Living Stereo 60 CD Collection Box/Living Stereo 60 CD Collection Box

¥13,132
Amazon.co.jp

以前からずっと気になっていたボックスを購入した。一昨年に発売された、RCAリビングステレオボックス60枚組である。12000円と少々値がはるが、一枚あたり200円は驚異的。

このボックスはステレオ録音が実用化された1950年代から1960年代にかけて、RCAがアメリカで録音したレコードを集めたコレクションボックスだ。管弦楽は主にライナーとシカゴ響やミュンシュとボストン響、オペラはラインドルフ、ヴァイオリン協奏曲はハイフェッツ、ピアノ協奏曲はルービンシュタインが担当しており、豪華な顔ぶれだ。

発売時は全く興味がなかった。僕はミュンシュという指揮者があまり好きではなかったからだ。当初その迫力に感動していのだが、次第にそれが暴力的と思えはじめ、僕とは肌が合わなくなってしまった。ライナーも取り立てて興味のある指揮者ではなく、このボックスを買うまで聞いたことはない。

しかし、以前シベリウスのヴァイオリン協奏曲にはまったとき、バラ売りで発売されていたハイフェッツのSACDを聞いてその素晴らしさにひっくり返ってしまった。

それ以来このボックスはいつも僕の心のどこか片隅に残り続けいていたが、そうこう迷っているうちに、店頭から消えてしまった。やっぱり買っておくべきだったと後悔の念に駆られていたところ、アマゾンに在庫が残っていることがわかり、購入したわけだ。もちろん僕がアマゾンのチェックを怠っていたのではない。突然復活したのだ。神様に思いが通じたとは、まさにこのことだろう。

さて、聴き直していると、本当に素晴らしいCDばかりだ。まず録音状態が驚くほどに良い。思えば一連の演奏が録音された1950年代~1960年代はアメリカが最も繁栄していた時期だ。ケネディが大統領であり、バーンスタインが世に出ようとしていた。録音は技術というよりも、どれだけ手間と労力をかけたかで、出来が決まるのかもしれない。演奏を聞いているとあれから録音技術が進歩したのか、自信を持てなくなるだろう。

そしてもうひとつうれしかったのが、ライナーとシカゴ響だ。これほど見事なアンサンブルを聞かせてくれるコンビが、セル以外にいたなんて、全くの盲点だった。ショルティで頂点を極めるシカゴ響の土台は、ライナーによって既に培われていたのだ。このボックスを買うのに二の足を踏ませていたライナーの存在が、期待を裏切り僕に大きな喜びをもたらしてくれたように思う。

現在在庫は世界中を見渡しても、日本のアマゾンぐらいしかないのではないか。僕は自信をもってこの60枚組ボックスをおすすめする。演奏者には若干偏りが見られるが、一枚一枚のクオリティの高さを実感してたいだければ、後悔することはないはずだ。ぜひ。