11月。毎年、大学では学園祭が行われていた。


人ごみが嫌いなにもかからず


1、2年生のころは国際交流の


サークルのイベントで留学生と一緒に行っていた。



今年はゼミでブースを設けて、


共同論文を発表しなければならなく、


強制的に行かなければならなかった。



人に足を引っ張られるのが何よりも嫌いなので、


共同論文なのに強引に分担を決め、


打ち合わせを極力する必要がないようにしていた。




共同論文は6章からなり、


1章自分、2章五十嵐君、3章鷹野さんのようにして分担。


もともとゼミ員もゼミ以外のことで夢中なので、


反対する者はいなかった。



夏から準備していたので自分だけは10月に終了していた。


結論に関係ない1章(概論)について書いていたので、


先に書き終わっても、結論にはまったく影響がなかった。



しかも、ほとんどが資料の切り貼り。




自分の担当の分は終わっていたけど、


他のゼミ員は文化祭前日ギリギリまで作業をしており、


仕方がなく、学園祭の2、3日前の


打ち合わせは参加して手伝っていた。





そんな学園祭で問題が発生。




学園祭の日とTOEICの試験日が重なってしまった。


普通なら11月にこだわる必要はないと思うだろうけど、


ゼミ員のほとんどがTOEICを受験していなかった。


この時を逃してしまうと、次は1月。


エントリーシートに語学について書けなくなってしまう。



エントリーシートには


たいてい資格を記入する欄が設けられており、


TOEICの点数を記入する欄があるものまである。




空欄で出すほど印象が悪いことはない。



自分を含め、ゼミ員はこの機会を逃すわけにはいかなかった。


ゼミ員のほとんどが学園祭のブースを1日休んで、


TOEICを受けようと考えていたのだが、一人だけ反対していた。





松井君だ。





彼は自分の一番嫌いなタイプで


ゼミがある日は必ず両極端の席に座り、


彼とはほとんど話さない。


何でも上からものを言う態度が


どうしても腹が立って仕方がなかった。


しかし、好きな人としか行動しないのは学生だけ。


社会人になれば絶対に許されない。


そんな彼はここぞとばかりに正論を主張する。





「どっちが大切なの?ブースに誰もいないなんてありえないでしょ」


「どうせ見にこないし、いいんじゃない?じゃあ、松井君がいれば」


「自分ひとりだけじゃね。やっぱり、他の日と同じ2人はいないと。」


「じゃあ、大学院生にお願いをしていてもらうのはどう?」


「やっぱり、自分たちでやらないと」





そんな話が1時間続く。


就職活動に関わることなのでみんな真剣。


そんな舌戦を繰り広げているうちにきりがないことから、


明らかに結果のわかる多数決で決め、


当日は大学院生にお願いをすることになった。


あれほど主張していた松井君はちゃっかり、





TOEICを受けていた。





よくエントリーシート・履歴書に記入して、


評価されるのはTOEIC730点以上と


言われているがそんなことは関係ない。


実際の面接では660点しかとれていなくても評価は高かった。


意外にも役員クラスの人からは高評価を得ていた。




「TOEIC660点か。すごいね、君」




なんて言われるくらい。その時は




「ありがとうございます」




と元気な声で答えていた。


よく日本人に多いのは誉められると


異様なまでに謙遜をすること。




とてももったいない。





特に英語はその傾向がある。



「英語は話せますか」



と聞かれると、ほとんどの人が謙遜して話す。



「それほど話せません」



しかし、外国人に同じように日本語が話せるか聞くと



「ニホンゴハナセマ~ス。フジヤマ、ハラキリ、スシ」



など自信を持って答える。


マイナスなことを言ってよいことはなく、


プラスなことを言っていれば、プラスに働くかもしれない。


英語の質問をされたときは


「話せない」とは絶対に言わないことだ。




TOEICについてわかりそうな担当者には


レベルが分かっているのであまり詳しく聞かれない。


一般的に英検の場合だと準1級以上と言われている。


資格の欄には、




「TOEIC660点」「運転免許」「日商簿記2級」




の3点を記入していた。


ちょうど記入欄が埋まり、バランスがよかった。


日商簿記は2級からが評価されるが、


僕は3級に1点差で落ち、悔しくて2級を取得した。


面接を受け始めたころ、よく「負けず嫌い」の例で


簿記2級のエピソードについて語っていた。




「簿記3級に落ちましたが、悔しくて独学で3級を受けずに2級に合格しました」





このように資格は会話にも役立つ。


もしも、有名な資格ではなくても、


取得しているのなら書いたほうがいい。




相手が知らないことは聞かれる可能性が高い。




面接でも主導権が握れて、会話が弾む。


「パパ力検定」、「世界遺産検定」などいろいろ資格はある。


社会人になって役立つ資格としては3つが挙げられる。



「簿記」「TOEIC」「宅建」



これらも学生時代にとっておきたい資格だ。






【教訓】


TOEICはなるべく早めに受けておくこと。


資格の欄はよほどひどくない限り自信をもって書くこと。


就職活動ベストブログランキング