こんにちは。
本日は、恒例となった新刊本のお知らせです。
タイトルは、『 老健の怪事件: 介護老人保健施設を舞台にしたホラーミステリー 』。
私の処女作「ハッスル!『老健』」の取材で得た、老人介護施設の情報が随所に盛り込まれている本です。
ミステリー小説としては、昨年出版した『 ライバル銀行員』に次ぐ2冊目となりますね。
ちなみに「ライバル銀行員」は、主人公の性格や考え方から、内容を批判されるだろうと覚悟していたのですが、思いのほか高い評価をいただき驚いております。
もっとも、現在出版されているミステリーの中には、もっとすごいものも多いようで。
前回、「ライバル銀行員」の公開を20年以上ためらった原因として、銀行現場のリアルすぎる描写と、主人公の露悪的なキャラクターだったと述べました。
そして、もっとも大きな原因が、銀行ミステリーに対する免疫がない時代、これを読んだ人が、銀行に対したネガティブな気持ちを持ってしまうのではないかと危惧した点だと。
実は、今回出版されていただいた「老健の怪事件」も、登場人物やプロット、トリックが頭にあった状態が15年以上続いていました。
公開をためらった一番の原因も同じく、多くの人たちが介護老人保健施設に対するネガティブなイメージを抱いてしまうのではないかと危惧した点です。
しかし、介護保険法の施行から20年以上が経過し、介護老人保健施設に対する知識も当時よりはるかに広がっています。
批判を覚悟のうえで、そろそろ出版をさせていただきたい、と。
取材した当時は、第三者的な目で老健を見てしまったのですが、私も当事者になる年齢がどんどん近づいているのでした。
そのことを考えながら本書を読み返すと、若い頃とは違った状況が見えてきますね。
ご興味のある方は、是非。
よろしくお願い申し上げます。
「老健の怪事件」介護老人保健施設を舞台にしたホラーミステリー
本作は、半年間の介護施設の現場取材を通して得た知識を基に作られたホラーミステリーです。
著者は、処女作「ハッスル!『老健』-介護老人施設のすべてがわかる本-」で、アマゾンの高齢化社会部門の売上1位を獲得。
本書は、同書が介護施設の担当者から高い評価をいただき、ロングセラーになるとともに、作者が15年以上封印してきた作品でもあります。
今回の出版に際して、ミステリーとしての矛盾点を正し、大幅な加筆・修正を行いました。
舞台は、「介護老人保健施設 絹の丘」の認知症棟。
深夜、新人ケアワーカーの木村みどりは、認知症を患う入所者がベッドからいなくなっていることに気づきます。
認知症棟は夜間、扉が閉ざされ、エレベータや玄関の扉も、関係者を除けば開けることはできません。いわば三重の密室とも呼べる状況でした。
三重のセキュリティとビデオカメラで守られた介護施設から、お年寄りは、どうやって外に出ることができたのか。警察官が現場を検証しても、器械的なトリックを使って外に出る方法を特定できませんでした。
お年寄りの蒸発事件から三日後、新聞社に身代金要求の脅迫状が届きます。
犯人の目的は? 被害者が蒸発した日に、施設を訪れていた黒ずくめの男の正体は?
深夜の施設介護の現場など、施設に泊まり込んで取材した作者だから書けるリアルな描写。
事件の動機には、家族介護の限界が…。
賛否両論必至の問題作です。