ついに1月。


今年の初めの予定はもちろん何も無かった。


もちろん、彼女に一番に「あけおめ」メールを送る。


彼女は「会えない」と言ったのに


がっかりするメールが返ってきた。




「お参りに行って、凶がでました(悲)」





毎年、お参りに行っているらしい。


「一緒に行ってもいいのではないだろうか?」


と疑問に思いつつつも、ふれないことにする。


僕の冬休みは「スペシャルドラマ」を見て終わる。



1月になると期末試験が始まる。


今年は4年生のときを充実させるために、


できるかぎり単位をとろうとしたため、




試験の科目数は14個もあった。




しかし、「絶対に全てAをとろう」と頑張っていた。


楽なゼミに所属していたので、


せめて学校の授業ぐらいは話せないと厳しい。


授業は毎日出席していたので、実現できる目標だった。





「何でも一生懸命頑張ります」





と言っている人がいるけど、


そういう人に限って、学校の成績が悪かったりする。




全く説得力がない。




このような学生が言う「何でも」というのは




「サークルの行事なら何でも頑張ります」




のように限定されており「何でも」ではない。


大学2年生までの成績が悪くて嘆いても仕方がない。


学歴と同じで過去を取り戻すことはできない。





後期試験は挽回するチャンス。





もしも優秀な成績を残すことができれば、


このように言うことができまる。




「大学3年生からはゼミなど学問に真剣に取り組み頑張りました。」




大学2年生までは悪くても、


大学3年生からは頑張ったとアピールできまる。


逆は言うことはできない。




そんな中、テスト期間に入る直前、


テレビ局のWEB試験・エントリーシートに


合格してしまい、面接が入ってしまった。




面接は土曜日の朝。




試験勉強時間が削られるのは惜しかったが、


通過したことがうれしく受けることにした。


その時のエントリーシートの課題のひとつが



「今年起きた出来事を川柳にしてください」




こんな川柳を考えた。





「いつ終わる らちの明かない 拉致問題」




ちょっと掛けてみた。


ゼミ中でも授業中でも必死に考えた。




「この歳で 小沢がせして すみません」


「ダイキ晩成 許して下さい 過ちを」




というのも考えていたがイマイチ。


どうしてもダジャレの川柳が思い浮かぶ。


拉致問題の川柳を上回るものはなく、




しかし、絶対に通過するだろうと確信していた。



マスコミ関係の選考はこういうのがあるから面白い。


思い浮かばない人にとっては地獄だがとても楽しかった。


日ごろから、自分なりに考えをもつことが大切。


当日、試験会場に向かうと駅からすごい人が歩いている。


知らない人が見たら




「何のイベントなんだ」





と思っていたかもしれない。


そんな行列の中、語学のクラスにいる嫌いな奴を発見。


いかにも遊んでいますって感じのチャラチャラしている奴。


語学の時間、カンニングをして


怒られたことがある救いようのない人間。


「こんな奴もうかるのか」と思い、


僕は誰でも受かる試験なんだと悟った。




しかし、そんな奴でも


大手広告代理店に内定が決まっていた。


悲しいことにどんなに性格が悪くても


優秀と判断されれば採用される。


いい人だからと言って「優秀」なわけでもない。



会場に着くと修学旅行の集合風景のように


きれいに整列して、受験者が並んでいた。


前の面接が終わらないならしく、


人事の方がしきりに謝っていた。




「すみません。10時予定だったのですが、10時30分ごろの開始になります」




暇つぶしというか、まわりを和ませるために


人事の人が質問をなげかけた。



「今日、一番遠いところから来たという自身がある人は手を挙げてください」




すると、真っ先に手をあげた学生がいた。


人事の人が、ほっとしたようにその学生を指す。



「では、どこから来たの?」


「沖縄の石垣島です。」



一瞬、会場がどよめく。



「すごいね。それだけやる気があれば、面接も大丈夫そうだね」




この学生が発言してから、


誰も手を上げなくなってしまい、気まずい雰囲気。


たくさんの就職活動生に出会ったが、


これ以上に遠い人は見かけたことがなかった。




1次面接ぐらいだと交通費が出ない。




おそらく往復でも6万円はかかるだろう。


僕は実家生であることに感謝した。


地方の就職活動生は借金をしてまで、


就職活動をしている人もいる。


「投資」と考えてみれば、入社1年目で


元はとれるけどつらいものはつらい。


都内で就職活動をしている人は


どれだけ恵まれている環境にいるか気づいてほしい。




友達から事前にリサーチをしており面接は5分間ほどの



「1対1の個人面接」




だということはわかっていた。


わかっているだけでも全然心構えが違う。


ブースの机にはベルがあり、5分ぐらいになると鳴るらしい。




初めての面接。





緊張しないわけがない。


予定より30分遅れ、自分の面接の番に。


会場は20ぐらいのブースに分けられていた。


席に座ると、やはり目の前にはベルが置いてあった。




最初に「自己PR 」が聞かれるんだろうなと思っていたけど、


面接官から質問されたのは全く違っていた。





「会社に入ってやりたいこと」





自己PRを話すことしか考えていないので、頭が真っ白。


それでも対策はしてきたので、動揺を落ち着かせる。



「広報を希望しているようだけど、何かやりたいことはある」


「えっとですね。まずは御社のHPのデザインがごちゃごちゃしているので整理したいと思います。」


「そうなんだ。全く僕は見ないからわからないけど、具体的にはどうするの?」


「まず、御社のHPは赤を基調としていて、目にあまりよろしくありません。そこで、青と白を基調としたデザインにしたいと思います。」



ここでとまらず、自己PR を絡める。



「カラーコーディネイターの勉強をしていたのですが、「青」と「白」というのは誰もが好感を持つ組み合わせと言われております。」



勉強をしていたという風にしたのは、




試験に合格していなかったから。



カラーコーディネイター2級を


受験したのだが1点差で落ちてしまった。


就職活動で有利なのが2級からということで


3級を受けず、2級を受験をしていた。


しかし、見事に落ちてしまった。



「そうなんだ。他には?」



あまり面接官は関心がなかったもよう。


制作現場の人だったに違いない。


僕はあらかじめネタを用意していたので動じることはなかった。



「他にはより質のよい番組を提供するために、ドラマやバラエティ番組の試写会を行います。3パターンの異なるストーリーを用意し、視聴者がよいものを実際に放映するというものです。」


「ハリウッドみたいなアイデアだね~、面白いよ、それ」


「そうなんですか。全く知らなかったのですが、視聴者の人には一番おもしろいものを見て頂きたいので。」



自信作だけあったのでこれで自信がつく。


他にも好きなテレビ番組など


しつこく聞かれたがそつなくこなす。


もちろん、好きなテレビ番組は


この会社の番組しか言っていない。




しかし、明らかな嘘。




だいたいテレビ局が好きで番組を見るわけではない。


番組が面白いから見るのだ。


エントリーシートに書いたのは、


1月に放映されたばかりのドラマだった。





ドラマに熱くなって語っていると、例のベルが鳴る。





ここで面接は終了。


合格を確信し、会場をあとにした。


数日後、合格連絡がメールで送られてきた。




メールを見ると、今度はテスト期間中に試験。


次は筆記試験だが、前回とは違いかなり絞っているよう。


会場は自分で希望を出せるようだった。





1週間後。。。





試験会場は運良く、高校生のときに通っていた予備校。


4年ぶりの訪問にちょっとノスタルジックな気持ちになる。

頭の片隅には常に後期試験があったので、


筆記試験の会場でさえもテスト勉強をしていた。




試験の日の次の日には国際金融の試験があり、


どうしても落とせなくて必死に勉強していた。


よりによって、授業最終日に




「今年から問題を変える」




と公言されてしまい、勉強をするしかなかった。


授業に毎回出ている自分でさえも


授業内容はわからず、


「誰でもわかる国際金融」というような本を


3冊ほど購入して独学をしていた。




多分、あの筆記試験会場で筆記対策の本ではなく、


国際金融の教科書を読んでいたのは


自分くらいだったであろう。


偶然、筆記試験にも国際金融の問題が出され、


その問題に関しては100%正解している自信があった。






しかし、試験はあまりにも散々な結果だった。




英語・算数・一般常識のテストだったが、


英語の出来が悪かった。




「大学受験をしているときなら、簡単だったのに」




そんな風に思いながら、自分の努力不足を嘆いた。


試験会場を出るとき、もう落ちたことを悟っていた。


就職活動をする前は全く志望はしていなかったが、


この頃はかなり自分の中で志望度が高かった。






それだけに、ショックだった。






帰り道、偶然、仲のよい友達に会ったが、


会釈をすることが精一杯で、会場を去るしかなかった。


この頃、筆記試験3連敗ということもあって、


筆記試験恐怖症になっていた。



【教訓】


自分のやりたいことは少なくとも3つは言えるようにしておきましょう。「他には?」と聞かれて黙らないように。


後期試験はすべてAを取るつもりで頑張りましょう。



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