本日の読書感想文




​星のように離れて雨のように散った

​島本理生


失踪した父が残した小説と、宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』を修士論文に選んだ大学院生の春。結婚を前提に同棲しよう、と言う恋人との関係に息苦しさを覚えながらも曖昧な態度をしている。



春にはアダルトチルドレン的な不安定さがあります。母は仕事ばかりで春に構わず、父は何らかの宗教を信じていて、別の宗教を信じる叔母と罵り合ったり暴力沙汰になったりした挙句、失踪。春は大人たちに顧みられることなく成長したため、自己肯定感が低く、また誰かに頼ることが苦手。そのことを消化できていないから恋愛も拗れていく不安



自分の腹の中は見せないくせに、「あなたが、私を愛してるってどういう事?」と恋人に問うたりします。ちょっと面倒くさい。答えようがない。ただ春には周囲に良き助言をくれる人たちがいて、その知見を得ることで人生が紐解かれていく。『銀河鉄道の夜』に描かれた宗教観が、春の人生に重なって化学反応が起こっていきます看板持ち



ある登場人物が言った

お父さんの物語はお父さんの物語であって、あなたの物語ではない。あなたの小説が完成しないのは、私、を見ようとしないからだ

という言葉が心に残りました。つらい幼少期にどうにか意味を持たせようと、彼女は父の物語に固執します。でもいくら考えても答えは出ない。なぜならそれは自分でコントロールできることの外側にあるものだから。自分自身を無視して、他者がどう考えたかを推察したって何も生まれないのだと思いました。







私もずっと母の物語で、悪役にされることがこわかった。そのために努力したことがたくさんあります。大人になって気付いたけれど、要求をひとつひとつクリアしていっても、また次の要求がきてエスカレートしていくだけだった。母は私の神様じゃないし、私もまた母のお母さん役をするつもりはないので、いまでは放り投げて距離をとっています。



母の物語が理想的じゃないのは、母の問題であって、私のせいじゃない。逆に私の物語が理想的じゃないとしても、それは私の問題なのだと切り離すことにしました。私は私の物語をこれからなるべく良いものにしていきたいし、そのことで母に対して罪悪感を持たなくていい。




幸せになりたいのなら自分の人生に集中しなくては。私の長年の悩みを言語化してくれるような物語でした知らんぷり