10月。まわりも「就職活動」を意識し始めた。


大学でも就職活動セミナー開催のポスターが貼られるようになる。


僕は人ごみが嫌いで、セミナーにはほとんど行かなかった。




「できる人なら自分で何とかできる、自分でできないからこそ人に頼るから行くんだ」




そう思っていた。僕は何をすればよいかわからず、


ただひたすら就職活動本を活用して自己分析をしていた。


毎日、1通り書き込もうと思ってチャレンジしても、





2、3時間後には挫折している。






中途半端な気持ちで書いていたため、


自己分析 はできていなかった。


決して自己分析は妥協をしてはいけない。


妥協をした分だけ、自分に帰ってくる。


それが内定が一番欲しい時期なのかもしれないから残酷だ。


自分の良いところばかりを探して、


自分の悪いところを見ようとしていない。




本音で語っていなかった。




誰が見るわけでもないのに、変なプライドが邪魔していた。


自己分析はありのままの自分を見ること。




「エントリーシートのエピソードに使えそう」


「これなら面接が食いつきそう」




など邪な考えはやめて、その時思ったことを書くこと。


そのため、自己分析は紙に書くといい。


頭に浮かんだことを書いておけば、あとで忘れない。




人間の頭は忘れるようにできている。




それは嬉しいことも悲しいことも。


とっもかく書いて書いて、たくさんエピソードが出たら、


あとで分析して、売りになるものを探せばいい。




自己分析はとても辛い作業だ。





そんな辛い作業から逃げたい気持ちもわかる。


このときの僕は「何とかなるだろう」と思い、逃げていた。


そんな状態で良い自己PR が書けるわけがなかった。


この時期からちゃんと頑張っていたら、


就職活動の結果も変わっていたかもしれない。




何ごとも基本が大切。




長時間、自己分析をしていると、


明日の「おはようメール」のネタを


どうしようか考えてしまい、全く集中できていなかった。



テレビ・雑誌・新聞など、彼女の喜びそうなネタを探していた。


おかげ様で就職活動中、時事問題に苦しむことは少なかった。


しかし、そんな努力もむなしく、散々な結果になることもある。



「おはよう!最近、再放送で「漂流教室」が放映されているんだけど、今見ても面白い!みっちゃんの好きな窪塚洋介が出ているし、もしよかったら見てみては。あと、今放映されているのだと「恋のチカラ」かな。広告代理店の話で実話らしいよ。就職活動の参考になるかもしれない」


「おはよう!まだ見ていないから、レンタルで借りて見てみるよ。」




一生懸命考えたのに1文だけの場合もあった。






あまりも少なすぎる。






しかも、メールを送ってから数時間後に着たメール。


こんな時ばかりではないけど、さすがにショックを受ける。


メールを何度も送っていると、必ず使用するワードがある。


例えば、「最近」「見た」「今日は」というワード。


ネタを振る際には必ず使用する言葉だからだ。




「今日はサークルで焼肉パーティをしました。そこのお店が良かったので、今度一緒に行かない?」


「LOST という海外ドラマを見たんだけどおもしろいよ。絶対に面白いから見てみてよ。」


「最近、ボクシングの体験入学をしたんだけど、傷だらけ。」




このおはようメールは僕と彼女の関係が


気まずくなるまでの間、「約8ヶ月」続く。


文字数に換算すると半角60000文字。





卒論並みの文字数だった。




彼女は授業に真面目に出ていたので、


必ず水曜日と木曜日は顔を会わせていた。


でも・・・・




一度も授業では隣同士で受けたことはなかった。




いつも自分のが先に授業に来ていたので、


わざわざ移動するのも嫌らしく感じられるのではないかと思い、


彼女が教室に入ってきても、あえてそうしなかった。


毎回、「彼女の方がきてくれれば」なんて思っていたが、




彼女はいつも1人で授業を受けていた。




そんな貴重な2日を無駄にしないようにと、


週1回は強引にランチに誘い、学食で食事をしていた。


誘う際には、おはようメールで必ず日曜日だった。


ランチをした後、「来週も」と言うのは傲慢な感じがするので、


ちょっと空けてから誘うことにしていた。




相変わらず、人に知られるのが嫌だったので、


なるべく2人で行動していることがわからないようにした。




中学生時代と変わらない。





例えば、学食なら一人が席をとり、


もう一人は注文という風に分担したりした。


彼女はどう思ってわからないけど、


たいてい何でも協力してくれた。



学食でランチをする場合、友達がいる可能性が高いので、


カーテンで仕切られた目立たない席で食べていた。


たまに友達に会いそうになったりしたが、


なんとか回避してきた。




でも一度だけ、食事をしていたときに、


すぐ斜め後ろで親友が食事をしていたことがあった。


これを見たときには冷汗がとまらなかった。




その時、すでに僕たちは食事を終えていたので、


偶然彼女に会い、声をかけていたような素振りをし、


話しかける隙を与えないように


体は別の方向を向いて話した。



「五十嵐(圭)君。五十嵐君も食事をしていたんだね。次の授業もう始まるからまたね」


「またね」



ランチの時間は30分程度。


3時限目の授業がくるのがとても嫌だったことを覚えている。


いつも自分ばかりが話していたせいか、


食事が終わるのは彼女より遅かった。


そして、いつも食べた気がせずお腹がすいていた。



【教訓】


自己分析 をするときは本音で語り、紙に書くこと。また、早い時期に真剣に自己分析をすること。


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