HERMESのスカーフに魅せられて....

HERMESのスカーフに魅せられて....

NAGAがエルメスの商品と自身の旅行記を綴るブログ

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 原田さんにスーツケースの件は頼んでAIと二人でタクシーに乗り、サントノーレにある宝飾・時計の店<Arfan>に行く。入口のドアが二重になっていて、来店する二人顔を見て開けてくれる。注文した時に顔を合わせていたHerenさんはにっこりと私を迎え、そしてクールだった。時計を受け取り残金を払う。免税の手続きになり、売り手と買い手の意図が交錯して、彼女は既に値引きをしていると書類のことは一歩も譲らない。「ノン」の繰り返しで私は疲れた。入荷を待ち望んでいる客との値段の約束も果たせるので、目の前の現物を見ると計算していた経費と少しの利益はもうどうでもよくなった。うまく言葉を駆使して海千山千に渡り合える力もないし、ロレックスのように金ピカの人気はないが知る人ぞしるこのスイス時計を腕にはめると、その魅力に圧倒させる。私はついに「OK」という。彼女は時計を豪華なビロードの箱に戻し、二重に包装されて大きな荷物になってしまった。

 
  よく考えればよくもバカンス前に手に入ったものだと思う。店が閉まれば二ヵ月先になる。AIは私の傍を離れず<Arfan>での話のやりとりに息をのみながら見ていた。ツアーの皆と一緒にパリ市内観光に行けなかったが宝石店での光景も面白かったかも知れない。


 二人でサントノーレをぶらぶら歩き、早めの夕食を久しぶりに日本料理「体心」で過ごす。原田さんに預け放しの荷物も気になるのでホテルに帰ることにしてタクシーの運転手に住所を見せた。ヒルトンとかプラザ・アテネと違って郊外の名もないホテルらしい。地図を見て発車した。<クリマット・フランス・アウベリビリエ>長いホテルの名前、ジュネーブのホテルの名も長かった。長すぎるホテルの名前はアブナイと私だけのジンクスがある。郊外の曲がりくねったアップダウンの激しい道を走り続けて暫くしてホテルに着いた。受付のボーイはハーフの青年、嬉しく迎えてくれているのか面倒なのか表情が掴めない。部屋に入ると荷物が届いているので安心するが冷房は効かず窓を開けると騒音が激しく、シャワーに入り体を冷やした。思った通りホテルの名前は長すぎる。私はパリ郊外にフランス人と結婚し幸せな家族を暮らすREIKOさんにTEL。他にはモンパルナスに住む画家夫人マダムTATEやデザイナーのATUKOさんにTELしている内に最低だと思ったこのホテルにも慣れてきた。


 パリ最終日、秋に使える商品の掘り出しものでもあればと買い物に出掛けたがバカンスに入るので街のどの店も上の空。店員は長電話ばかりしてなかなか止まらない。エルメスにも寄ってみる。この店も観光客は多いが気が抜けている。

 
・・・・・・・ドイツロマンチック街道の旅から14年が経つ。美しい風景と思いがけないトラブルにも見舞われ、時計の件では靴の踵が折れたように心もとなく大きな荷物を抱きかかえて帰ったが客の心からの「ありがとう」の声を聞いてこれでよかったのだ。AIは「あの旅は本当に面白かったね、色んなハプニングがいっぱい・・・だからよーく覚えているよ」私が忘れてしまっている細部もAIはしっかり記憶している。     

               
                     おわり
1999年7月

 新しいバスが来て途中休憩のためショップに入り一休み、ジュネーブへと向かう。予定していたレマン湖遊覧は事故のため時間を失って夕暮れの湖畔に多種色とりどりの花で埋めつくされた花時計を窓の外からチラと眺めただけで通り過ぎ残念。以前にフランスの織物の産地リヨンで卓越した技術で織られた幻想的な花柄とレマン湖畔の花時計が重なり合って忘れられない。集合体の花模様。

 すっぽりと辺りが暗くなり空港に近いホテル・モーベンビッタ・ジュネーブ・メイリンに着いた。八時半を過ぎている。シャワーや着替えの時間もなく、そのままレストランで夕食になった。原田さんがバスの事故で迷惑をかけました。お疲れ様とねぎらいのビールのジョッキが配られた。AIはスイス名物料理のチーズフォンデュとジュースを注文、機嫌良く食べている。私は疲れて食欲もなくビールもあまり飲めなかったがサービスをしているウェイターがハンフリーボガードに似て、身のこなしと渋い表情に見とれて映画「カサブランカ」思いを馳せて、あまり気が乗らなかった今夜のディナーも食べたのかどうかもわからないようにして終わった。

 朝5時30分モーニングコール。毎日時間に急き立てられて目が回っている。一昨日のスイス、インターラーケンのホテルではベルが鳴っているのに目が覚めず置き去りにされてしまった。AIにユングフラウ・ヨッホも氷河も見せることが出来ず、残念だった。みんなは過密なスケジュールに合わせて右へ倣え、しっかり行動している。めげてはいけない。

 ジュネーブから新幹線TGVで田園風景を眺めて三時間半、昼前にはパリに着き昼食。その後は市内観光となっているが、今回の旅は明日で終わりになる。パリで個人的な用件を済まさなければならないので、スーツケースはバスに残したまま原田さんにホテルまでよろしく頼んだ。やはりツアーはありがたい。

    

             続く・・・・・・。
 故障したバスの中は暑いので土手の上で酒盛りを始めている。何か事が起こってもたじろかない農協のおじさん達に見習って、草を掻き分け上っていく人もいた。14,5歳の息子を連れた父親は草むらの上に腰を降ろして森と青空を見上げてスケッチをしている。タンポポの白い綿毛、エーデルワイスかも知れないが、風に揺られて飛んでくる。数人の女性が小さな草花に顔を近づけて匂いをかいだりして時間をつぶしながら車が来るのを待った。

 [故障して動かなくなった大型バスの運転手ステファンさんの小さな呟き]

 フランクフルトでJapanese43名の観光客を乗せてドイツの名所を駆け巡った・・・。今日で4日目になる。昨日の午後はリュードリッヒの夢の白鳥城を見物して、終わった後はリヒテンシュタイン公国に立ち寄り、スイスのユングフラウ地方、インターラーケンのホテルまできた。慣れてはいるが夕暮れの山道は神経が壊れるほど集中して5時間走った。今朝は7時30分に登山駅まで皆を送り、その後ホテルに戻り皆の荷物を積み込んだ。天気は上々、グリンデルワルドで山から帰る皆を待った。山の清涼な空気のシャワーを浴びて晴れやかな人々に握手したいくらいだった。シュネーブに向かって出発した時の心の高揚を思い出す。あと二時間半でこの仕事は終わる。まだ元気はある、まっすぐドイツの我が家でゆっくり休み、眠れる筈だ。皆の大切な命を預かり運転してきた。事故は起こさないように気を張りつめてきた。ところが煙が吹き出し車は黙りこくってしまった。why?

 やがて大きなバスが滑るように横づけして止まった。皆は歓声をあげて新しいバスに乗り込んだ。動きはじめるとバスを待ちあぐねていた場所を振り返った。懐かしい?草の土手ともサヨナラだ。
 
 しばらく走って嬉しい休憩の店でサンドイッチや冷たい飲み物、お土産を手にして、その時の記憶は時が過ぎ去った今でも最高の付録となって残っている。AIは大勢の客の集まりに驚き、レジのおばさんの頷きっぱなしの顔の表情に自分もつられてにこやかだ。皆は再びバスに乗りジュネーブに向かう。

              続く・・・。