4 Symphonies/J. Brahms

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 クルト・ザンデルリンクが9月20日になくなった。既に引退し、99歳という大往生であったというが、やはり悲しい。彼は僕の最も敬愛する指揮者の人であったから。

 彼の死を知らなかったが、偶然昨日、彼のベートーヴェン交響曲全集を聴いていた。彼の演奏には、特別の色がない。作為的で小手先な演出や解釈はもちろんのこと、強烈な個性も感じない。ただ、そのまま音楽が立ち上がってくるような思いがするのだ。彼はある意味現代的な指揮者で、どのようなオケであっても短時間でしっかりとまとめる機能的な側面があったことは否めない。しかしそ演奏は、誰よりもその作曲者を理解しているという説得力があった。彼の演奏にこそ、虚心坦懐、別の言い方をすれば無我の境地であったのではないかと思う。

 彼のベスト盤として一枚あげるとすれば、ベルリン交響楽団を振ったブラームスの交響曲全集であろうか。シュターツカペレ・ドレスデンとの録音も素晴らしいが、後年のものと比べるとまだ洗練されていない。HMVでのレビューでは「凄い重量感」や「悲劇的でシリアス」といった言葉が使われているが、僕が聴いた彼のブラームスは、逆にそういうものを超越した彼岸的演奏であったと感じた。彼よりも重量感があり、シリアスなブラームスを作る指揮者はごまんといる。むしろ老匠らしい枯れた響きのする演奏だ。しかし、他のどの演奏よりも胸に迫るものがある。曲に込めた思いが直接伝わってくる思いがする。聞き終わった後、まるで本や映画でブラームスの心の吐露をごまんと聞かされたような後味が残るのだ。

 もちろん彼のマーラー、ショスタコーヴィチ、シベリウスも良い。どの演奏もだいたい上のような無我の演奏である。僕は個性豊かな演奏に疲れた時、彼のCDを手に取ることが多い。一度で良いから実演で接してみたかった。
 今上のブラームスがamzonで激安で販売されている。ブラームスの演奏史で燦然と輝く名演だ。下の16枚組ボックスも、彼の良さを存分に味わうことのできるお買い得ボックス。ぜひとも手に取ってみてほしい。

Legendary Recordings/Hermann Prey

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