フリマアプリに様々な企業が参入するなかで、撤退する企業も現れている。大手企業の中では、サイバーエージェントが提供していた「マムズフリマ」が2014年11月にサービスを終了、ヤフーが提供する「クロシェ」は、フリマアプリから「買えるファッションマガジン」という形でシフトチェンジを行っている。
「メルカリ」と「Fril」の2強の時代に突入すると思われた2014年11月末に、楽天がフリマアプリ「ラクマ」を公開した。「メルカリ」と「Fril」の場合、売買が成立した際に10%の販売手数料が発生するのに対し、「ラクマ」は手数料無料で展開。知名度と手数料無料という2つの武器で一気に差を縮めようとしている。
もう1つ忘れてはならないのは、LINEが提供する「LINE MALL」だ。こちらは個人間売買だけでなく、LINE利用者の基盤を活かして企業が販売するサービスを提供しているのが特徴だ。例えば、 LINEの友人と共同購入が可能な「LINEグループ購入」や、LINEでつながっている友人にギフト商品を送ることができる「LINE ギフト」などがそれにあたる。今後もLINE利用者が気軽に物を売買できるプラットフォームとして強化されていくだろう。
個人向けの場作りに成功 今後は?
フリマアプリを提供するほとんどのサービスが本当の意味での「個人間売買」にこだわっていることは重要なポイントだ。ネットオークションの場合は、企業が出品している場合が多く、「プロ化」している面があり、それが個人が利用する敷居を高くしている理由のひとつになっている。
「プロ化」による一番の弊害は、一般的な個人が出品する量に対して、圧倒的に多い量を出品する利用者(企業)が参加することで、個人の出品が埋もれてしまうという点である。もちろん、それにより出品量が増え、市場が活性化するという考え方もあるが、出品者と購入者のバランスが崩れ、出品した商品が売れにくくなることが懸念される。それにより参加者が減り、「個人」間取引というよりは「企業対個人」間取引という構図になってしまい、フリマアプリの特性が損なわれてしまいかねない。
これに対し、フリマアプリは、ほとんどのサービスがいわゆる「企業による出品」を禁止し、あくまで個人間が売買するプラットフォームとしての場づくりにこだわっている。それが、利用者にとって参加しやすいサービスであり続ける要因となり、利用者の拡大につながる大切なポイントとなっている。
フリマアプリの勢いはまだ止まりそうにない。今後どこまで一般に浸透していくのか、引き続き注目の分野だ。個人間売買市場で圧倒的なシェアを誇る「ヤフオク!」は年間約7,300億円(2013年度)を売上げるが、フリマアプリ市場はその10分の1にも満たないのが現状だ。今後市場が大きくなるにつれて、偽物を販売するなどの不正利用を行う参加者の増加も予想される。それらをいかに排除し、健全な市場を保つことができるかがフリマアプリ市場拡大の鍵となるだろう。
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イイヅカ アキラ
ウェブ接客ツール「KARTE( http://plaid.co.jp/)」を展開する株式会社プレイドに所属。EC特化型メディア「Shopping Tribe(http://shopping-tribe.com/)」編集長兼ライター。Web制作会社にデザイナー、ディレクターとして従事後、フリーを経て現職。プレイドでは広報も兼務している。