医療の学問の中に、「解剖実習」というのがあります。

 

6年過程の医学部、歯学部では必須科目で、また一部の医療資格にも「解剖見学実習」として(学校にもよるが)カリキュラムに入っているのです。

 

 

これは医療系学生にのみ特別許されている実習で、学校を卒業し有資格者になってしまうと、参加する事はもう出来ない。らしい…

 

つまり、国は 将来医療従事する『学生』というのに対し、大きな期待と許可を与えているということなのです。

 

 

では、この実習。 他の勉強と何が異なるか? というと、「解剖」をより深く学ぶのは当然のこと…

ご献体を前にし、命の「尊厳」と「感謝」を学ぶのです。

 

 

 

 

 

四天王寺の日本庭園に『二河白道』というのが在ります。

 

浄土宗の話ですが、人の人生というのは、大きな二つの河に挟まれているそうです…

ひとつは、怒りを表す“火の河”。 もうひとつは、妬みや貧欲を表す“水の河”。 火の河に落ちると、怒りの感情で自身をも焼き尽くされてしまう。 水の河に落ちると、深い欲望から抜け出せず浮き上がって来れない。

 

人生とは心の戦いなのだという… 人を妬んで悪口を言う人、自己顕示欲が強く攻撃的な人など…いますでしょう。

(その人が愛されるかどうかは 知りませんが…)

 

 

そんな人生において、人への「尊厳」と「感謝」を持つものだけが、その河の間にあるという『白道』を見ることが出来、極楽浄土まで進んでいけるといいます。

 

 

 

 

僕は、極楽浄土があるのかは知りませんが… 医療を学ぶ者、人の心に関わる者は 「白道」が見える様な者でないといけないんだろうと思っています。

 

僕が14歳のときに 「集中内観の面接」 をしてくださった、内観法創始者の吉本伊信先生は、この『二河白道』の画を見ながら自身の内観を深められたそうです。

 

 

 

もちろん、完璧な人間などおりませんので そこを目指す意識が大切なのですが、

世の中には、(学生ですら) 病で弱くなった人を前に、自分が上等な人間で “してやってるんだ” と勘違いしている者もいます。

 

「実るほど頭を垂れる稲穂かな」 ということわざも、ありますね。

 

 

なので僕は、人を判断するのは 富や名声でなく、「礼節」と考えています。

本当に中身がある人は礼儀正しいからです。

 

ま、もっとも偉そうにしてる人は、敵作るだけで…最初からマヌケなんだけどね。

 

僕が医学や心理学、福祉学を学んで来、いまだ仕事としても関わるのは、人の心と体は切り離して考えられない と知っているからです。

内観だけしか知らない治療者にはなりたくないからです。

 
 
 


*内観とは
日本精神神経学会に承認された、数少ない日本発祥の心理療法。
もとは少年院の矯正教育から始まったが、現在 スポーツ選手や芸術家のメンタルトレーニング、対人問題、企業研修、離婚・子育て問題、不妊治療、引きこもり、不登校など幅広く用いられる。
医学的には、アルコール・ギャンブル・ネット依存症、一部のうつ病に効果があるとされる。



医療現場で用いるのを“内観療法”、一般で用いるのを“内観法”と言い分けています。

 

 

この度、大連の内観施設が大阪内観研修所と姉妹関係を結び、

『大阪内観研修所 大連分室』となりました。

 

 

 

大阪内観研修所は、内観研修所をはじめて40年。 中国を中心としたアジア圏に内観を伝えて30年ほど。 

中国に伝来された当初より、毎年 講義、実技講演をしに訪中し、医学会や教育界にも招聘されてきました。

 

また、推薦状を持つ医師や専門家の日本での研修を行っており、これまで多くの専門家が勉強されました。その方々は、自国の病院や学校で指導する立場となっています。

 

 

2018 上海交通大学医学院 上海精神衛生中心 での講演

《副所長 経歴》
・世界中医薬学会連合会 内観療法研究会 常務理事
・国務院教育部 中国人生科学学会 内観と人生科学専門委員会 常務委員
・遼寧省大連市 黄鶴心理会館 首席面接師
・上海第二医科大学医学院 名誉顧問賞受賞
・日本内観学会 会員

 

 

 

私も16年程前から訪中し、上海、北京、大連で実技講演、講義をしてきました。(上海、北京市では保険適応) もちろん日本での面接・指導もして来ました。

 

今年の6月には、上海交通大学医学院 上海精神衛生中心で行わた医師・心理士の研修プログラムで、講演をさせていただきました。

医師・心理士の研修ですので、衛生部(厚労省)に認定されたプログラムです。

 

 

2017年 大連 師範大学での内観特別講演。

授業後にもかかわらず 学生さんが大勢、聴講に集まってくれました。

 

 

北京への招聘。前列右の男性が、病院長であり天津医科大学名誉教授、現 中国内観学会会長の 郄鳳卿 教授

中央、中国で “内観の母” と呼ばれる 大阪内観研修所所長。

 

 

8月、大連から内観者5名が来日。

大阪内観研修所の中日内観研修も、もう何回目になるでしょうか…正確に数えないと覚えていません(苦笑)

 

 

大阪内観研修所で研修されると、研修修了書とともに日本内観学会の認定証もお渡ししています。

 

いつもは、医師・看護師の医療者。や、教育関係の方。会社経営者が勉強に来られます。

 

それは、中国の医学界や教育界で内観面接者の育成に力を入れているからです。

中国では、子育て(一人っ子政策の影響)の問題。インターネット依存症など、社会的問題を抱えていて、政府もこの解決に真剣に取り組んでいます。

 

 

30年程前、著名な精神科医の王祖承教授は、文献から日本の内観法にたどり着き、自分の大学に持ち帰りました。

療法は精神科の外来で行うのをキッカケに、中国全土に注目されました。 内観療法学会の設立。教育部(文科省)の学会成立。

衛生部(厚労省)の学会成立。上海と北京での保険適応…

 

四川大震災の際には、研修された上海の医師団が向かい、政府が被災者のPTSD(心的外傷後ストレス障害 )の治療として被災地に臨時の内観面接場所を造りました。

 

 

2016年の教育部(文科省)での学会成立大会。 僕は前列の端っこにいます(笑)

前列中央右におられるのが王祖承教授(中国心理衛生協会 名誉理事長、上海交通大学医学院 精神医学教授、前 中国内観学会会長)

 

 

2017年 内観ワークショップ(大阪)にて 総合司会を。

 

王祖承教授より、内観普及の貢献と、これからの内観にと、私は名を頂戴しました。

 

これは、長年の先生との関係の中で、「中国での愛称:ニックネーム をください。」とお願いしたところ、

光栄にも先生の名(祖承)から、『承』(ショウ・受け継ぐ) を名乗りなさいと頂いたのです。

 

 

 

8月の大連からの内観者は、専門家ではなく一般の方々。

いつもは、専門家(医師・教育者)がほとんどなのですが、

専門家とはまた違う熱心さで、最後まで素晴らしい研修をされて帰られました。

 

面接は、中国語、英語、フランス語、日本語の4ヶ国語を今回用いて行われました。

(英語とフランス語を話される内観者がいたので)

 

次回は9月。

上海から医師など専門家が研修に来られます。