私にはずっと尊敬している生徒さんのお母様がいらっしゃいます。
私がまだ大学卒業してすぐの23歳ぐらいのころ。
出張レッスンご希望ということで初めてお会いしました。
お子さんたちはとても可愛く、その頃、4歳と赤ちゃんたちでした。
私は小さい子を教えたことがなかったので、そのことをお伝えしたのですが、ぜひお願いしますと仰ってくださいました。
そのお母様は、若輩者の私を、いつも「先生」として接してくださいました。
お宅に伺うと、温かいおしぼりと美味しそうなお菓子を出してくださり、雨が降った日はお風呂場で傘を干してくださり、とても恐縮しました。
コートなどは子どもたちが受け取り、お見送りも家族総出でしてくださいました。
お父様は立派なお仕事をされており、お母様自身も大変聡明な方でしたが、
未熟で至らないことが多かった私を、常に先生として丁寧に接してくださいました。
理想の女性、母親、妻、でただただ憧れていました。
お子さんたちも中学生になり、もうお辞めになるとき、
私は号泣でした。お母様も生徒さんたちも泣いていました。
今でも温かい思い出です。
そうした関係を築くことができたのは、ひとえにお母様のお人柄のおかげだと思います。
まだ1年に一度の年賀状のやり取りが続いています。
いつか自分の子たちを連れて、伺いたいです。