もう今から情報を出しても遅いかもしれないが、今はこれからもう一年浪人しようという方が予備校を選ぼうとしている時期であるだろう。関西地区の浪人生限定で、私の知っている範囲に限るが、いくつかの大学受験の予備校のメリット・デメリットをあげたい。
なお、現役生や他地方の浪人生の場合、いくつか異なる場合がある。また、管理人のいた河合塾大阪校も含め、最新ではない情報も含まれている。

いずれにせよ、関西の校舎も含め、当ブログの情報に加え、各校舎のスタッフ、さらにはその予備校・塾に通っていた人に聞くことでより実情が把握できるのではないだろうか

1.河合塾
私が一浪時代通い、2浪時代も講習やチューターさんとの相談で幾度となくお世話になった塾である。



河合塾のメリットとしてはまず、講師やチューターさんの面倒見が良いことが挙げられる。相談にもよく乗ってくれるし、授業態度や成績が悪ければその辺りもしっかり見てくれる。だからといってスパルタ式で罰を加えるとかそういった校風ではない。
次に90分授業であるということだ。これは高校の授業時間の倍近いが、その分連続しているから雑談などもあって意外とメリハリの効いた授業になるし、なにより入試本番は英語を始め90分(大阪大学、早稲田大学、慶應義塾大学商学部などの試験)あるいはそれ以上(一橋大学、東京大学、名古屋大学など)あることが多いのだから、普段から長時間の勉強に慣れておいた方が良い


もうひとつが校舎が多く、どこもアクセスがいいことだ。例えば、大阪校は大阪駅からはかなり歩くものの、阪急大阪梅田駅の茶屋町口やOsaka Metro御堂筋線の中津駅からは徒歩圏内。神戸三宮校や京都校などほかの校舎も様々な駅の徒歩圏内で通いやすい。



河合塾のデメリットとしてはまず、生徒が多すぎて特に下位クラスでは有力講師の授業がなかったり、低レベルのテキストを配分されることだ。
特に私立文系の場合、英語の上位テキストを使える人数はごくわずかで、その結果か、関西圏では早慶コースでも早慶や中央法などのMARCH上位に受かる人数はごくわずか。ほかのMARCHレベル各大学や関関同立にも受からない場合も多い(これは河合塾に限った話ではなく私立文系の性質上でもある)
駿台や東進でもそうだが、予備校の出す早慶の合格者数の多くは旧帝国大学や一橋大、東工大などの併願者であることに注意すべきである。

なお、関東の河合塾の場合、早慶の過去問を研究している先生方、なにより有力な仲間の学生も多く、事情は大きく異なる可能性が高い。下宿などの予算が許せば関東の河合塾などに通うのも一考かもしれない。

メリットのはずの90分授業も、連続して話を聞くのがしんどい生徒には不向きである。試験中はずっと手を動かすのだから90分間のうちに寝落ちすることはないが、授業中は先生の話を一方的に聞くことになると眠くなるのは仕方がないかもしれない。事実、管理人自身も一浪目の春の水曜日の3限が辛かった。


また、人数が多すぎるが故にうるさい学生の多いクラスや奇抜な格好で通学する学生なども多く、巻き込まれないような学生もその悪影響を被る可能性が高い。もっとも煩い学生は学力レベルに関係なく煩く、大阪校医進館(当時)では授業中の時間、廊下に複数人で集まって大声で喋っている医学部志望の学生も少なくなかった

加えて、関西の河合塾は有名講師が少ない。しかし、名前ばかり有名ではなく、実力のある先生や人情味あふれる先生が多いのもまた事実なのでこれはむしろメリットですらある。

個人的には英語科の西内先生、木下先生、香川先生(東進でも授業アリ)、日本史の木村先生、倫理、政治・経済の河合先生、現代文の一番合戦先生の授業・講習をお勧めしたい。

2.駿台
ウン十年前に管理人の親が通っており、管理人自身も入塾を検討した塾である。最も管理人は絶対に河合塾と決めており、最初から通う気はなかったが

メリットとしては有名講師が多いことである。英語の竹岡広信先生や霜康司先生(システム英単語の著者である)などはご存知の方が多い。ただし、河合塾と異なり、現在は浜松より西側と東側の講師の移動はごくわずかである。そのため、お茶の水校の有名講師の授業は映像講座以外では受講できない。 
河合塾の90分授業が長いと感じる人には駿台の50分授業がオススメである。高校の授業は1コマ45または50分なので、その延長で受講できる。いきなり大学受験本番を意識して河合塾のように90分授業を受けても途中で寝ているなら本末転倒である。また、河合塾では1コマ90分故に理科基礎などの授業が隔週開講になるが、駿台なら1コマ50分なので毎週授業があり、開講日を覚えやすいし、その間に知識が抜けることも防ぎやすい
学生の質が高いのも特徴である。もちろん、河合塾や代ゼミなどの学生の質が恐ろしく低いわけではないだろうが、予備校全盛期に「講師の代ゼミ、生徒の駿台、机の河合」と言われたように、今日でも優秀な学生が集まるのは駿台である。模擬試験の成績優秀者(「(成績)冊子掲載者」)も多いし、京都校などでは四国や北陸、場合によっては通学圏内からですら勉強に集中するために下宿して通う生徒が河合塾以上に多い。そのような環境で切磋琢磨することは大切だ。

デメリットとしてはまず、スタッフの対応が挙げられる。
筆者が出身高校別説明会に出かけたとき、親が駿台で浪人して第一志望には落ちたが納得のいく大学に行ったと伝えたところ、入塾金が半額になったが、自分は京都大学を志望していたが成績がさらに上がったので東京大学に合格したとスタッフに学歴自慢(というよりイキり)をされたのは忘れられない。これは彼女の対応がたまたま悪かっただけであるが、河合塾ほど面談などに積極的ではないとは聞く。



アクセスも河合塾ほどはよくない。神戸校や京都南校、上本町校はJRや私鉄の駅から近いが、京都校は二条城のそば、大阪校はどこから行っても初乗り運賃が2度かかる、北大阪急行・緑地公園駅近くにある。入学金が河合塾より安くなった筆者も駿台大阪校だと定期代が同じくらい高くなるのでメリットが相殺され、河合塾の方を選んだ。


また、河合塾の「リフレッシュルーム」にもいるが、駿台では休憩室「フロンティアホール」で集まって騒ぐ生徒も少なくない。神戸校ではプリンにまつわる伝説も発生した。管理人の高校の卒業生などは某校舎のフロンティアホールで騒ぐことが多い。現役生やほかの浪人生からは白い目で見られているし、スタッフに通報・注意されることも多い。同じ出身高校の生徒などで集まって長話にふけることのないようにしたいものである。

ただ、理系を中心にハイレベルな学生と席を交え、共に戦うのは貴重な経験だ。河合塾の最上位コースもそうだが、特に駿台の場合はそのような経験が得やすいはずだ。



3.代々木ゼミナール
管理人は2浪目に突入した当初、河合塾在籍期間が終わって河合塾の自習室が使えなくなったので、「Twitterキャンペーン」で1度だけ代々木ゼミナールの自習室を借りた(期間限定)。
関西では大阪南校しか残っていないが、駿台の大阪南校にくらべて各路線の難波駅や大阪難波駅に近くてアクセスが至便である。現在の河合塾などはあまり認めていないが、必要な科目だけを単科受講することもできる。
デメリットとしては学生が減りすぎたため、代ゼミで実施できる模試がごくわずかになったこと、そのため代ゼミが持つデータが少なくなったことがある。優秀な学生も少ないかもしれない。
有名な講師陣も東進などに移籍した人が多い。しかし、メリットも多い。その分、質問や添削などには時間をかけてくれるそうだ。スタッフの対応も少なくとも河合塾と同程度には安心できそうだった。管理人にはわからないが、もしかしたら人数が少ない分、河合塾よりも面倒見はいいかもしれない。このためか、河合塾や駿台と異なり、早慶コースでも合格者は高いようである。

「いきものがかり」の水野良樹さんも代ゼミで単科受講することで明治大学での仮面浪人に成功し、一橋大学社会学部に合格した。費用も安く、単科受講でさらに抑えることもできる。裕福ではない浪人生や時間・金銭的にも厳しい仮面浪人生にはオススメである御堂筋線沿線、大阪南部や阪神沿線の学生にはぜひ選択肢に入れて欲しい


4.増田塾

私立文系専門であるが、国公立志向が関東よりは強い関西にもいくつか校舎がある。スパルタ式であり、脱落する生徒が多い。また、大手ではないので上の4者と異なり、まったく模擬試験を行っておらず、そのデータもない。
しかし、脱落せずについてさえいければ志望校に合格する確率は高い。私立文系専門なので、河合塾や駿台と違い、最初から私立文系での受験を前提にカリキュラムが組まれているので、適切な指導が受けられやすいはずだ。


このほか、四谷学院などの選択肢もある。遅くなればどこの予備校も定員を満たしてしまうので、早めに複数の塾の説明会に行き、比較検討すると良いだろう