中小企業診断士・経営コンサルタントの長尾です。

 

私どもは過剰債務や債務超過、赤字体質の企業様の支援をさせていただく機会が多いのですが、一度でも財務状態が大きく棄損されますとその再生には多大な労力と時間がかかります。

 

また、残念なことに多大な労力と時間をかけても回復しないケースも少なくありません。

 

それくらい、中小企業の再生はシビアな世界なのです。

 

これが大企業であれば「TOO BIG TO DESTROY」という原則が働きます。

 

直訳すると「大き過ぎて壊すことができない」です。

 

大企業が不祥事や経営陣の怠慢による経営不振に陥っても、その企業がなくなるとそこで雇用されている何万人の従業員や数百、数千の取引先が仕事を失うことになり大きな損失が出るため、金融機関も国も救わざるを得ないという原則です。

 

シャープも東芝もJALもそうです。

 

一方で中小企業にはそんな原則はありません。むしろ、収益力が低い企業や金融機関への返済が滞っている企業は退場(倒産)してしまえと言わんばかりの対応を受けることもあります。

 

そのような環境下で、我々のような外部専門家が知恵を絞り、再生への道筋をつけるのですが、その大前提として経営者や幹部には退路を断ってもらう必要があります。

 

退路を断つというのは、どんなことがあっても言い訳をせずに再生に向かって取り組むことです。

 

しかし、これがなかなかできません。

 

プライドなのか見栄なのか、不安なのか分かりませんが退路を断つというのはとても重いことのようにお見受けします。

 

しかし、プライドも見栄も経営者に必要な事ですし、不安も経営者なら誰しもが持っているものだと思うのです。

 

ですから、そういったものも全部自然に受け入れれば良いと思うのです。

 

企業と専門家、債権者の方向性が合致すれば会社が潰れることはありません。

 

そういった意味では経営者は気楽に退路を断っていけばよいと思うのです。

 

それではまた次回です。