夜明け前の国分町を警官2人と歩いた男の葛藤劇
正しいことをしたつもりだったが二度と来るなと言われ、警察を呼ばれ、15年の関係が終わった
間違っていたのか、止めるべきではなかったのか、自分ではわからない---
(前編の続き)
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『東北一の歓楽街【国分町】で、15年応援してきた後輩に警察を呼ばれた男』
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短編小説ブログ【後編】
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ママが帰り、酔っている彼を無事に帰そうと、「ほら酔いすぎて危ねえから一緒に帰るぞ。」と言った。
だが、私の言葉が終わるか終わらないうちにカウンターに座っている私の肩を突き飛ばした。そして、「なんで邪魔すんですか!もう2度と来ないでくださいよ!」と私に詰め寄り怒鳴った。
かかってくるかと思った。彼は体がデカく、力も強いのを知っているので、カウンターを降りた。上着を脱いで、かかってきたらいつでも対応できるようにした。心の準備ができてないと、手を出されたら反射的にやり返してしまうからだ。
だが、殴ってこなかった。取っ組み合いにもならなかった。ただ、過去のことを掘り返し、私に暴言を吐き続けた。
あまりにひどいこと言ったので本気で手を出してしまいそうになったが、ここで手を出してしまうと本当に大変なことになってしまう。一呼吸おき、舌を痛いくらいに噛み、グッと耐えた。
「お前カッコ悪いぞ、自分の店でやりたい放題だな。そういうのやめろよ、みっともない。ダサえぞ、そういうの。」と私は言った。
すると「えっ?いいじゃん。オレの店だから何やったっていいじゃないですか。」と彼は言った。
ダメだこりゃと思いながらも、「今まで応援してくれたお客さんや居てくれたスタッフのおかげで店やってこれたんじゃねえのか?そんなダサいことやってていいのか?この店はそういう場所なのか?」と諭した。つもりだった。
今度は、「はっ、なに? 自分のおかげだって言いたいんでしょ!」と言ってきた。
堪えて私はもう一度言った。「来てくれているたくさんのお客さんのおかげだろ。そのお客さんを【ちゃんと】大事にしろよ。」
「はいはい、Mさんのおかげね、はいはい、ありがとございやーす。はいはい、ダサくて結構。オレ、ダサいんです。説教とかそういうの、もうウンザリなんです。もう二度と来ないでください。もう帰ってください。」
手を出さずにいるのに苦労した。
ああだこうだ、ああでもないこうでもないの押し問答になったが、彼は警察を呼ぶ!とスマホを操作し耳に当てた。
私は、唖然としながら、「警察呼んでも迷惑かけるだけだぞ。」と言った。だが聞かなかった。
これくらいのことでは警察は仕事にならない。通報されたら面倒だが職務に従事しなくてはならないからだ。
警察を呼んだことで少し落ち着きを取り戻したようだったので私は言い聞かせるように言った。
「口ではどんなにいいこと言っても、どんなに上手く誤魔化しても、真実は自分の心が全部知ってんだよ。」と彼の胸を指さした。
そうこうしてるうちに若い制服警察官が2人来た。盛り場担当だからなのか2人ともものすごくデカい。180を超える彼よりデカい。
警察官とのやりとりがあった後、「とにかく今日のところは帰ってください。」と警察官1号さんに言われた。
この15年の月日はこの警察官たちにはわからない。この状況に納得がいかなかった私は、「警官には関係ない。あんたらには俺らのことはわからない。今日のこれも事件になるほどのことでもない。」私はそのままのことを言った。
じゃあとりあえず外に出てくれと言う。深夜営業のことでマスターに話しがあるのでと言われ、警察官2号さんと外に出された。
外でしばらく2号さんと話し、2人ともデカいねと聞いたら、「やはり繁華街なので署で一番デカい自分らが、、」と2号さんは言った。
しばらくすると彼との事情聴取が終わった1号さんが店から出てきた。私は事情聴取もなく、名前さえ言うこともなかった。
「終わりましたから今日はもう帰りましょう。」と促され帰ることになった。納得はいかなかったが仕方ない。
若くデカい警察官2人と『警察を呼ばれた男』の3人でしばらく雑談しながら国分町の小路を歩いて帰路についた。
定禅寺通りの手前で警察官と別れ、私はタクシーを拾った。
タクシーのドアをくぐった時、悲しい想いと悔しい想いが込み上げてきた。
自分の店だからといって、何をやってもいいわけではない。そこに来てくれるお客さんがいて、これまでの従業員、業者の人がいて成り立ってきたからだ。彼はその感謝を忘れているのだろう。出なければ前出の言葉は出てこないはずだ。
店のやりくりがうまくいかなかった時、金銭的な問題を抱えていた時など、できる限り助けてきたつもりだった。お客さんもたくさん連れていった。遠のいていた人たちにも声をかけ足を運んだ。もちろん見返りなど求めたことなどない。
店は開いてるはずなのにやっていなかった時や、オープン時間が過ぎてるのに開いていない時など何度もあった。その度に、ちゃんとしないとお客さん離れるぞと諭してきた。彼と彼の家族の人生にかかわることだからだ。
うるさいこと言われて耳が痛いのはわかっていた。うざいこと言われて嫌なのもわかっていた。要らぬ説教だと感じていただろう。
本当に残念だが、恩を仇で返すとはこういうことだろうと思う。
誰が正しいとか、間違っているとかではなく、自分に嘘をつかない行いができたからそれでいい。それが自分の生き方だからだ。
人は誰しも良いところもある。悪いところもある。
だが、【生き方】だけは誤魔化せない。
言ってることとやってることが違う。他人の褌を自利のために使う。欲を満たすためならまわりなどどうなってもいい。金を稼ぐためなら他人がどうなってもいい。ここには【生き方】や【考え方】がもろに表れる。
嘘偽り偽善が蔓延る世界、嘘ばかり金ばかり自分ばかりの人間が溢れていて嫌気がさしていた。嘘で塗り固められた物事にはうんざりしていた。
そんななか48歳のとき、大好きだった親父があっという間に死んだ。50を超え、これまでの生き方を振り返ることが多くなった。遅いかもしれないが本当に大切なものに気づいた。
結局、変えられるのは自分だけしかない。これからの未来しか変えられない。過去のことをどんなに言ってもやってきたことを変えることはできないし、どんなに誤魔化しても真実は変わらない。過去から現在のすべてが自分が選んできた人生だ。そして、全ての人たちとの出会いが今をつくっている。どれか欠けても今はない。
『人間は一生のうちに会うべき人には必ず逢える。しかも、一瞬早すぎず、一瞬遅すぎないときに。』
実は、森信三氏のこの言葉の意味には、『別れも然り。』が含まれている。
人には出逢いがあれば別れもある。いい思い出もあれば忘れたい思い出もある。過去の全てがあって今ある人生だ。それは自分が選んできた道なのだ。
生きている道は、全てに意味があり、長い未知なる道である。
その道をどう生きるかは全て自分が選択して決断していくことになる。
あの時、本当は帰るべきだったのか、あの行動でよかったのか、何が正しかったのかは分からない。
だが、あの時は止めるしかなかった。
彼とは公私ともに15年真剣に付き合ってきた。今一度、自分の心に指を向け、心の眼で自分を見つめ直してほしい。果たして自分はどうなのかと、『善悪』で判断してほしいと切に想う。もちろん私自身もそうでなくてはならない。
彼には、ほんとうの意味で、家族を大切にしてほしいと願うばかりだ。
さて、
デカい警察官2人にも話したが、
明日は、別件(銃更新)で生活安全課だ。
「警察を呼ばれた男」から「警察に行かなきゃ男」になる。
🍀🍀🍀🍀🍀🍀🍀🍀
子供たちや孫たちがいつかこの日記を読むことがあったら何かに気づいてほしいと思い、オヤジの苦い経験と心の内にある想いを正直に書きました。
できるだけ省略せずに書いたので、長くなってしまいましたが、最後まで読んでいただき有り難うございます。
🍀🍀🍀🍀🍀🍀🍀🍀
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