【再読】 大和和紀『あさきゆめみし』 講談社漫画文庫
二〇二四年の大河ドラマ主人公は紫式部だそうです。
それを知ってふと、この作品を読み返したくなりました。
私は古典の『源氏物語』を一通り読んでからこちらの漫画版に入ったので、初めて読んだときは、自分とは違う解釈のもとで描かれたキャラクターたちが非常に新鮮でした。物語として面白く、学びにもなる素敵な作品だと思います。私の周りにも、この作品で源氏物語の内容を学んだ、という人は多いです。
漫画なので読書と呼べるかは微妙なところなのですが、まあ良いでしょう。
以下、内容についての記載あり。未読の方はご注意ください。
『第一巻』
最初は「桐壺」の場面です。儚げで透き通るような美貌の桐壺の更衣はもちろん素敵な女性なのですが、私が一番好きなのは何といっても弘徽殿の女御です。年を取ってからは二十顎気味の見るからに意地の悪そうな女として描かれますが、若かりし頃は本当に美しい。桐壺の更衣が入内するまでは彼女が帝の寵を独占していたわけですから、当然といえば当然ですね。
桐壺の更衣に対して、怪しげな薬を寄越したり、男児を産まないよう呪ったりするのはさすがに度を越した振る舞いでしたが、彼女の立場を思えば、桐壺の更衣を憎らしく感じるのは当然でしょう。帝の心無い言葉に涙を流す様子はあまりにも可哀想です。帝や桐壺の更衣が悪いわけではないのですけれど。
主人公の光源氏は、少年時代の見た目が一番好きです。
中性的なその佇まいは華やかさよりも清らかさを感じさせます。元服前は特に、水際立った、透き通るような美少年です。
そして、その後次々と登場する彼の恋人たち。
源氏の初恋相手である藤壺の女御も、やはり非常に美しいです。桐壺の更衣とは瓜二つという設定ですが、生き生きとした表情のせいか、より賢そうに見えます。
終盤で男児を出産し、中宮になります。実際には帝の子ではなく源氏との不義の子なわけですが。後の冷泉帝です。
なし崩し的に源氏を受け入れてしまったようにも見えますが、彼のことを男性として深く愛しているのは本当です。源氏を取り巻く女性たちに嫉妬し、密かに涙する姿が印象的でした。
次に、四歳年上の正妻・葵の上。
彼女はプライドが高く、源氏に対して素直になることができません。源氏とのコミュニケーション自体を避けているため、二人の夫婦仲は冷め切っています。
源氏にしても、半ば無理矢理のように重ねた夜の後、葵が眠っている間に帰ってしまったり、心無い振る舞いをしています。
それから当代随一の貴婦人と評される六条の御息所。
盛りを過ぎた女の冷たい色気、ぞくぞくしますね。気高く、美しく、もはや女王のような風格です。源氏よりも年上であまりにも賢すぎたため、そのうちに源氏の方が彼女の相手をするのに疲れてしまい、だんだんと疎遠になっていきます。近寄りがたいほどに冷たい美貌の持ち主ですが、雅を愛する、女性らしく繊細な性格です。その性格が災いして恋の鬼と化してしまうわけですが、彼女が登場すると物語が大きく動くので面白いです。
達観したような、儚げで可憐な女性・夕顔は、いやらしい意味でなしに、娼婦的というか、「男を癒す女」という印象です。どこか古代の聖娼のような。
そしてこの巻の半ばあたりで登場するのがメインヒロインの紫の上。愛らしく利発な少女です。
幼い紫と源氏のやり取りは兄妹のようで、見ていて癒されます。誤解されやすいですが、彼は何もこの時点の紫の上を女として見ているわけではありません。光源氏は決して年端もいかない幼女に欲情するようなロリコンではないのです。将来は藤壺そっくりになるだろうな、という多少の下心はあるかもしれませんが。
そしてイロモノ枠、不器量な姫の末摘花。不美人で教養もありませんが、根は善良です。彼女がメインの回は、どちらかというと周りを駆け回っている大輔の命婦の方が印象的でした。面倒見の良い女先輩という感じです。
源氏に恋する老女・源の典侍。彼女もイロモノ枠ですね。今は六十近い年齢ですが、かつては宮廷内でも指折りの美姫。中身は未だ少女のように若やいでいます。家柄も良くたしなみ深く、これで色好みでさえなければ、と源氏に言わせるほどの才気溢れる女性。琵琶を弾く姿が美しいです。
最後に登場するのは朧月夜。後宮内の駆け引きを「碁ならべ」と表現する自信家です。艶やかな出で立ち、悩まし気な目つき、自身の女としての価値を理解している、計算高い姫君という印象です。気性の激しさは、さすが弘徽殿の大后の妹なだけあります。源氏と関係を持った女性たちの中では、私はこの朧月夜と葵の上がとりわけ好きですね。どちらも目鼻立ちのくっきりとした気の強そうな美人として描かれています。我ながら、分かりやすい趣味だと思います。
場面として好きな部分は、源氏と頭の中将、左馬の守らの女性談義でしょうか。
身分は高すぎても低すぎても駄目、優しすぎる女は浮気をしそうだから駄目、しっかり者すぎるのは色気がないから駄目、嫉妬深いのは困るがまったく嫉妬をしてくれないのも嫌だ、などと言いたい放題。とても女性の前ではできない会話です。
まあ、彼らも口ではこんなことを言っていますが、恋をしているうちは相手の欠点など目につかなくなってしまうのでしょう。
やさしくてかわいい女の子がいいなあと言う惟光にはほっこりしました。
次巻に繋がる重要な部分は、終盤の藤壺の出産と父帝の譲位、葵の懐妊あたりでしょう。葵の懐妊を知って六条の御息所が絶望するシーンで次の巻へと続きます。
『第二巻』
葵祭りでの六条の御息所と葵の上の遭遇。
車同士が押し合う様子が見開きで描かれているのが良いですね。
正妻の葵に仕える下人たちから「愛人ごとき」と呼ばれ、屈辱的な仕打ちを受ける御息所が哀れです。そして葵の方も、別に意図して彼らをけしかけたわけでもないのに、傲慢で冷たい女のように思われてしまったのが気の毒です。家人から主の品格が知れる、ということなのでしょうか。
その後葵は男児を出産した際に、御息所に呪い殺されてしまいます。推しが退場して悲しい。源氏とも心が通じ合い、やっとこれから、というところだったのに。
夕顔の時と同様に生霊となって現れた御息所の姿の美しいこと。冷たい、ぞっとするような笑みを浮かべていますが、その凄みのある表情が本当に美しい。まさに女鬼といった様子です。本人の意思にかかわらず無意識に相手を呪ってしまうのですから、救いようがありません。
彼女が伊勢に下る前の、源氏との別れのシーンも印象的です。今宵また、と言って去って行く源氏。切ない終わり方です。
そして葵の死後、紫の上を妻に迎えた源氏。初夜が無理矢理、というのは最低でしたが、和解できて良かったですね。兄のように思っていた相手から心の準備もないまま襲われて、紫の上は相当怖かったと思います。下手をしたら、関係が修復不可能なまでに壊れていてもおかしくなかったでしょう。よく許したものです。
紫の上の見た目もだいぶ大人らしくなりましたが、まだ少女のあどけなさが残っています。
その傍ら、入内した朧月夜とも関係を続けていた源氏。それが明るみになり問題となったことで、最終的に須磨の浦に自主謹慎することになります。朧月夜は兄帝の寵姫です。このあたりは弘徽殿の大后や政敵の思惑も絡んでいるのですが、源氏にとっては父院の死、藤壺の出家に続く辛い出来事です。だからといって同情する気はあまり起きませんでしたが。
源氏よりも一人で京に残される紫の上が不憫です。実の親とも良い関係とは言えませんし、源氏以外に頼るもののない彼女が一人残されてどれだけ心細い思いをするのか、源氏はもう少し考えてあげた方が良いと思います。
基本的に漫画版の源氏は非常に賢く、器の大きな人物なのですが、それだけにいっそう女性関係での短絡的な思考が目立ちます。なぜ女性を相手にするとこうも視野が狭くなってしまうのか。
隠遁中に出会った明石の君もまた、美しい女性です。たおやかで気品に溢れ、教養も豊か。大人っぽい顔立ちですが、実際には紫の上よりも年下なんですよね。紫の上が本気で嫉妬してしまうほど、多くに優れた女性です。
そんな彼女を残し、後ろ髪を引かれる思いで明石を去り、都に帰る源氏。紫の上との再会は喜ばしいですが、今度は明石の君が可哀想です。
2巻で最も重要な部分は、やはりこの源氏と明石の君との出会いでしょう。彼女との子が最終的には国母となるわけですから。
この巻で個人的に好きなのは、朧月夜と帝とのやり取りです。源氏を愛しつつも、帝の真っ直ぐな優しさに触れて苦しむ朧月夜。最終的に源氏に別れを告げた場面での、彼女の晴れやかな顔も印象的です。
ちなみに、原作でもこちらの漫画版でも、男性のキャラクターで一番好きなのは誰かと問われたら、私はこの帝を挙げます。派手さや華やかさはないものの、才能豊かで善良な人物。穏やかで愛情深く、兄としても帝としても文句のつけようがないのでは。とてもあの皇太后の息子とは思えません。桐壺帝ともそれほど似ていないような。
花散里の君もこの巻で登場します。ふっくらとしていて可愛らしい。控えめで、穏やかで、見ているだけで癒されます。
源氏が戻った後、六条の御息所が亡くなり、その一人娘である斎宮の後見人となるところで終わりました。後の秋好中宮です。彼女は髪が緩くウェーブしているので、真っ直ぐな黒髪が多いこの作品の中でも、判別しやすくて助かります。
『第三巻』
3巻は末摘花がメインの回からスタート。都に戻ってきた源氏を、ぼろぼろのお屋敷で待ち続ける姿が健気です。
そして末摘花に仕える侍従の君が美人でした。ツリ目に困り眉なのが個人的にはとてもツボです。心優しく忠実で、最後まで主の幸せを願っていました。一話で使い切ってしまうには惜しいキャラクターだったと思います。
そしてその次は空蝉のお話。源氏の過去の恋ですね。
空蝉はぱっと目を惹くような華やかさはないものの、品のある顔立ちに描かれています。薄幸そうで人妻というよりも未亡人の風情です。
夫の伊予の介に向けた独白が印象的でした。望んだ結婚ではなかったのだとしても、彼に対して抱いている感情はやはり愛と呼べるものだったのでしょう。衣一枚を残して源氏を拒むシーンは、原文で初めて読んだときに強く感銘を受けた場面です。漫画でも非常に美しく描かれています。
現在は仏門に入っており、後に源氏のもとに身を寄せることになります。
少し後には、これまでたびたび登場していた、源氏の従姉にあたる槿の姫君についても詳しく語られます。
彼女も自らの意思で源氏を拒んだ女性です。人並み外れて思慮深く、結局一度も源氏の想いに応えることはありませんでした。恋に命をかけるような人間からしたら彼女の生き方はさぞつまらないものに見えるのでしょうが、私は、これはこれで美しい生き方だと思います。
現在に戻って、絵合の回。
梅壺方と弘徽殿方の二手にわかれて、衣装調度もそれぞれ赤と紫、青と白と緑で統一しています。想像するだけで華やかです。
実際は源氏と頭の中納言の競い合いでもあったわけですが、最後に出された源氏の須磨の絵に心を打たれてしまうあたり、中納言は野心家である以前に風流人で、政敵である以前に源氏の友人なのだということが分かります。この二人のライバル関係はどこかさっぱりとしていて気持ちが良い。さすが、一時は義兄弟だっただけのことはあります。
袈裟姿で参加した藤壺も相変わらず美しい。
そして、藤壺の死。
満開の桜の樹の下で一人泣き崩れる源氏の姿が憐れみを誘います。
彼女の死後に冷泉帝は自身の出生の秘密について知るわけですが、動揺から立ち直るのが意外と早く、年齢に不釣り合いなほどの彼の聡明さが際立っています。藤壺と源氏の良い部分をそれぞれ受け継いだようです。
また、もう一人の息子である夕霧にしても、文武両道で品行方正な、できた息子に成長しています。父親と違って、女性に対しても非常に真面目。雲居の雁との関係は見ていて癒やされます。特に小さい頃の二人はお目々がぱっちりで本当に可愛らしい。成長してからの、夕霧の男の子っぽい話し方も個人的に好きなポイントです。
その他の重要な出来事としては、女君たちの住む六条の院の完成、明石の方の上京、明石の姫君が紫の上に預けられたこと、あたりでしょうか。姫を奪ってしまうことに対して明石の方にすまなく思う紫の上の心優しさ、姫のためを思って悲しみを堪える明石の方の奥ゆかしさ。二人とも、比べようのないほどに美しい心根の持ち主です。
そして最後に登場するのは夕顔の忘れ形見・玉鬘。父親である頭の内大臣に似たのか、母親よりも少し派手めの顔立ちです。市女笠を被った旅装束姿が不思議と艶やかに見えます。
娘として引き取ったもののだんだんと玉鬘に惹かれていく源氏に対し、余裕の表情を崩さない紫の上の姿が印象的でした。このあたりから、紫の上にも正妻の貫禄が出てきますね。
『第四巻』
源氏が頭の内大臣と和解する場面。男二人が、酒を酌み交わしながら旧交を温め合う様子が良い。そういえば昔、一緒にこの漫画を読んでいた友人たちは女性キャラそっちのけでこの二人の絡みにきゃーきゃー言っていました。頭の中将が須磨を訪れる場面とか。まあ、確かに、その気持ちも分かります。私もブロマンスは嫌いじゃないですし。
ひげ黒に嫁いだ玉鬘は、最終的に自分の意思で夫や子供たちに寄り添うことを選んだ、強い心の持ち主として描かれています。登場したときにはまだ子供のようでしたが、いつの間にこんなにいい女になっていたのでしょうか。その後男児を産み、彼の妻として静かに暮らしています。源氏の女関係に巻き込まれずにすんだのは幸運だったと言えるでしょう。
そして玉鬘が物語の本筋を離れたことで、がさつで騒々しい近江の君と、落書きのような顔の五節の君も退場します。この近江の君、品がないだけで別に悪い子ではないんですよね。顔立ち自体も末摘花ほど悪くはないわけですし、貴族としての生き方を叩き込めば、案外それなりの姫君になっていたのではないでしょうか。
夕霧と雲居の雁もようやく夫婦になりました。
くるくると表情の変わる雲居の雁は、いつまでたっても可愛いままです。ちょっと丸顔なのがまた、子供っぽさを強調しています。夕霧が後ろから几帳ごと彼女を抱きすくめるシーンは素敵でした。小さい頃の結婚の口約束から、やっとここまで来た、という感じです。
そして、ようやく来ましたね、女三の宮。
虚ろな目をした、人形のような少女として描かれています。彼女が嫁いできてから紫の上はどんどん儚げになっていく気がします。やはり心労からでしょうか。
柏木との密通の場面はやけに生々しかったですが、いやらしさは感じませんでした。三の宮の体つきがまだあまり女らしくなかったせいかもしれません。第4巻は彼女の懐妊が発覚したところで終わります。
かなり物語のペースが早いです。いつの間にか明石の姫君が入内し、懐妊したかと思えば出産まで終わっていました。彼女が入内する際に、紫の上と明石の御方も顔を合わせています。お互いの美しさに息を呑む姿が印象的でした。
宮廷で落ち着いた生活を送る明石の御方に対して、紫の上は終盤で物の怪に取り憑かれて生死の境を彷徨います。やはり、女三の宮が来てから紫の上は明らかに不幸になっています。いえ、三の宮が悪いわけではありません。悪いのはどちらかというと欲を出した源氏の方でしょう。
女三の宮自体は結構好きです。源氏に琴の上達を褒められてはにかんだり、可愛いと思います。
『第五巻』
源氏が女三の宮の不貞を知る場面から。
激怒していながらも表面上は冷静な光源氏。
三の宮や柏木を表立って責めるような真似はしません。二人の許されぬ関係を自分と藤壺の恋に重ね、あのときの罰を受けているのだといち早く理解するあたり、彼の聡明さが窺えます。自分の事を棚に上げて相手を罵るような恥知らずではないのです。ちくちく嫌味は言いますが。
柏木としては罵られた方が楽だったようで、罪悪感から病になり、そのまま死んでしまいました。そして女三の宮の方も仏門に入ります。こう言っては何ですが、女三の宮は華やかな着物よりも黒染めの法衣のほうが似合っています。
柏木の妻・落葉の宮はその寂しげな名に違わぬ、伏し目がちの儚げな佳人ですが、夫の死後は夕霧と結婚します。宮を恋い慕って若干強引にことを進める夕霧、真面目な彼らしからぬ振る舞いでした。宮が傷つくのも仕方がありませんね。
正室である雲居の雁の方は、怒り方がどことなくコミカルなせいかあまり浮気された女の悲壮感というものがありませんでした。この子は本当に表情が豊かです。一本気なところが『はいからさん』の紅緒に少し似ています。
そして、物語終盤。
病床にある紫の上に、とうとう最後のときが訪れます。
数々の思い出に浸りつつ、周囲に別れを告げる彼女。供養会の美しい光景が印象的です。最後まで世を愛し人を愛し、春の中に溶けるように眠りにつきました。美しい死でした。
紫の上を失い、絶望する源氏の様子は痛々しくて見ていられません。やはり、彼女こそが源氏にとって真実の恋人であったのだろうと思います。何かにつけて亡き人を思い出しては、涙で袖を濡らす毎日です。
明石の御方と二人、紫の上を偲ぶ場面では明石の御方の言葉が源氏に突き刺さります。彼女の言う通り、紫の上は本当に源氏しか頼れる者がいなかったのです。身分は低くとも「中宮の母」として宮廷内で確かな地位を確立していった明石と比べ、紫の上の方は親とも縁遠く、子供もおらず、最後まで「源氏の妻」としての地位しかありませんでした。正妻の座すら女三の宮に奪われ、「妻の一人」に格下げされてしまったときはどれほど不安だったことか。今さらそれに思い当たり、激しく自分を責める源氏。辛い場面です。
出家の前に、彼が自身の恋人たちを思い返すシーンを見ると、ああ、本当に終わりなのだなと思ってしまいます。集合絵にしっかりと末摘花や源の典侍までいるのが良いですね。そして女君たちの顔の書き分けがお見事。顔立ちだけで誰が誰だかはっきりと判別できます。
こうして見ると、藤壺と紫の上は意外と似ていません。顔立ちというよりも目つきの違いでしょうか、藤壺の方はやはりどこか弟を見る姉のような目をしていますが、紫の上は晩年の姿ですら子供のような、あどけない目つきをしています。源氏を「おにいさま」と呼んでいた幼い頃からほとんど変わっていません。
多くの恋をして精神的な深みを得た光源氏が最後にひときわ美しく光り輝くさまは、見ていて感動しました。
女性として、読んでいる間はいろいろと彼に思うところもありましたが、やはり彼自身、素晴らしい人物なのだと実感します。まあ、そうでなければあれほど素敵な女性たちから好かれるわけがありませんよね。
少なくとも、この作品で描かれている光源氏は、その名に恥じぬ、内側から光り輝くような類まれな人物であったと思います。
源氏のお話はこれで終わりますが、この後は「宇治十帖」を描いた6巻、7巻に続いています。
そちらは、また明日。
読み返すたびに新たな発見のある作品です。
まだ読んだことのない方にはぜひ読んで欲しいものです。
それでは。