思えば、あの日の二日前に

迎えた成人式の際に

どんな未来を私は描いていたのか


今では思い出すこともできません


思い出すのは

震災前に独り暮らしをしていた

私のところへ父とやってきた母が


「やっとローンが終わったから

これからのんびり暮らせるわ。

こうやってあちこちに二人で

遊びに行きたいね。」

と楽しそうに話してた事と


震災後にひとりで泊まりに来て

ユニットバスの小さな風呂に

お湯を溜めて浸かってもらったら

「ほんまに気持ちいいなあ」と

喜んでいた様子が

同じ人が喜んでいるのに

たった一年ほどで

信じられないほど境遇が変わった事に


一人前になったはずなのに

自分の大切な人たちの

苦しみを少しでも軽くしたいのに

ほとんどと言ってもいいほど

無力で何も出来なかった自分


もっと、もっとと

願えば願うほど空回りして

遠回りをしていたように思います


それでも

何もなくて退屈な日々も

苦しくて発狂しそうな日々も

こんなに幸せでいいのかと思う日々も

過大にも卑下にもせず

私が私の人生を生きていくことが

唯一出来ることなのかなと思えるように

なりました


21回目の1.17も

私は生きていきます

そして改めて

思い浮かぶ人たちの鎮魂を願います