この夜を越えて 締め切り間近の原稿を書きながら一息つくようにベランダに出てみた あまりの寒さに驚き身震いをした 息が白いもう冬が近い つぶやくように吐息がもれる その瞬間ふと 心に風が吹いたのは外の寒さだけじゃない 振り切るように窓を閉める そして何もなかったように 何も感じなかったように 原稿に目を落とす そうしないと明日を待てない きっと外の寒さのせいだって そう自分に言い聞かせて saeko