「不妊治療と仕事との両立について」は私が行っているカウンセリングでも、よくご相談を受ける内容です。

2025年に「仕事と不妊症・不育症治療の両立」に関する5ヵ国の患者団体から国際共同調査結果の発表があり仕事と不妊治療の両立支援について企業対応に大きな課題があることが明らかになりましたので一部をご紹介します。

 

 調査は特定非営利活動法人Fineと特定非営利活動法人FORECIAは、イギリスの不妊治療患者団体Fertility Matters at Work、フランスの不妊治療患者団体Collectif BAMP、ポーランドの不妊治療患者団体Nasz Bocian、オーストラリアの不妊治療患者団体Pink Elephantsと共同で、「仕事と不妊症・不育症治療の両立」に関する企業向けアンケート調査を実施し、レポートを発表されました。

調査結果では不妊治療を人生の重要な出来事として職場が認識していると感じている従業員は、5か国全体で27%にとどまりました。一方、企業側では約75%が「組織として認識している」と回答しており、この“認識しているつもり”と“伝わっている実感”の乖離は、特定の国に限らず国際的に共通する課題であることが示されました。

日本では、不妊治療を行なっていることを職場で開示する割合が57%で、イギリスの86%やフランスの85%と比較して低い状況でした。

職場に開示しない主な理由として、下記が挙げられました。

「個人的な問題だと思われる」(33.9%)

「伝えることに不安がある」(20.3%)

「職場からの支援を期待できない」(15.0%)

これは、不妊治療が個人的な問題として扱われる傾向や、職場での開示がキャリアに悪影響を及ぼす可能性への懸念が影響していると考えられます。

日本特有の「個人的なことを職場に持ち込めない文化」が、支援を受ける機会そのものを奪っている可能性があることがわかりました。

 

不妊治療と仕事の両立を支えるには、制度の整備に加え、直属の上司を含む管理職の正しい理解と適切な対応が欠かせません。

しかし管理職向け研修を実施している企業は19.2%にとどまり、現場レベルでの理解浸透や支援体制の整備には、なお大きな課題が残っていることも明らかになりました。

 

この調査の詳細(日本語版)はFineのWebサイトに公開されています。

https://j-fine.jp/prs/prs/fertility_at_work_survey-2025_report.pdf

 

本邦では厚生労働省が不妊治療と仕事の両立支援として手引きとなる冊子を作成しています。

下記の厚生労働省のホームページからダウンロードが可能です。

001663160.pdf 不妊治療を受けながら働き続けられる職場づくりのためのマニュアル (事業主

人事部門向け)

001663161.pdf  不妊治療と仕事の両立サポートハンドブック ~不妊治療を受ける方と職場で支える上司、同僚の皆さんのために~

P1-0905b 不妊治療と仕事両立できていますか?~両立支援ガイドブック~

 

(NPO法人Fineのメールから一部抜粋)           

                        生殖医療相談士 

                        不妊カウンセラー 名越 由貴