそうに思っていたが、


ミーハーだと思われるのが嫌で希望を変えてしまった。




集団面接はどうしてもまわりが気になってしまう。


そのため、集団面接と個人面接を比べると、


明らかに集団面接の方が落ちていた。


自分には個人面接の方が向いているかもしれない。





何より集団面接は時間がない。


1人に質問される時間は数分程度。





1つ1つの発言が重要になってくる。


興味を持ってもらえなければ、


1つぐらいしか質問をされずに終わってしまう。


だからこそ、自己分析をして


誰にもないような経験を話すなどして興味をひくしかない。


人は知らないことに対して興味を持つもの。


知りたいからこそ、質問をする。





集団面接はあっという間に終わってしまった。




いつもそうだっだけど、面接は終わるのは早く感じていた。


集団面接が終わった後、一緒に受けた人達と一緒に帰る。




面接の批評会の始まりだ。




必ず、自信がある人ほど


「受かるだろうか」なんて言葉を言う。




しかも、万年の笑顔。




面接に失敗した人ほど何も語らない。


むしろ、何も語れない。


しかし、面接の結果が出たわけではないので


落込む必要もない。



面接が順調にいったからといって合格ではない。


企業は落ちた人こそケアをしなければならない。


順調にいかなくて冷汗をかきながら答えたとしても、


通過していることもある。




合格の連絡があって、はじめて合格だ。


落ち込んだ気持ちでいれば、次の面接にも響く。


落ちたとわかった時に落込めばいいだけの話。




僕は自分のパソコンで作った名刺を


一緒に受けた人たちに渡す。


わざわざ就職活動のために


名刺ソフトを購入し、自分でデザインしていた。


生協でも作ってくれるらしいが、単価が高いので節約。

3人の中の1人が地元に近い所に住んでいることから、


一緒の電車に乗って帰る。




名刺を渡して連絡がきたのは彼女だけ。




そんな彼女はまた、数ヵ月後会うことになる。


集団面接の結果は1週間後までに頂けるということだったが、




電話は鳴らなかった。




最終日の7日目の夜まで期待して待ち続けた。


初めて僕は集団面接に落ちてしまった。



【教訓】


待ち時間は静かにし、説明会に行く時には必ず履歴書(自己分析したもの)などを用意しておくこと。


集団面接はまわりを気にしない。自分は自分、他人(ひと)は他人。


日頃から親とコミュニケーションを取ること。





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