Toscanini Collection/Arturo Toscanini

¥7,503
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 だいぶ前に紹介した「トスカニーニ コレクション」84枚組。3月下旬には発売される予定だったが、度重なる発売延期の末4月24日に落ち着いたみたい。おそらく注文が殺到して、生産が追いつかなかったのだろう。なんせ、アマゾンのマルチバイを利用すれば、6800円、一枚あたり80円弱の破格なのだから。

 僕もこのボックスを買うことを決心してから、色々とトスカニーニの演奏を聴いてきた(なんせ既に10枚も持ってるんだぞ!ちくしょう!!!)。トスカニーニというと、楽譜に忠実な原典至上主義者の始祖として、クールでドライな演奏をすると思われがちかもしれない。しかし、聴いていると、テンポから音符に至るまで、かなりやりたい放題やっている。そしてその鋼鉄の精神によって、作曲家の精神を自分色に塗り替える。それは確かにフルトヴェングラーがしたことと変わりないかもしれないが、一応彼はドイツのロマン的な土台に基づいたものだった。トスカニーニは自分を決して崩すことはない。彼の前だと民族主義も吹き飛んでしまう。

 それが許されたのは、トスカニーニのような二つの戦争を乗り越えたような強靭で稀代のスケールを有した指揮者だからだ。今の軟弱な指揮者たちがこれをやれば、途中で失速したミサイルのように、ただの誇張で大げさなしけた演奏で終わってしまう。だから僕たちは、録音の悪いCDを今でも追い求めてしまうのだが。「昔のあんな録音聴く価値などあるのか」などという議論が立ち起こる日は、おそらく永久にないだろう。

 おそらく発売されたら一瞬で入手困難となる代物なので、ぜひ確保しておいてください。こんな機会二度と訪れませんから。