現在、リクルートの情報サービスの主戦場はネットにある。そのためにデータ基盤に投資することは、経営層もよく理解しているとのこと。ビッグデータはもちろん、ユーザーインターフェイスやユーザーエクスペリエンス部分にも投資しており、ITがまさにリクルートのビジネスの強力なエンジンとなっている。リクルートテクノロジーは、そのビジネスのエンジンであるITの機能をグループ内に提供する役割を持った組織だ。同社の技術やノウハウを社外に売ることはない。あくまでも、リクルートを強くするためにリクルートテクノロジーズは活動している。
リクルートでは、早い段階からビッグデータの活用には取り組んできた。具体的なシステムとしてはHadoop、IBM PureData、Tableauなどを導入している。中でもHadoopについては、4年くらい前から自前でサーバーを組み上げて構成を組み上げ活用するなど、先進的な利用で知られている。現在ではオンプレミスのHadoop環境とパブリッククラウドの環境を連携させると言った新しい構成も活用している。
そんな環境を利用し、リクルートのグループ内では年間100から200件のデータ活用を行っていると西郷氏は言う。データの可視化やデータ分析結果を使ったリコメンドの機能を用いアプリケーションやサイトサービスの新規機能提供、ユーザビリティの向上などを図っている。
「データを眺めるだけではそっけないものだけれど、可視化するとよく分かることがあります。成功事例はグループ内で横展開するのも、リクルートグループならではの特長となっています」(西郷氏)
このようにグループ内の重要な役割を担うリクルートテクノロジーという組織では、どのような人材が働いているのだろうか。西郷氏によれば、「分析、ITの技術、企画者とやりとりするビジネスセンスの3つを持っている人」だという。このうちのどれかだけが強いと言うよりは、バランスが重要だと指摘する。
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さて、前半では自社が抱えるビッグデータをいかに活用し、新たなビジネスチャンスをつかまえるのかという話題となった。1つ共通しているのは、ビッグデータをビジネスに活用できるとなれば効率的に処理するための環境にはそれなりに大きな投資をしていることだろう。
データサイエンティストは、まだまだ登場する。後半では、非構造データの分析で鍵となるテキストマイニングなどの話もでてくる予定だ。