さらに最悪なことに面接と後期試験が重なってしった。


人材系のベンチャー企業で、


学生の入社したい企業にも常に上位に入るような会社。




選考方法も変わっていた。



エントリシートの課題を提出して次の面接に行くか、


筆記試験を受けて次の面接に行くかの


2つの選択肢があった。




課題は新聞から気になる記事について


800文字程度で記入するもの。


その際に新聞記事をスクラップして貼らなければならない。



毎朝、新聞を読んでいるので、


特に抵抗はなかったけど、ネタを何にするかで悩む。


何かネタがないかといつも以上に新聞を見ていたら、


中学生の時の憧れだった




「マイケルジョーダン 」の記事を発見。




チャリティーでプレーをしたという記事だった。


僕は大学2年生まで大学の体育を選択するぐらい


バスケットボールが大好きで憧れだった選手。


家にはマイケルジョーダンのビデオがあるくらい。


これならエントリーシートでも書けると思い、


ジョーダンがいかにすばらしい選手なのかを書いた。




どんな素晴らしい人でも相手はわからないかもしれない。


だからこそ、誰が読んでもわかりやすく書いた。





マイケルジョーダンの素晴らしいところは


一度引退しても、復帰してNBAで3連覇を果たしたこと。


父親の夢をつぐために野球選手になったけど、


NBAと同じように活躍することはできなかった。




人は自分の活かせる場所にいないと


活躍することはできない。




そして、野球をあきらめ、NBAに戻った。


世界最高峰のNBAで心と体を鍛えなおし、


挑戦するのはとても大変だったに違いない。




僕のバスケットボール部時代の監督も大好きで


いつもマイケルジョーダンの話をしてくれた。


そして、マイケルジョーダンの発言はとても励ましてくれた。





僕はこれまで9000本のシュートを外して、300試合に負けて、26回も試合を決める最後のシュートを外してきた。僕は人生で何度も何度も何度も失敗してきた。だから成功するんだ。





一番感動した言葉。





天才でも失敗をする。





この言葉が失敗への恐れをなくしてくれた。





僕は正直な気持ちを言いたかった。




「こんな時期に面接なんてするなよ」




選考の結果はメールで連絡され、


備考欄に「面接の時間はずらせないこと」が明記されていた。


僕はそれで諦めてしまい、交渉はしなかった。


例え「できない」と書いてあっても交渉すべきだった。




それが「熱意」だと思う。




どちらを優先するべきかとても悩んだ。


苦渋な決断だったけど、単位には変えられないと思い、


後期試験を受けることにした。



その会社はともかく説明会が面白かった。


少ない文字数で何枚も資料を見せる


「高橋メソッド」を上手に駆使し、


常に会場には笑いが巻き起こっていた。




しかし、笑いに気をとられていて、


仕事内容はまったくわからない。




学生に人気がある=素晴らしい企業




ではないのにその時には気がつかなかった。


むしろ、ちゃんとした企業であれば、


事業内容についてちゃんと説明するはずだ。


何のために説明会に来ているのかがわからない。




それもすべて信じてよいわけでもない。




企業の良いところしか言わないからだ。


そのあとにわかったことだけど、


その会社は美人ばかりを集めているという噂もあり、


一部の学生の間では評判があまりよくなかった。




しかし、気をつけて欲しいのが、


どんな会社でも良い点もあれば、悪い点もある。


だからこそ、バランスをとってみることが大切。


悪いところしか見なければ、悪いことしかわからない。





相性というもの大切で、そのようなミーハーな会社は


僕にあっているはずもなく、辞退して正解だった。





今思えば、何で志望度も


それほど高くもない企業でもないのに


こんなに悩んでいたんだろうと思う。





実際に就職活動をしてわかることはたくさんある





だからこそ、たくさん試験を早いうちから受けたほうが


悩まずに済むので得策だ。


テスト期間中でも、僕は彼女のことを考えていた。




どんな時でも1番は彼女。





いつも通り、試験期間中でもメールでランチに誘っていた。


息抜きをしていないとやっていられなかった。


ほとんど同じ授業をとっていたけれど、


授業の席も離れているのと同様に、テストの席も離れていた。


いつもテストは終了時間より早く終わってしまうため


1番に解答用紙を提出し、誰よりも早く会場から出ていた。




そのため、先に試験会場に出て、


彼女が終わるのを教室の外で待っていた。


他の人に一緒にいるところを見られたくないので、


教室の近くではなく、ちょっと遠いところで待ち、


彼女が終わったら、メールを送るようにお願いしていた。




しかし、ある日待っていたのに


終了のチャイムが鳴ってもメールが来なかった。





よほど苦戦をしたのだろうかと思いつつ、


試験終了後、ほとんど出払ったころを見計らい、


人目を避けながら試験会場に向かう。



彼女を発見。




しかし、いつものように明るくはなかった。


表情がおもわしくない。


彼女はずっと席に座っていた。


恐る恐る、そっと彼女に近づき、声をかけてみた。




「おはよう」




彼女は僕に気が付き、暗い表情を変えようとする。




「おはよう」




僕もそれを察知し、気を遣いながら弱々しい声で話す。




「どうだった、試験」


「ダメだった。考えてもわからない問題があって粘ったんだけど」


「そうなんだ、でも単位はとれるよ」


「そうかな。ちょっと不安」




彼女は試験の出来に納得がいかなかったらしい。


真面目な性格をしているので、許せなかったのかもしれない。


そのようなところは僕に似ている。


それとは対照的に僕はテストの出来がよく、


彼女と会える喜びをかみしめていた。




「終わったことは仕方ないよ」




いつも彼女に励されている僕は


逆に彼女を励ましながら教室を出る。


会える喜びが僕をKYにさせ、


今思うと、無神経な会話をしていた。


こんなところが僕のいけないところだと思う。



「ランチ、どこにする?」


「どこでもいいよ」


「自分もどこでもいいんだけど」


「・・・、いつもの学食でいいんじゃない」



彼女は引きずっているらしくちょっと投げやりだった。


僕にはもう1つ用事があった。




「練習用のテニスボール、持ってきてくれた?」


「あっ、忘れていた。ちゃんと持ってきたよ。」




彼女はバックからテニスボールを取り出す。




「これか~、ラケットも買ったし、練習するね」


「練習できるね」




彼女に練習用ののテニスボールを貰うことになっていた。


テニスボールにゴムの紐がついているものだ。


一人でも打つことができる。




テニスサークルを少し馬鹿にしていたのだけど、


彼女と話すうちにテニスをどうしてもしたくなっていた。


彼女と一緒に楽しみたいというのもあるけど、


彼女より勝っていたいという気持ちのほうが強かった。




ともかく、何でも彼女より勝っていたかった





男のプライド。


ようやく学食につくと、いつもようにひっそりとランチをする。


試験の情報交換など勉強の反省会もしたけど、


それらよりもっと盛り上がっていたのは




「彼女の誕生日の話」




盛り上がっていたのは自分だけかもしれな。


彼女に反対させないような強い口調で話していた。




「もうそろそろ、誕生日じゃない?」


「そうだね。あっという間に21歳。」


「何か予定はあるの?」


「特にないかな。就職活動をしていそうだけど」


「そうだよね。でも、夜は空いてるよね」


「そうだね」




意を決して、少し声を大きくして彼女に迫る。



「じゃあ、誕生日は自分が絶対に祝うから、いいでしょ?」


「本当に?」


「ホント、ホント、」


「じゃあ、楽しみにしているね」


「是非とも楽しみに」




彼氏でも何でもない微妙な立場なのに


調子の良いことを言っていた。


おいしい食事にでも連れて行ってあげようと思い、


彼女に「何が食べたいか」などリサーチする。




「何か食べたいものはある?」


「特には無いけど」


「寿司、焼肉、フランス料理、イタリア料理などいろいろあるけど」


「好き嫌いはないから何でもいいよ」


「じゃあ、焼肉は?」


「焼肉でもいいよ。」


「当日は楽しみにしてね」


「私も楽しみにしているね」



こんな話をしているのが一番幸せだけど、


ランチの終了の時刻とともに


テストという名の地獄に落とされていた。





家に帰ると早速、おいしい焼肉のお店を探す。





僕は単に焼肉を食べたいだけだった。


どうせなら豪勢なお店がいいと思い、


インターネットで銀座の焼肉店を探す。



調べて見るととても高い。





最低でも7000円以上。


初めての誕生日なので、奮発することに決める。


プレゼントをあげるのは重いので、


これくらいはしないという罪悪感があった。




テスト期間中、一度だけ彼女からメールが来た。



23時。




もう寝ようとしていたころだ。メールのタイトルが、




「姉さん、大変です」




ホテルというドラマの名台詞。


こういうセンスもあるんだと思い、メールを開いて見ると・・・




「お願いがあるんだけど、組織心理学の教科書をなくしちゃったのでコピーさせてもらえない?」




少し複雑な気持ちだった。


こういうときにしか彼女はメールをくれない。


頼られていると前向きにとらえればいいのだけど、


なかなかそうは受け止められないもの。


このメールが着たのは試験のの前日。


「なんて、リスキーな人なんだ」と思いながら、




「いいよ。当日の朝に教科書をもってくよ」




メールを返す。いつもとは違い、すぐに返信がある。




「了解。8時20分でどう?」


「了解。」




その日のテストは2限にあった。


僕はそれがその日の最初のテストだった。


本来なら10時30分にくればいいのに、


彼女のために8時20分に来なければならなくなった。



こっちも必死なだけにさすがに躊躇したけど、


嫌われるのも嫌なので、


仕方が無く、早く学校へ行くことにした。



当日の朝、図書館の入り口で待ち合わせをしていた。


待ち合わせ時間になっても、彼女はやってこない。


朝の学校は静かで、霧が少しかかっていた。


空気が澄んでいて、気分は良かった。




しかし、待ち合わせ時間から5分遅れて


走りにながら彼女はやってきた。


時間にルーズな人が嫌いな僕はちょっと苛立っていた。


彼女もそういう性格なのは承知しており、何度も謝る。




「ごめん、電車が遅れちゃって。早く出たんだけど」


「いいよ、いいよ、それより早くコピーすれば」


「本当にごめん」


「時間がないし早くコピーしないと」


「ごめん」



彼女に教科書を渡すと、


すぐに彼女はコピー機のほうへ向かう。


朝なので、誰も並んでいない。


これで「貸しができた」と思っていたら・・・・




今度は彼女にお願いすることになってしまった。




自分が用意した過去問が使えないことが、


マーケティングの試験の3日前に発覚。


使える過去問はでまわっているらしいが、


つてがなくて入手できない。


そこで彼女に駄目もとでお願いをする。


すると、彼女はつてがあるらしく快諾してくれた。


また、同じように図書館で待ち合わせをすることにした。


今度は逆の立場。待ち合わせ時間の10分前に到着。


その後、彼女もすぐに到着。



「ところで、過去問は入った?」


「いや今は持っていないんだけど、これから持ってきてくれるから待って」




彼女は自分以外の人とも待ち合わせをしているらしい。


すると、いつも授業で見かける人がこちらへやってくる。


過去問など情報を持っていることで有名な人で、


いつもパンパンのリュックを背負っている関西人。


正直、生理的に受け付けられなかった。


彼女が知り合いらしく、その人から貰うようだった。


男が彼女に声をかける




「久しぶり。言っていた過去問を入手したよ」


「ありがとう、助かる」


「いろいろ出回っているけど、これはわかりやすいよ」




僕は彼女から離れて、関係が無いようなフリをしていた。


会話のやりとりを聞いているだけでイライラしていた。




「連絡をとれる=彼女の連絡先を知っている」




それだけでも許せなかった。


でも、それも自分のせい。


彼女にお願いをしたのは自分だった。





しかし、単位にはかえられない。





彼女と男と別れ、すかさず彼女に声をかける



「入手できた?」


「入手できたよ。」


「よかった~、助かるよ」




彼女から過去問を入手したおかげで、試験はうまくいった。


しかし、二度とこんなことを彼女にはさせたくなかった。



さらにテスト期間中、最悪なことが起きる。


運が悪いことに毎回テストのときはそうなのだけど、


テスト期間最終日までテストがあった。




そのため、就職活動のスタートは出遅れる。




学校によって後期試験が


2月まであるところもあるので何とも言えない。


少なくとも自分のまわりが就職活動を始めていたので焦っていた。



【教訓】


試しに受けようと思っている会社はたいてい受からない。本当に入りたい会社だけ受けよう。


もし、選考が重なっていたらダメ元でもいいので交渉すること。


学生に人気がある企業だからと言って、素晴らしい企業ではない。



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